半年で6000アプリが誕生。Web上でアプリ開発ができる世界が注目のサービス「Monaca(モナカ)」

IT・インターネット

執筆者: ドリームゲート事務局

これからの時代、モバイルアプリ開発はHTML5/JavaScriptで!
口コミだけで月400人のアプリ開発者が増加するプラットフォーム 展開している事業内容・特徴

asial1スマートフォンの爆発的普及とともに、様々なアプリが開発され、リリースが続いている。ほんの2年前まではパソコンがメインだったアプリ開発も、今はスマートフォンやタブレットで使えることが当たり前。そんな状況下、世の中のITエンジニア、クリエイターはアプリのモバイル対応に四苦八苦している。

通常、モバイルアプリの開発に関して、iPhoneの場合はObjective-C(オブジェクティブ シー)という特別な言語とMac PCが必要となる。一方、Androidの場合にはJava(ジャバ)という言語が開発に必要だ。

これまでは、それぞれのOSに合わせて、開発マシン、言語を揃える必要があり、手間がかかっていた。特に、Androidでは頻繁にバージョンアップが行われ、最新では4.1だが、3年ほど前に登場した1.6などもまだ現役で使われており、そのバージョンの多さが開発者を悩ませている。

そうした悩みを吹き飛ばすべく、それぞれのデバイス・OSに対応したアプリを、一度に開発することができるサービスが誕生した。しかもブラウザ上で簡単につくれるというから驚きだ。それが、今回紹介する「Monaca(モナカ)」である。

「Monaca」では、開発言語にHTML5とJavaScriptを採用しており、異なるOSでも同時に開発することを可能にしているのが最大のポイント。HTML5といっても従来のHTMLとしても書けるので、Web制作の知識があれば、容易にアプリ開発ができる。開発・運営元のアシアル株式会社・代表の田中正裕氏によれば、世界と勝負できるサービスだという。

もちろん、開発したアプリはApp StoreやGoogle Playを通じて配布することも可能。「Monaca」上で開発された人気アプリに、「テレ朝動画アプリ(公式)」などがある。

そんな「Monaca」には、モバイルアプリ開発を簡単にする機能が満載だ。例えば、あらかじめ用意されたテンプレートを利用することで、アプリの短期開発が可能。また、開発中のアプリを実機で簡単にテストできるMonacaデバッガーを搭載。他にも、JavaScript での開発ながらGPSやカメラ、各種センサー機能などスマートフォン端末が持つネイティブ機能との連携も簡単にできる。

登録開発者数は2012年8月時点で日本語版、英語版を合わせて約4000人。広告などはほとんど行っていないにも関わらず毎月300~400人のペースで増加している。Webサービスを作るエンジニアはもちろん、デザイナー、ディレクターといった非エンジニア系も多く利用している。

「Monaca」は、業務用や商用開発にも使えるツールとして、今も急ピッチでバージョンアップが進められている。現在はベータ版として無料で使うことができるが、近々正規版をリリースする予定。高機能な有料版も公開したいと田中氏は考えているそうだ。

「アシアルの培った知識や経験を共有する」という理念のもと、社内向けに開発したツールをWebサービスとして一般公開 ビジネスアイデア発想のきっかけ

asial2アシアル社は、PHPに特化したシステム開発会社として、2002年7月にスタート。受託のWebシステム開発はもちろん、PHPのセミナーやスクール事業なども展開してきた。

2010年頃からKDDIやテレビ朝日をクライアントとして、スマートフォンアプリ開発を本格的に開始。それから徐々にアプリ開発の割合が増加し、2年ほどたった現在では、案件のなんと大半がスマートフォンに関するものになっているという。

そんななか、社内でiPhone向け、Android向けに個別にアプリ開発をし、検証・テストするのが大変になってきた。特にAndroidはOSのバージョンや端末の種類が多数あり、それも日々進化していくので、ついていくのに精いっぱい。そこで、社内で使うアプリ開発用のツールを整備し始めたのが、「Monaca」開発のきっかけだという。

2010年ごろから社内用ツールとして開発を進め、2011年8月には関係者や知人などに限定公開した。数百人程度のユーザーだったが、その反響が大きかったため、2012年2月にはベータ版としてオープン。さらに「Demo Asia」等の国内外のプレゼンテーションコンテストやカンファレンスに参加し、PRしたことがきっかけで、急激にユーザー数が増えたという。

