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大企業からベンチャーにレンタル移籍!? 新しい人材サービス「LoanDEAL(ローンディール)」

執筆者:ドリームゲート事務局
更新日:2015年12月08日

ビジネスパーソンを企業間のレンタル移籍プラットフォーム・サービス。新しい雇用形態、人材教育の形となるか。 展開している事業の内容・特徴

事業を行う上で重要な3要素といえば、ヒト・モノ・カネ。そのうち、特にヒト、つまり人材の確保は、規模の大小にかかわらず常に経営者の大きな悩みだ。

LoanDEAL1ただし、ベンチャーと大企業では悩みの軸が違う。ベンチャーについては絶対的に人材が足りない。スタートアップ時であれば創業チームとその知人友人などが採用の第一候補となる。特に有名大学や大企業出身の創業者であれば、周囲に自然と有能な人材がいる事も多い。しかし、知人・友人人脈を掘りつくしてしまうと、途端に有能な人材の獲得が困難になる。特にまだ事業が大成功したわけでも有名でもないベンチャーに、優秀な人材が飛び込んでくることは稀で、転職斡旋会社や求人広告会社に高いお金を払って中途採用などをするしかなく、ベンチャーにとってそのコストは非常に重い。まして新卒採用して教育するとなれば尚更だ。

一方の大企業の課題は少し違う。人材自体はたくさん抱えているものの、高度に専門特化・分業化が進んだ結果、現場で得られる経験が限定的になりがちのため、あるいは遣り甲斐のある面白いプロジェクトや新しい取組にチャレンジできる機会はさらに少ない。結果として人材の成長機会が乏しい。複数の事業分野やグループ企業をいくつも抱えている場合は定期的に人材を異動させる、出向させるなどして経験を積ませるやり方も多いだろうが、それでもやはり内輪でしかない。

今回紹介するのは、そうしたベンチャーと大企業の課題を結びつけて、企業間で人材をレンタル移籍させるというサービスを行っているベンチャー、株式会社ローンディールだ。

サービスの内容は人材を出したい企業(主に大企業)と、人材が欲しい企業(主にベンチャー)を集めて、マッチングを行うというもの。ベンチャーにとって大きな戦力となる人材を受け入れることができ、大企業は人材のさらなる成長を図ることができる。2015年9月15日にローンチされたばかりだが、創業者の原田 未来氏によると、既に40社を超える企業と契約しているという。募集はプロジェクト単位でも行われ、一部は同社のサイト上に公開もされているが、大半は非公開の案件が多いという。

公開されている募集人材については、企画・営業・マーケッター・エンジニアなど。事業に直結かかわる人材がベースとなるが、他に経理といったバックオフィス人材の依頼もあるのが面白い。原田氏も当初は意外だったそうだが、こう話す。「10人程度の規模のベンチャーの採用は、事業戦力になる人材が中心。バックオフィスは後回しになるので、経理業務のほとんどは各CFOが兼任しているとことが多数です。派遣やアルバイト用のマニュアルを作成しようにも、なかなか手が回らない。そこで、事業を成長期から安定期へ移行させるための仕組みづくりとして、ニーズがあるのだと思います。一方の送り出す側企業にとっても、人材が会社全体の流れを意識した上で業務をこなす経験を得られるので、魅力的な案件だと感じていただけているのではないでしょうか。」

利用シーンとしては、例えば数千万〜数億円程度の資金調達まで完了し、スタッフも10~15名程度にまで成長しているベンチャーの、管理部門のマネジメント職などに大企業から人材を送り込んでもらう。大企業側からみるとベンチャーに出向する形だ。特に30才前後でスキルも意欲も十分だが、上が詰まっているため活躍できる場が少ない人材に、ベンチャーの経営を経験してもらう。例えば総務畑にいる人材が、ベンチャーの管理部門でIPO準備であったり、財務戦略までを見据えた経理業務であったり、あるいは各種規約の整備や組織化といった、大企業では既に整備されつくしているため経験できない仕事をするといった具合だ。組織や業務をゼロから自分で考えて作り上げるという仕事は、非常に効果的な教育機会、トラックレコードとなる実績の経験、仕事への自信となり、そうして成長した人材が大企業に戻れば、その企業の将来を担う貴重なコア人材となるだろう。

LoanDEALの仕組みは、転職や中途採用ではなく、あくまで出向という形態にポイントがある。出向する人材側としては、大企業を辞めてベンチャーにチャレンジするというのはリスクが高い。せっかく入った大企業、特に幹部候補は新卒組が中心といった場合は、その企業を支える人材となれえるチャンス、キャリア設計は捨てがたいだろう。

一方のベンチャーも大企業の幹部候補になるような優秀な人材は、喉から手が出るほど欲しいが、まず個人的なつながりでもない限り、そうした人材に出会う機会すら少ないというのが実情だ。

つまり、大企業は将来のコア人材に得難い経験を積ませることができ、ベンチャー側は労せず優秀な人材を迎え入れられ、人材自身にもリスクは無い。まさに三方よしのビジネスモデルだ。それゆえ、同社の現在の収益源はべンチャーからの10万円/月の利用料および、同社の研修プログラムを活用する場合には大企業側からも10万円/月の研修費用を設定している。

