起業家、会社のリアルなストーリーを蓄積し、PR活動を支援する無料プラットフォーム「株式会社PR Table」

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

3ヶ月で200社が登録!「会社の成長アルバム」がステークホルダーと会社をつなぐストーリーテリング・サービス「PR Table」。
展開している事業の内容・特徴

20160204-1マーケティングとPR。どちらもステークホルダーとの距離をより縮めるための、“共感づくり”である。それぞれ手法はさまざまにあるが、「モノよりコト」、「モノを売るよりストーリーを〜」が販売の鉄則であるように、やはりストーリー性のあるものは強い。事実、マーケティングの世界では、近年、ストーリー・マーケティングが再熱しているという。

一方で、PRの場合はどうか。PR活動の要となるメディアリレーションズにもストーリー性はあるが、メディアフォローが大きいため、プッシュしたい内容は各媒体の意向に沿った形で世に出される。もちろん、それがデメリットになるというわけではないが、会社本来のストーリーがそのままPRとして出ることはまずない。しかし、そのような「会社の生の声」も、深くステークホルダーの記憶に残りうる、PR活動のひとつになりうるのではないだろうか。

この回答と言えるサービスが、今回紹介する株式会社PR Tableの「PR Table」だ。会社の「リアルなストーリー」のもと、会社とステークホルダーをつなげるストーリーテリング・サービスである。

同サービスの構成はとてもシンプルで、会社のストーリーに特化した経営者・広報・人事担当者向けの無料ブログサービスといえばイメージがつきやすい。「起業のエピソード」、「プロダクトへの想い」、「開発の裏側」等々、語りたいテーマを決めテキストを作成することができ、画像・動画掲載も可能。ストーリーを蓄積する「ストーリールーム」には、自社HPへの埋め込み機能や、採用活動にストーリーを活用できるWantedlyとの連携もある。作成には、わかりやすいテンプレートや、オンラインチャットの無償サポートサービスもあるので、ライティングな苦手な会社でも手軽にストーリーを作り上げることが可能だ。またそれでも、作成時間が取れない、またはライティングをプロに任せたいなどの会社に対しては、有料サポート「ストーリー代行サービス」も用意。もともとPR Table社は、PR業界のプロが集まったベンチャーで、現在は“伝えるプロ”と称される、会社・団体の想いを言語化するハイスキルのライターとも多数提携。個々の会社が持つ独自のストーリーの良さを、余すところなく文章に落とし込める強固な布陣を築いている。

PR Table社代表の大堀航氏は、PR Tableを「会社の成長アルバム」とも例えるが、まさに言い得て妙で、例えばスタートアップからの事業スケールを刻々と記録してもいい。また、何か記念事があればその様子を残していくのもいいだろう。同サービスに蓄積されたストーリーは会社にとってはアルバムであり、ステークホルダーにとってはその一つひとつがコンテンツとなる、垣根ない環境が創出されている。ある事例では、入社2年目の社員が「僕が見るこの会社の経営視点」というストーリーを作成したそうだ。記事は今では会社の入り口に飾ってあり、その社員の両親も喜んでいたそうだが、これこそ、アルバムとして色褪せないうつくしい事例だ。

ローンチから3ヶ月が経過したばかりの同サービスだが、現在の登録会社数は、IT系ベンチャーや人材系会社を中心におよそ200社。その中には、ストーリーが話題を呼び、早くも多数メディアに取り上げられ、SNSで3万以上ものシェア数を誇った飲食店も誕生したという。

自らが信じる本当のPRを求め起業。マネタイズでの逆境から、着想したアイデアでビジネスモデルを確立。
ビジネスアイディア発想のきっかけ

20160204-2PR Table社の代表取締役社長・大堀航氏が、PR業界を経て起業したきっかけは、大学4年生時代。留学先のロンドンで、ルームメイトのスイス人と意気投合したところからはじまる。帰国後も交流は続き、進路の定まらない大学生活を過ごしていた大堀氏に、スイス人の友人がスイス人と日本人の共同によるアートイベントへの出展を誘った。そして大堀氏は、プロジェクトの取りまとめ役として集客を担当することになる。その集客方法を求めるべく書店に行ったとき、たまたま手に取った書籍を読み衝撃を受けたのだという。

「手にしたのが、『PR会社の時代(矢島尚 著)』でした。集客のヒントになるような本をとりあえずと思い目を通したのですが、会社は公器であり、ステークホルダーと良好な関係を構築しなくてはいけない、それがパブリックリレーションズであり、その活動をサポートするのがPR会社の仕事だということを知り、とても魅力を感じたんです。実は、当時大学6年生になる頃で(笑)、それまでは進路も考えていなかったんです。でも、この本が転機となり、PR会社にアルバイトするようになり、どんどんPRが自分のテーマになっていきました。」

