“うんち”を通じて体調の“見える化”を実現!
50万人がダウンロードした「ウンログ」

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 馬島 利花 編集:菊池 徳行(ハイキックス)

ユーザーの約9割が女性。
お腹の状態を問いかけてくれるアプリ

展開している事業の内容・特徴

1-011.jpg
「大丈夫? 溜め込んでない?」。スマホを通じてお腹の状態を問いかけてくれるアプリが密かな人気となっている。うんちをした日時や、うんちの色・形・量などを記録していくうんち記録アプリ「ウンログ」だ。記録を続けると、100点満点の「ウンスコア」により健康状態が評価される。また、便秘が続き、記録を更新できないでいると、先述したようにお腹の状態についての問いかけが通知される。

「ウンログ」を使ってできることは、うんちの記録だけではない。「ウントーーク」でユーザー同士が“お通じあるある”を共有したり、「ウントピ!」でうんちにまつわる情報を受け取ったりすることもできる。また、ユーザーの約9割が女性ということで、カレンダーに生理・排卵日などの記録機能がついていたり、デザインに可愛いキャラクターが使用されていたりと細かな配慮も。2012年7月にリリースされ、現在のダウンロード数は約50万、月間PV数は約500万となっている。

同アプリを運営するのはウンログ株式会社。代表の田口敬氏は、「体調の“見える化”を目的とした事業を展開しています。ゆくゆくは、世の中の人たちの生活習慣そのものを変えていきたい」と語る。2016年9月には、「ウンログ」に続き、腸内フローラ検査サービスをスタートさせた。このサービスは、検査キットで採ったうんちから、腸内にいるさまざまな細菌の種類・量・バランスを調べ、体質や健康状態をフィードバックするというもの。ユーザーはこれまでに約1500人、現在も急増中だ。

自らの便秘や下痢、アレルギー発症体験から
創出したアイデアとゼロからの努力で起業

ビジネスアイディア発想のきっかけ

2-01.jpg田口氏は、自らが社会人になりたての頃、突然の便秘や下痢、アレルギーの発症に苦しめられたことがある。原因を追及したところ、腸内環境の乱れであることがわかった。関連書を読みあさり、「腸内環境はうんちを見ればわかる」と知ると、自分なりに快便法を研究。その過程で得た知識をもとに、意識的に食物繊維やオリゴ糖を摂取したり、十分な睡眠を採ったりしていくうちに腸内環境が整えられ、健康状態も改善された。「この体験をみんなに共有したい。アプリ化したらいいんじゃないか、と思いついたのがすべての始まりです」。

当時、会社員だった田口氏は、平日の退社後および土日の時間を使い、アプリ開発とうんちに関する勉強に明け暮れた。それは、知識ゼロからのチャレンジだった。「アプリ開発は他人に依頼したらお金がかかるけれど、自分でやればお金がかからないうえにやり直しもきく。うんち関連の知識も同様です。更新のたびに監修を依頼し続けなければならないのも、面倒くさいじゃないですか(笑)。『どんな知識も1000時間くらい勉強すればものになる』と本で読んだことがあったので、自分もそうすればできると信じていました」。

そうした努力の甲斐あって、在職中、無事に「ウンログ」をリリース。かと思いきや、アプリをアップデートする際、アプリの審査員からリジェクト(却下)を意味する英語のメールを受け取った。「翻訳すると、『粗野なコンテンツだ』『キャラクターが下品だ』と。なんだか笑えてしまって、その内容をブログに公開したんです。そうしたら、同じようにうんち系のサービスを展開している読者の方がコメント欄からアドバイスをくださって。そのアドバイスをもとに、茶色いキャラクターを真っ白に変え、『これはおばけです』と言い張るなどして、なんとか乗り切りました(笑)」

「健康管理」「病気予防」「治療」に貢献し、
世の中に大きなインパクトを与えたい

将来の展望

勤務先を退職後、2013年8月に起業し、自宅にて一人で「ウンログ」の運営をスタート。このアプリ事業が、2014年11月にNTTドコモ・ベンチャーズ主催のインキュベーションプログラム「ドコモ・イノベーションビレッジ」で評価され、審査員賞を受賞。現在は、同プログラムの受賞者が集まるシェアオフィスにて、スタッフを増やしながら事業拡大に勤しんでいる。

これまで、「ウンログ」と腸内フローラ検査でユーザーの「健康管理」に貢献してきた同社は、新たな目標として、「病気予防」や「治療」に貢献することを目指す。「『ウンログ』と腸内フローラ検査を通じて集めたうんちデータや腸内細菌データ、生活習慣データからは、腸内細菌と健康の関係、将来的には病気リスク評価など、さまざまな情報が得られると期待されます。それら情報を食品会社や製薬会社に使っていただいたり、研究機関の研究支援に役立てたりして、病気予防や治療に生かしていくことが次のステップです」

「健康管理」から「病気予防」「治療」へ――。目標は進化していくが、その軸となるのは「うんち」に変わりない。田口氏は言う。「前職の会社がデータベースを扱う会社だったので、データを集め、加工して売るといかなる利益が生まれるか、よく理解しています。特に価値があるのは、世の中にまだない情報です。ありそうでなかった、集めづらい情報が集まったとき、世の中にどんなインパクトを与えるか考えるとワクワクしませんか? うんちを通じて、その兆しがようやく見えてきたところです」

ウンログ株式会社
代表者:田口 敬 氏 設立:2013年8月
URL:http://unlog.co.jp/ スタッフ数:5名
事業内容:【個人向け】ヘルスケアアプリ・メディアの開発・運営 【法人向け】腸内フローラ研究支援、プロモーション支援

当記事の内容は 2017/08/10 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

起業、経営ノウハウが詰まったツールのすべてが、
ここにあります。

無料で始める