日本酒の情報流通に革新を起こす!
国内最大級の日本酒専門メディアの挑戦

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 東 雄介  編集:菊池 徳行(ハイキックス)

日本酒の魅力を伝える記事を配信。
各酒蔵のWeb戦略のサポートを提供
展開している事業の内容・特徴

20160809-3たびたび「日本酒ブーム」が叫ばれながらも、その実、国内の日本酒消費量は右肩下がりで推移し続けている。株式会社clearはこの現状を打破するべく、伝統ある日本酒業界をITで支えているベンチャーだ。

同社は、日本酒専門メディア『SAKETIMES』を運営している。日本酒の資格試験のなかでも上位である「酒匠」取得者など、日本全国に散らばる約20人の「SAKETIMESライター」が、各地の酒蔵や飲食店、イベントレポートなど日本酒の楽しみ方などをテーマに執筆、1日2~4記事を配信する。

2014年6月にスタートしたばかりのメディアだが、20~30代の若い日本酒ユーザーを中心に熱烈な支持を集めており、現在の月間ユニークユーザーは10万人、月間40万PVを誇り、今なお成長中。日本最大級の日本酒メディアとしての地位を確立しつつある。

同社の生駒龍史代表によれば「日本酒は、知識が深まっていけばいくほど楽しめるという側面もある。そのせいか、ファンの間では『そんなふうに飲んだらダメ』といった否定表現の会話をすることがあります。SAKETIMESでは『もっとこうしたら楽しめるよ』といった肯定表現を心がけ、楽しく日本酒の魅力を知っていただこうと思っています」

SAKETIMESに付随して、2015年10月から酒蔵を対象にした「SAKETIMESパートナーズ」を開始。これは、SAKETIMESの記事からの情報配信を軸としたWebプロモーションを行う月額会員制サービスである。利用料金は月額数十万円ほど。SAKETIMES内での連載記事と、記事から得られたリアクションやマーケティングデータの提供がサービスの柱だ。

「酒蔵さんも、そのほかの日本酒業界関係者も、皆さん日本酒のファンを一人でも増やしたいと思っている。そのために試飲会などを開催していますが、そういった日本酒を“体験”してもらう前に日本酒を“知る”というフェーズがもっと必要だと思うのです。そんなプロセス、機会を増やすため、当社が各酒蔵さんのWeb戦略事業部として、彼らの情報発信をサポートします」

日本酒の定額購入サービスで成功するも、
ファン掘り起こしのためメディアに転換
ビジネスアイディア発想のきっかけ

20160809-2生駒氏は、かつて日本酒の定額購入サービス「SAKELIFE」を成功させた人物。もともと日本酒は好きではなかったというが、熊本県酒造研究所の「香露」を飲んだことでその美味しさに開眼。25歳にして日本酒EC事業を立ち上げた。

果たして「SAKELIFE」は、クラウドファウンディングによる資金集め、また「何を飲めばいいかわからない」ユーザーに対し、さまざまな銘柄の日本酒をキュレーションしながら「あなただけのとっておきの1本をお届けする」というコンセプトなどで話題になった。のちに、リアルに日本酒を体験できる場所として日本酒ダイニング「sakeba」を渋谷に開店させてもいる。

しかし、2014年、順調だったこれらの事業をすべて譲渡し、「SAKETIMES」に注力することになる。

「SAKELIFEもsakebaもよい事業だと思っています。しかし、全世界に大きくスケールするビジネスになるかどうかはわかりません。私たちは、ベンチャー企業として社会にイノベーションを起こす存在でありたいと思っています。そのためには、もっと多くの日本酒好きを掘り起こしたい。ならば、今は日本酒を『伝える』『知ってもらう』事業――つまりメディアをやるべきだと判断したんです」

それまでの事業で蓄えた資金と、自社開発していたネット通販システムの売却で得た資金、日本政策金融公庫からの融資、合計1000万円弱を元手にした再スタートである。

それからの1年は、マネタイズを考えずWebメディアとしてのブランド確立に努めた。そして2015年10月頃、「日本酒に関する記事であれば、PV数ではSAKETIMESの10倍以上ある大手Webメディアを上回るシェア数を得られるようになった」のを機に「SAKETIMESパートナーズ」のサービスを本格スタート、マネタイズに踏み切った。

「SAKETIMES」英語版もリリース。
正しい日本酒の情報を世界に広めたい
将来の展望

現在の「SAKETIMESパートナーズ」は、大手の酒蔵を中心に10数社が利用。これの数を増やすことが目下の課題になる。生駒氏によれば、「月額料金をより抑えたサービスもいずれは始め、小さな酒蔵さんへの間口を広げていきたい」とのこと。

「またお客さまと話をしていると『酒造りの上流のところから協力してもらえないか』という相談をいただきます。Webメディアで情報発信をするだけではなく、新銘柄の企画やラベルのデザインなどのお手伝いも、すでに始めています」

同社にとって最終的なミッションは「日本酒の情報流通に革新を起こすこと」。背景には、「日本酒消費量が減り続けているのは、消費者が日本酒の魅力を伝える情報にたどりつくことができないため」という問題認識がある。

つまり日本酒の情報を得たい人と、日本酒の魅力や新商品のニュースを届けたい酒蔵、両者をマッチングさせる機能を持ったインフラを目指すということだ。これまでの記事のリアクションを分析した結果から、今後は飲食店情報も手厚くしていく計画だという。

2016年5月には『SAKETIMES』英語版をリリース。海外に向けた日本酒情報の発信も始めている。

「昨年の日本酒の輸出量は約140億円。これは年々増え続けています。しかし、海外では、まだまだ日本酒の正しい情報が流通しているとはいえない。海外から見れば『同じ米からつくったお酒だから米焼酎も日本酒だ』となってしまうんですね。日本酒の魅力を正しく知りたいと思ったらSAKETIMESを検索してもらえたらいい。そのために日本でやったことを、海外でも愚直にやっていこうと思っています」

株式会社clear
代表者:生駒 龍史氏 設立:2013年2月
URL:http://jp.sake-times.com/ スタッフ数:アルバイトスタッフ含め8名、
ライター数は20名弱
事業内容:・日本酒の魅力を世界に伝えるWebメディア『SAKETIMES』の運営

当記事の内容は 2016/08/09 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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