大学卒業後は、PR会社であるオズマピーアール社に新卒で入社。本で得た知識が体験に変わり、やりがいを感じる毎日だったという。しかし、しばらくして、大堀氏はメディアだけではなく、ユーザーや投資家、従業員、そして地域、家族に至るまでのステークホルダーともいい関係を構築できる本質的なPR(パブリックリレーションズ)を追求しようと日々思案するようになっていく。そして、その思案は大堀氏をPR業界から遠ざけることとなり、約4年勤務したオズマピーアール社を2013年2月に退社し、ベンチャー企業のレアジョブ社へ入社。ゼロの土壌から、これまでの知識と経験を活かしPRを展開させ、急成長を遂げていたレアジョブ社の上場実現に貢献した。そうして、上場後の2014年12月に退社し、立ち上げたのがPR Tableだった。起業のタイミングについては、「求めていた自分の理想のPRを実現させなくてはという考えがピークに達していた」と語ってくれた。

設立当初の事業はオウンドメディアの運用。レアジョブ時代からPR業界でフリーランスとして働く実弟・海氏とオズマピーアール社時代の同僚でエージェンシーを務める菅原氏との3人で行っていたPRパーソンに向けたメディアで、「働き方」や「求められるスキル」など自分たちのPRノウハウを情報発信していたという。徐々にそのメディアはPR業界やベンチャー界隈に注目を集めるようになり、また、ハイスペックなフリーランスからも問い合わせが増えていった。そうして、「仲間」や「チームでもっといい仕事に取り組みたい」というフリーランスのニーズを知った同社は、完全招待制のオンラインコミュニティを設立。PR業界のコンサルタントや編集者、ライターなどが気軽にコミュニケーションやパートーナ募集、案件紹介などを行える場を設立した。初期の頃は、このコミュニティをクラウドソーシングのようなマッチングのビジネス展開も想定していたというが、いわゆる“中抜きビジネス”は自分の指針と異なると感じやめたという。こういった背景もあり、うまくマネタイズはできず、日に日に貯金が減っていったと大堀氏は当時を振り返るが、その環境から着想したのがPR Tableだった。現在のコミュニティに在籍するフリーランスは約130名。その内の数名が、同サービスに参画している。

粛々と事業を展開させながら、事例を増やし、ストーリーの魅力を幅広く提案。日本全国のいい会社の想いを、世界へ。
将来の展望

今後、同社が当座の目標に据えるのは主に2点。まずは、自分たちでキャッシュフローを回せる運営体制の構築。マネタイズについては、ストーリー代行サービスのみが収益となっていることから、顧客の積極的な開拓に取り組んでいく。また、有料機能の実装なども検討し収益の増加を図りつつ、キャッシュフローを回せる体制を構築していくという。

もうひとつは、ストーリー作成環境の充実。最近、同社は、リーダーシップコミュニケーションの草分け的存在として、これまで数百人の社長や起業幹部のプレゼンやスピーチトレーニング、メッセージ開発を手がけてきたコミュニケーションイノベーター・ストラジスト岡本純子氏を顧問に迎えており、アカデミックなノウハウを吸収しながら、各会社の想いをストーリーにしっかりと再現できる独自フローの構築に取り組んでいきたいとしている。また、作成・編集の効率化も取り組むべき課題にしており、事前コンサルから、取材、執筆、編集までを見直し、スマートかつ高品質なストーリーの提供をめざしている。

取材の最後に大堀氏に将来の展望を伺った。
「日本の会社は世界からみてもユニークな会社といわれています。例えば、世界中にある創業200年以上の会社の約4割が日本。それほど多くの会社が途方もない歳月を経ても存続しているというのは、例えば従業員は家族同然といった日本独特の風習なども関係しているのではないかと思っていて、そういったこともストーリーや情報として発信していきたいと考えています。“おもしろ”四季報というのでしょうか。四季報のああいった、左脳型の情報にエモーショナルなトピックも入れて、日本の会社、そこに働く人々の魅力を国内はもとより、全世界に発信していければと思っています。今はまだスタートアップ・ベンチャー企業の利用が中心ですが、サービス環境を整えながら、日本中のいい会社の想いを可視化していきたいですね。」

株式会社PR Table
代表者:大堀 航氏 設立:2014年12月
URL:https://www.pr-table.com/ スタッフ数:6名
事業内容:
・ストーリーテリング・サービス「PR Table」の開発・運営

当記事の内容は 2016/02/04 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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