低価格だけど本格派! 納品3カ月待ちの大人気ワインセラーを開発した「さくら製作所」

企業紹介

執筆者: ドリームゲート事務局

設置面積、新聞紙1枚程度の省スペース性。従来品の3分の1以下の低価格で高機能を実現したワインセラー「FURNIEL(ファニエル)」シリーズ
展開している事業・特徴

20150514-22015年1月にリリースされた、ワインセラー「FURNIEL」が、ひそかな大ヒット商品となっている。開発・販売しているのは、2014年5月に設立されたばかりの家電メーカー「さくら製作所」というベンチャーだ。

12本を収納できる小型機から、89本収納タイプの大型機まで4種の製品を販売しているが、一番人気は24本収納タイプ。このタイプは注文してから納品まで3カ月待ち、ほかの3種も2カ月待ちという状態だ。

販売して間もなく、雑誌『PEN』のワイン特集で紹介されたことをきっかけに、一気にワインファンの間で知られるようになった。主な販売ルートは家電量販店で、ビックカメラやヨドバシカメラなど大手が取り扱っている。

「FURNIEL」が大ヒットした要因は、まず12本と24本収納タイプだと設置面積が新聞紙1枚以下という省スペース性にある。価格も8万~10万円程度だが、機能は30万~40万円ほどする従来品に引けを取らない。また、1機種で異なる2つの温度が設定できるため(設定範囲は5~20度)、日本酒の冷蔵保管にも使える。ちなみにワインの保管時の適温は14度、日本酒は5度といわれている。

しかし、相当なワイン愛好家でもなければワインセラーを自宅に置かないだろう。実際、ワインセラーの市場規模は、冷蔵庫の100分の1程度といわれている。冷蔵庫の国内出荷台数は年間約400万台なので、ワインセラーの年間出荷台数は約4万台と推測される。特に目立った新規参入がなかったニッチなマーケットといえる。
参考資料:経済産業省 資料「電気冷蔵庫及び電気冷凍庫の現状について」より
http://www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/shoene_shinene/sho_ene/denki_reizouko_wg/pdf/001_05_00.pdf

しかし、国内のワイン消費量は年々増加している。メルシャンが発表している資料によれば、日本人1人当たりの年間消費量は2012年で2.57リットル(750mlボトル換算で3.4本)。20年前の1992年(0.88リットル)と比べると約3倍にも増えている。しかし、本場であるフランスやイタリアと比べると20倍以上の差があり、まだまだ成長余地のある市場といえる。メルシャン調べでは、過去に7回のワインブームがあり、そのたびに消費量が着実に伸びてきたという。こうしたブームの進展も、「FURNIEL」のヒットを後押ししているようだ。

大手ワインセラーメーカーを飛び出して起業。理想のワインセラーの開発へ
ビジネスアイデア発想のきっかけ

20150514-2さくら製作所株式会社は、社長の吉友誠氏と、取締役兼営業本部長の穂積亮雄氏の2人が立ち上げたベンチャーだ。吉友氏は、同社を設立する前、農業機械メーカー向けに「玄米保冷庫」を製造・販売する会社を創業し、20年間経営してきた人物。その技術を生かしてコンシューマー向け家電製品の開発を検討している際、ワインセラーが開発できないかと思いついた。

一方の穂積氏は、ワインセラーの国内メーカーとして知られるフォルスタージャパンでワインセラーの製造に従事していた。穂積氏が担当した海外大手家電メーカーとのOEMによって企画、開発したワインセラーは、2014年に国内販売シェアナンバーワンとなるなど、まさにワインセラーのプロフェッショナルだ。

吉友氏とは、玄米保冷庫の取引を通じて親交を深めていた関係で、吉友氏の構想に賛同した穂積氏は、さくら製作所の設立に参画。自分が思い描く理想のワインセラーづくりに挑戦する決意を固めた。一方、FURNIELシリーズの制御系の開発において吉友氏は、同社設立前から企画・設計・試験を繰り返し、延べ開発期間は足かけ3年にもおよんだという。

しかし、理想のワインセラーを開発する前に、難問にぶち当たった。それは、日本の住環境にマッチした小型化と静穏性、省エネ性。外気温が25℃の環境下の年間消費電力わずか80Kwh/年(SAB-50G-PB 12本収納タイプ)は、同じコンプレッサー式の12本タイプの製品と比較すると半分程度の消費電力だ。また、冷却性能を上げればファンの騒音が大きくなり、音を下げるためには性能を犠牲にする必要がある。そこで両氏氏は、家庭用冷蔵庫などで使われていた技術を研究。薄いアルミ板をたくさん取り付け、空気に接する面積が大きい冷却器や独自の空気循環用スリットを採用するなどして、温湿度性能と静穏性、省エネ性を実現した。

目標は5年以内に国内シェア50%の獲得。日本にワイン文化を根付かせる
将来への展望

穂積氏にこれからの展望を伺ったところ、3年以内にワインセラーの本場である欧州進出を計画。さらに、5年以内に、国内シェア50%を獲得することも大きな目標であると語ってくれた。

同社の理念は、ワイン文化を日本に根付かせること。ワインセラーを起点に、レシピサイトなどと連携して、個々のワインに合う料理を提案するアプリなどの開発も構想中。大きくは、国民の生活をより豊かにする、食を通じた総合的なサービス事業体を構築するのが同社の戦略方針だ。

実際の販売データではないが、価格.comのPVシェア率では、2015年4月27日~5月3日の期間において、同社は15.56%と東芝やフォルスター社を押さえて第1位となっている。ちなみに、世界市場では中国のハイアールがシェア1位。ハイアールといえば、今や世界的な巨大家電メーカーだが、巨人に挑むのがベンチャービジネスの醍醐味。さくら製作所の今後の成長に多いに期待したい。

さくら製作所株式会社
代表者:吉友 誠氏 設立:2014年5月
URL:
http://sakura-wks.com/
スタッフ数:10名
事業内容:
・ワインセラーの製造・販売

当記事の内容は 2015/5/21時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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