大手保険会社などで導入決定。ユーザーエクスペリエンスを劇的に変えるパーソナライズ動画エンジン「PRISM(プリズム)」

IT・インターネット

執筆者: ドリームゲート事務局

第3回ILSにも参加、商談した大手企業から続々と次回商談が入るほど注目を集めた、「私だけの動画」を自動生成する新サービス。 展開している事業・特徴

20151106-1今回紹介するベンチャーはパーソナライズ動画エンジン「PRISM(プリズム)」を2015年4月にリリースした株式会社クリエ・ジャパン。

同サービスを簡単に説明すると、ユーザーごとに異なる動画を自動生成して配信するというもの。利用シーンとしては、マーケティング動画や動画による営業ツールとして、また健康診断などの診察結果や保健指導を動画として提供するといった使われ方もしている。仕組みは顧客情報に紐づいた各種データをもとに、ベースとなる動画に画像やテキストなどを合成し、かつ、パーツ動画を自由に組み合わせてユーザーごとにシナリオを出し分けることが出来る。これらは、独自開発したスクリプトで合成して自動生成する。映像編集の世界では複数の動画・素材を重ね合わせる事をスーパーインポーズというが、よりわかりやすくいえば、テレビ番組などのテロップを自分達で簡単に入れられるようにしたのが、同社のエンジンの特長。この一連の技術については特許も出願中だ。

同サービスの効果を検証するために行ったテストによれば、約2000人に対して自動生成された動画をメールDMで送付したところ、開封率が約2~3割、動画視聴率は84%という結果だった。通常のメールDMが開封される割合(CVR)は数%程度というのが相場。テストケースとしてはいえ、「私だけの動画」というアプローチは、非常に高い効果があるといえよう。

また、同社によれば動画生成にかかるライセンス料は1本あたり数十円程度。仮に紙のDMを配信する場合、1通あたり印刷費で50円、郵送費で80円、合計で130円ほどになる。紙DMと比べてリーズナブルなうえ、広告効果も高いとなれば、販促・広告担当者には興味深いだろう。

同社は先日行われた第3回ILSにも参加しており、9社の大手企業と商談を行ったところ、ほぼすべての企業と次の商談が入ったそうだ。それほど同社のサービスに対する注目度は高い。また、既に大手保険会社への導入が決まっているそうだ。

インターネット広告の世界は技術革新が早く、従来の手法がすぐに陳腐化してしまう。各企業ではビックデータによる緻密なターゲット分析・マーケティング戦略が進んでいるものの、出口となるエンドユーザーとのコミュニケーションそのものは、人力でのクリエイティブがメインだ。仮にビックデータの分析から1万種類の顧客ターゲッティングが出来たとしても、1万パターンもの広告を制作するのは大変な労力を要する。DSP、SSPといった広告配信最適化サービスなども進んでいるが、それらも出口となる広告自体はテキストベースでの自動生成が主。そこにリッチな広告を届けられるパーソナライズ動画エンジン「PRISM(プリズム)」がピタリとはまった形だ。従来の画一的なマス広告に対して、ユーザー1人1人に合わせた配信を行うレコメンド型がインターネット広告では伸びているが、そのラストワンマイルを自動的に、よりリッチにするサービスともいえよう。

ソフトバンクのブロードバンド事業立上げで、孫社長の側近を約5年務めた結果、サラリーマンから起業家への道へ進む。 ビジネスアイデア発想のきっかけ

20151106-2株式会社クリエ・ジャパンの創業した南野 智近氏。起業のきっけかは孫正義氏。南野氏は2000年にソフトバンク社に転職、ちょうどソフトバンク社がブロードバンド事業を開始するタイミングだったため、グループ各社から人材が集められていた中に、当時27才だった南野氏にも声がかかり、立ち上げメンバーとして参加した。孫氏の側近として約5年間仕えたのち、起業に至るまでの経緯を南野氏はこう語る。