13年間務めたベンチャーの幹部としてIPOまで経験。そこで得た自分自身の経験から、人材流動の重要性とビジネスチャンスに気づいた。 ビジネスアイディア発想のきっかけ

株式会社ローンディールを創業した原田 未来氏。もともと起業家という意識はなく、学生時代には写真家になりたいと考えていたそうだ。就職活動などにも興味がなく、たまたま商品撮影のアルバイトを募集していたラクーンというベンチャーに入社した。しかし、写真とは関係なく、次々といろいろな仕事を任せられるうちに、26才で部長職となった。さらにその後も会社は順調に成長し、2006年4月には東証マサーズにIPOを果たした。

LoanDEAL2三十代にして、上場企業の幹部としてそれなりの待遇がえられるようになり、安定した生活…。そこに違和感を感じ、さらに「あがってしまった」感を覚えたという。こういった状態に、原田氏は、安定と成長はトレードオフなのかと自問。その答えを求めるべく外の世界で経験を積みたいと考えるようになり、LoanDEALというビジネスモデルの着想を得たそうだ。

とはいっても、いきなり起業するのはリスクが高いと考えた結果、価格.com・食べログなどで知られるカカクコムに転職した。それまで1つの会社しか知らなかった原田氏にとって、転職先は「初めて外の世界を見た」という印象。なかなか成果が出せず苦労もしたそうだが、その経験も含めて、普通では得られない貴重な機会・経験が出来たと実感。この感覚をより多くの人に提供したいと考え、起業を決意した。

LoanDEALの立ち上げについては、まずは自己資金のみで賄おうと決めて、資本金200万円で2015年7月に会社を設立した。資金調達を急がない理由は、ビジネスモデルが固まらないうちに外部資本を入れてしまうと、早く売上をあげることが目的となってしまい、本当にやるべき事からずれてしまいかねないという懸念からだ。

もちろん課題がないわけではない。大企業によっては外部との交流を避けがちな文化を持つところも少なくない。特に自前でなんでもできる超大企業、巨大商社などはその傾向が強いというが、一方でメーカーや出版社などからは反応が良いという。

その理由を原田氏はこう分析する。
「大企業でも本業の市場自体が縮小傾向にあるところ、あるいは世界的な競争におかれている場合は危機意識もあり、人材育成の重要性やオープンイノベーションなどに理解があると感じています。あとはオーナーシップの強い大企業も反応が良いですね。トップダウンで素早い意思決定、長期視点での戦略策定が出来る企業ほど、新しいことに取り組みやすいと感じています。」

クローズドな世界だった出向をオープンにする。新しいビジネス文化を作り上げる。 将来の展望

原田氏に今後の展望を伺ったところ、急速な拡大や大規模な資金調達よりも、まずはノウハウの蓄積によるサービスの体系化や、受入れ期間のバリエーションの検討等、ビジネスモデルの更なる磨き込みが急務であり、じっくりと事業の方針・理念を固めていきたいと語ってくれた。」

また、LoanDEALのビジネスモデル自体も「けっして革新的なアイデアではない」と自己分析しており、実際、個別にこのような人材育成に取り組んでいる企業もある。それをオープン化することが果たして可能なのか、それは未知数だ。」

しかし、上手くいかない理由を並べるより、思い切って挑戦してみた事に価値があると原田氏は語ってくれた。実際、このサービスはベンチャー側には受けが良いものの、人材の出し手となる大手企業を口説かなければ回らない。ベンチャー企業に自社の人材を出向させるという文化自体から作り上げる仕事に、原田氏は挑み始めたところだ。」

同社は第3回ILSにも参加しているが、ILSでの出会いが今後の事業の加速につながりそうとの事で、最後に原田氏からのコメントを紹介して終わりたい。」

「ILSでは多くの大手企業と交流でき、とても大きな後ろ盾となる出会いもありました。今後の事業展開については、大手企業のトップに直接アプローチができないかと考えています。大手企業のなかでも人材の流動化というのは、大きな課題として認識されていると思います。特に意外だったのは、大手企業のなかにオープンイノベーションの流れを受けて、人材を外に出したいというニーズが高まっているという事です。従来の人事部の感覚ではなかなか取り組みづらいと思いますが、そうした常識を破壊して新しい文化を創り出したいと思います。いまのところ、直接競合となる会社は見当たりませんが、むしろ競合が出てきて、一緒に市場を盛り上げていきたいですね。また、これは究極的な目標ですが、終身雇用という文化を復活させたいと考えています。ただし、副業禁止ではなく、むしろいいろいろな仕事を外部でも経験しつつ本籍は変わらず…といった、働き方が出来るような世界を目指しています。」

〈事務局〉

株式会社ローンディール
代表者:原田 未来氏 設立:2015年7月
URL:http://loandeal.jp/ スタッフ数:5名
事業内容:
・レンタル移籍プラットフォーム「LoanDEAL」の運営

当記事の内容は 2015/12/08 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

この記事の執筆者

ドリームゲート事務局
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取材・文:ドリームゲート事務局 起業・開業・独立・ベンチャーの悩みに、専門家がお答えします。無料なのでお気軽にどうぞ。

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