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ドローンの自動操縦を5分で学習・習得できる!? 人工脳「SOINN(ソイン)」を開発・販売するベンチャー

執筆者:ドリームゲート事務局
更新日:2015年04月02日

12年もの研究成果を商品化した人工脳。人間が操作している動画を見せるだけで学習してしまう! 展開している事業内容・特徴

20150330-1IBMのWatsonやGoogleのDQNなど、人工知能に関する商用化の動きが加速しているが、今回は、純国産の人工知脳を開発し、ビジネス化を推進するベンチャーを紹介したい。それが、東工大の准教授・長谷川修氏が設立したSOINN株式会社だ。

長谷川氏が12年間を費やして研究・開発し、特許を獲得した独自の人工知能技術に基づいた人工脳「SOINN」。SOINN株式会社は、これを製品化し、販売するために2014年7月に設立されたベンチャーだ。設立から1年に満たないが、すでに防災系の研究機関をはじめ、建設業、製造業、金融業、小売業、広告業などいった幅広い分野で、数十社が導入を決定もしくは検討している。

人工脳「SOINN」の威力をわかりやすく示す例として、ラジコンで飛ぶ無人航空機・ドローンの操作の動画を5分間ほど見せるだけで、操作方法を学習して自立して操作できたという結果がある。これは人間が練習を反復するうちに、自然と自転車に乗れるような脳が発達していくのと同様の仕組み・理論だという。

実際に人間が操作する動画を「見せる」だけで、、人工脳が同じ行動をできるように学習してくれる。特別なプログラミングやパラメーターの設定が不要ということも画期的だ。

実際に、人工脳「SOINN」が操作するドローンに、強風を当てたり、手で押したりしても落下せず、指定されたとおりに飛び続ける様子が、池上彰氏のテレビ朝日の番組でも紹介された。
※ここがポイント!!池上彰解説塾 『3時間スペシャル』 2014年7月14日(月)放送回

また、扱えるデータは数値化できるものであれば、何でも学習できるとのこと。汎用性が非常に高いことも特徴だ。

例えば、高層ビルの制震装置に「弟子入り」し、それをお手本にして学習したケース。通常であれば専門家が2週間ほどかけて覚える調整を、市販のパソコンに入れた人工脳「SOINN」は、わずか2分半で完璧に理解してしまったという。

人工脳「SOINN」は、すでに国内外でも高い評価を受けており、経済産業省「Innovative Technologies 2013」特別賞を受賞。また、インド工科大学 Techfest 2013 のスピーカーとして登壇(過去、日本人では長谷川氏とノーベル化学賞を受賞した根岸英一の2名のみ)。さらに、米国 National Science Foundationが「SOINN」の視察団を日本に派遣している。

人工脳「SOINN」の画期的な点はほかにもある。それは導入費用の安さと汎用性だ。SOINNの計算処理は負荷が低くなるように設計されており、一般的なスマートフォンで使われているCPUがあれば十分に稼働する。つまりスマホやパソコンなどの端末で使えるため、アプリとして持ち歩くことも可能。つまり大規模なシステム構築は不要ということ。IBMの人工知能「Watson」が、三井住友銀行やみずほ銀行のカスタマーセンターに導入されるというニュースがあったが、その費用は数億円と報道されていた。規模の違いはあるとはいえ、SOINNであれば費用をそこから一桁以上、抑えられる可能性があるという。

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スマホで稼働できる点には、さらなるメリットがある。スマホは、情報を表示したり、アプリを動かすことはもちろん、高性能なコミュニケーションツールや位置情報センサーにもなる。つまり、LINEなどのメッセージングをはじめ、ブラウザの閲覧履歴やアプリの操作履歴から個人の趣味嗜好や、位置情報などのデータを大量に保管することができる。そうした情報を、スマホ内にインストールした人工脳「SOINN」が学習すれば、個々人それぞれが求めている情報を最適化してくれる秘書がいつもそばにいてくれるようなもの。

例えば、ラーメン好きなご主人(=スマホの持ち主)の、通勤ルートの途中に新しいラーメン屋が新規で開店したとしよう。その店が話題になっているといった情報をネットから人工脳が自動的に取得し、帰り道での美味しい寄り道をお勧めしてくれる――そんな世界をSOINNが実現してくれそうだ。

ビッグデータ解析は、人間によるプログラミングが不可能な領域へ。であれば、マシンが自分でプログラムを書けばいい ビジネスアイデア発想のきっかけ

20150330-2長谷川氏は、1993年に東京大学大学院で電子工学を専攻し、博士号を取得(工学)後、通商産業省(当時)の工業技術院 電子技術総合研究所に研究員として入所。1999年には、米国カーネギーメロン大学のロボティクス研究所に客員研究員として参加した。2000年、経済産業省の産業技術総合研究所の主任研究員に、2002年からは東京工業大学 像情報工学研究所の准教授(現職)となった。