「ソフトバンクに転職したばかりのタイミングで、ブロードバンド事業の立ち上げメンバーの一人として参加できたというのは、タイミング的にラッキーだったと思います。孫正義氏に近いところで、猛烈に仕事をしました。孫社長やソフトバンクに関する書籍はたくさん出ていますが、ブロードバンド立上げ時期について書かれているエピソードの大半を、すぐそばで見ていました(笑)。心身ともにズタボロになるほど働きましたが、自分が手掛けた仕事が、翌日には新聞の一面に載るなど、刺激的な日々でした。もともとは起業家意識というのはなかったのですが、ダイナミックな仕事に携わったり、孫社長に感化されるうちに、いつしか自分でも事業にチャレンジしていきたいという気持ちになりました。2007年にソフトバンクを退職してMBAを取ったのち、起業準備を進めて、2010年にクリエ・ジャパンを起業しました。」

ちなみに、同社のもう一人の創業メンバーである渡邊 克彦氏は、DeNAの創業期の経営メンバーとして東証一部上場に貢献した人物だ。

そうして立ち上がったクリエ・ジャパンは創業事業を推進しながらも、常に動画市場をウオッチし、継続的に調査研究を進めてきたという。

南野氏はソフトバンク時代に動画配信のサービス立ち上げに携わったこともあり、また、クリエ・ジャパン最高技術責任者(CTO)の中沢氏は、放送局のシステム開発実績やYouTubeと同じシステムを自前で開発したことがある強者という背景もあり、クリエ・ジャパンでは、動画市場の動きに応じて、社内で動画生成エンジンの研究開発を進めていた。

その流れの中で、動画で健康診断の結果を通知するというプロジェクトに携わり。導入実績が出来た。これをきっかけに、他の分野にも応用が出来そうという事で、一気に動画によるOne to oneマーケティングソリューションという形の商品化まで進めたのがパーソナライズ動画「PRISM(プリズム)」だ。

2020年までに2000万本の動画を生成・配信し、年商12億円規模に育てたい。 将来への展望

南野氏に今後の展望を伺ったところ、数字としては2020年までに2000万本の動画を自動生成し、年商12億円規模に育てたい。

クリエ・ジャパンは動画生成エンジンに特化する形で、基本的にはパートナー企業を集めてOEM提供という形での販売を主にしている。2015年4月にリリースされたばかりだが、既に数十社を超える企業がパートナーとして名乗りを上げている。パートナーは動画制作会社やITソリューションベンダー、広告代理店、大手印刷会社などが名を連ね、パートナーのサービスとして販売されたり、パートナー企業のソリューションビジネスのなかに組み込まれる形で提供されているという。

動画はテキスト比べて数千倍の情報量を持つと言われている。しかも、受け取るユーザーからすると、テキストよりも画像や動画のほうが「楽」に理解できる。インターネット上のコミュニケーションも、eメールから、ショートメッセージ主体のTwitter、LINEのようにスタンプを多用した形式、そしてInstagramのように画像主体のものと、よりリッチでユーザーにとって楽な方向にシフトしつつある。最近の10~20代はスマホで動画を見る事が当たり前で、自分で撮影した動画を友人にシェアして楽しみといった遊び方も増えている。

そうした流れを考えると、マーケティングの世界も動画を活用したものが主流となるのは必然だろう。かつ、テレビCMのようなマス向けではなくパーソナライズされた動画というのは、これからのユーザーコミュニケーションでメジャーな手法となることが予想される。もちろん、動画を手作業で制作していたのではコストがかかりすぎるが、コンピューターによる自動生成であれば制作コストは最初の素材を用意するだけで済む。さらに近年進化が続いている人工知能などのアプローチも組み合わせることで、動画によるマーケティング・コミュニケーションの世界がガラリと変わる可能性があるだろう。

株式会社クリエ・ジャパン
代表者:南野 智近氏 設立:2010年2月
URL:
・コーポレートサイト:
http://www.crea-japan.com/
・PRISMサービスサイト:
http://pr-ism.jp/
スタッフ数:
事業内容:
・パーソナライズ動画ソリューションPRISMの提供
・Webサービス事業
・ITソリューション事業
・テクノロジーサービス(システム開発・運用)など

当記事の内容は 2015/11/10 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。