意外なところでは、テレビ東京の「モーニングサテライト」という朝のニュース番組でも取り上げられた。「スマートフォンアプリベンダーの将来性」というテーマだったそうだ。

「Monaca」は、もともと社内向けに作ったサービスであるが、これを一般公開しようと思ったのは、「アシアルの培った知識や経験を共有する」という会社の理念に従っただけだという。

アシアル社はそれまでにも「PHP」という開発言語で様々な技術ノウハウを公開し、セミナーや有償サポートで収益を得ていた。技術ノウハウを公開すればするほど、自社のビジネスにもプラスになるという仕組みができ上がっていたわけだ。オープンソース、フリーミアムなビジネスモデルの好例ともいえるだろう。そこで「Monaca」に関しても「共有」という基本理念に従い、自然と公開しようという動きになったという。

HTML5とJavaScriptを利用しているのは、今後の主流言語としてこの二つが有望だという考えのもと。これまではサーバ側で処理をして、結果をPCに返すという、サーバ中心のシステムが主流だったが、これからはフロント側で複雑な処理をさせて、サーバの負荷はむしろ下げるようなシステムが主流になっていく。その主流となるのがHTML5とJavaScript と考えてのことだ。もちろん、この二つの組み合わせは、Webサイトをつくる人なら大抵の人が使った事のある組み合わせで、習得の容易さ・学習コストの低さも見逃せないポイントだ。

JavaScriptに関していえば、最近ではサーバ側でも積極的に使われ始めている。node.jsなどが有名だが、JavaScriptはフロント側でもサーバ側でも共通して使われる言語として注目されているのだ。

逆に単独のプラットフォームでしか使えない技術や言語の衰退は早い。例えば、ほとんどのパソコンの上で動くようになっていたFlashなどは、スマートフォンでは動かないことから、急速にHTML5への代替が進んでいる。近い将来、マイクロソフトのVBなどで構築された業務用ソフトの世界も、JavaScriptでつくられたアプリに置き換わっていくだろうと、田中氏は予測している。

100万人のアプリ開発者が利用する、プラットフォームを確立していきたい 将来への展望

これまでの10年間は、Webを中心としたシステム・サービスが全盛で、アシアル社も例外ではなく、2002年に創業して以来、PHPをメインにWeb系の仕事が大半を占めていた。しかし、ここ2年でスマートフォン関係の仕事が9割になったという田中氏の話のとおり、開発現場にも急激な変化が起きている。

システムやサービスを使う端末が、パソコンからスマートフォンに移行していくなか、世の中の開発者たちは試行錯誤しながら、その動きに乗り遅れまいとしている。そんな苦労を皆がしなくても済むようなアプリ開発のプラットフォーム整備を進めるというのは、とても意義のある活動だ。そして、そこから派生するビジネスの規模も非常に大きい可能性がある。

現在、「Monaca」のユーザー数は4000人程だが、日本国内には50万人ものITエンジニアがいるといわれている。まずはその50万人に使ってもらうというのが目標だ。さらにその先、企業の経理部や総務部にいる「マクロ職人」、「Excelスペシャリスト」というような人たちが、簡単にスマートフォンアプリを開発して、業務用システムがつくれるようになれば、マーケットサイズは50万人どころか、数百万人規模になるだろう。そして、潜在的なアプリ開発者は世界中にいる。

スマートフォンのマーケットは、まだ始まったばかりだ。今はiPhoneとAndroidの2強時代だが、パソコンで覇権を取ったマイクロソフトはこの秋にWindows 8を市場投入する。また、半導体大手のIntelは「Tizen(タイゼン)」というスマートフォン用OSを開発している。また、ブラウザソフトのFireFoxで有名なMozillaも「FireFox OS」というスマートフォンOSを準備している。

スマートフォンのシェア獲得競争はまだまだこれからである。そんななか、世界中の開発者を対象としたプラットフォームの展開を目論むアシアル社の今後に注目していきたい。

アシアル株式会社
代表者:田中 正裕 スタッフ数:30名
設立:2002年7月 URL:http://www.asial.co.jp/
事業内容:
Webサイトの開発。PHPのセミナー、教育事業。スマートフォンアプリ開発のプラットフォーム事業「Monaca」の運営。

当記事の内容は 2012/8/30 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。