そんな長谷川氏が、人工脳の研究を始めたのは12年前のこと。「人の生活環境のなかで、人のために働くロボットを創る」という目標のもと、研究に取り組み始めた。

長谷川氏は、インターネット上に流れる情報量が爆発的に増え、扱えるデータが膨大になってきたことで、そろそろ人間がデータを意識してプログラミングすることが不可能になりつつあると考えていた。特にビッグデータ解析の世界では、人間が仮説やモデルを立てて分析を進める手法に限度がある。そこで、勝手に育つ人工知能が必要になると踏んだ。膨大なデータの中から、特定の構造を見つけ出すといった作業はコンピュータの得意領域。また、データの中から因果関係を認識できれば、未来予測も可能になる。

長谷川氏によれば、近年大きな注目を集めているディープラーニング技術の原型は、1979年に福島邦彦氏(NHK放送科学基礎研究所)により神経回路モデル「ネオコグニトロン」として発表されていたという。これは、視覚パターン認識に関する階層型神経回路モデルで、視覚に入った画像が何層にも分解されるたびに局所的な特徴を抽出し、それらを交互に結合させることで画像が何であるかを認識するというものだ。長谷川氏は、人工脳 「SOINN」は、パターン認識のみならず、ドローンやロボットの自律制御などにも利用出来るという点で、ディープラーニングより汎用性が高いと語る。

長谷川氏はSOINNの活用方法の1つとして、気象予報にも取り組んでいる。全国1300地点のアメダス気象データ18カ月分を、パソコンに入れたSOINNは、わずか10分でデータのすべてを学習。降水量を高い精度で予測できた結果を受けて、さらに人工衛星の画像データなども学習させ、これまで構築されていた予報モデルとは別に、河川氾濫などのピンポイントな自然災害を細かく予知できるようになることを、広島の自治体と連携して実証実験を進めている。低コストかつ汎用的なSOINNの特徴を生かし、市販のパソコンとすでに観測できているデータだけで、まったく新しい気象予報を生み出すという試みだ。

目指すのは知能のポータブル化。アプリを入れ替えるように、人工脳を入れ替える未来を構想 将来への展望

長谷川氏に人工脳「SOINN」の未来について伺ったところ、「知能のポータブル化」というキーワードが浮かんできた。SOINNが学習したノウハウは、データ量にすると数メガバイト程度。つまり、スマホ用アプリ並みのサイズしかないため、簡単にほかの人工脳に移植することが可能だという。つまりノウハウ自体を、ほかの人工脳が動いている機械に移植することが簡単にできるというわけだ。

例えば、降雪量の多い地域で自動車の自動運転の学習をした人工脳を、滅多に雪が降らない地域の自動車に移植する。その地域で急に雪が降ってしまった場合でも、その車が安全に自動運転できるようになるという。

あるいは、ベテラン職人の映像を学習して、その動作をまねるロボットをつくり、それを別のロボットに移植するといったことも、すでに実証できる段階に入っている。つまり、人間の動作自体を写し取り、持ち運びや保存ができるようになるということ。町工場などの職人芸的な加工技術、あるいは伝統工芸などの世界で危惧されている、技術の保存や継承といった問題を、人工脳「SOINN」が解決してくれるというわけだ。

長谷川氏は言う。「人工脳はコンピュータのOS的な位置づけとなり、様々なノウハウをアプリのように入れ替えられる未来を構想している」。そんなSF小説のような話が、現実になろうとしている。90年代に始まったインターネット革命が情報の取得を容易にし、21世紀のスマートフォンによるデジタルデバイス革命は個人が簡単に情報を常に持ち歩けるようにしてくれた。そして、これからの10年、人工脳が世界を一新しそうだ。ノウハウ・知能が持ち歩ける、あるいは簡単に入れ替えることができる――今回の取材を通じて、そんな革新的な未来の到来を確信した。

SOINN株式会社
代表者:長谷川 修氏 設立:2014年7月
URL:
http://soinn.com/
スタッフ数:5名
事業内容:
独自技術「人工脳SOINN」による各種機器・装置・情報システムの知能化

当記事の内容は 2015/4/2時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

この記事の執筆者

ドリームゲート事務局
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取材・文:ドリームゲート事務局 起業・開業・独立・ベンチャーの悩みに、専門家がお答えします。無料なのでお気軽にどうぞ。

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