復職支援に特化。ますます深刻になるうつ病問題に挑む新サービス「復職支援(リワーク)」

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執筆者: ドリームゲート事務局

国内で100万人以上いるといわれ、再発率も6割を超える「うつ病」に、株式会社が取り組む新サービス
展開している事業内容・特徴

liva1グローバル化による国境を超えた激しい競争や、長引く国内不況を背景に、日本企業を取り巻く環境は年々厳しさを増している。そんな状況下、熾烈な経済競争に勝ち残るために身を粉にして働いているビジネスパーソンも多いだろうが、突然、事切れたように働くことができなくなる……。そんな知り合いが、あなたの周りにはいないだろうか。

「うつ病」患者が増えている。うつ病の患者数は、日本国内で100万人以上もいるといわれており、今では重大な社会問題となっている。うつ病は医学的にはまだ根治させる方法が確立されておらず、「問診と投薬を継続し、あとは休息させるしかない」というのが一般的な改善方法である。しかも、再発率は6割以上(厚生労働省)になり、患者の心身・経済的負担が大きいことが問題になっている。

そんなうつ病の現状を改善すべくチャレンジしているベンチャーが、今回紹介する株式会社リヴァである。リヴァ社の提供しているサービスは「復職支援(リワーク)」だ。主に、うつ病の方を対象とし、グループワーク中心の独自トレーニングを提供することで、うつを再発させない社会復帰を促すというものだ。

ユニークなのは、そのトレーニング内容にある。週5日間、9時から17時まで(プログラムは、10時~15時)、同社が運営するセンターに「出勤」して、主にグループでさまざまなプログラムに取り組む。そのプログラム概要は、日経新聞の記事要約や企業研修でも使われるような素材をアレンジしてグループワーク等を実施する。こうしたトレーニングによって、ストレスを上手くコントロールする方法や仕事をスムーズに進めるためのコミュニケーションスキル等を身につけていく。

また、復職後も利用が可能で、「卒業生」同士が集まることもある。復帰後の課題を共有したり、出来ていることを確認する。また現在利用している方との交流もあり、お互いにとって効果的なプログラムとなっている。プログラムの受講期間については、基本は3カ月~6カ月ほど(最長2年間)で、昨年6月からサービスを開始し半年程で10名程度が復職し、その後も順調に就労継続されているそうだ。ユーザーは30代が中心。20代から40代のユーザーが多いが、中には50代もいる。

同社が運営する施設は東京都の指定を受けており、サービスを受ける場合、料金は前年度の課税所得に応じて0円から総額の1割負担で利用ができる。誰でも利用が出来るわけではなく、医師の診断書や行政への手続きが必要になってくる。

2010年8月に創業したリヴァ社は個人ユーザーが大半だが、企業側からの引き合いも多く、今後、B2B型のサービスも展開する計画を立てている。また、今年春には横浜市に新たな拠点を準備中で、サービスの質を低下させない体制を構築しながらニーズに応えていきたいと考えているようだ。

うつの支援の難しさ、支援のインフラが不足していることをなんとかしたかった
ビジネスアイデア発想のきっかけ

liva2同社の創業者である伊藤崇氏は、起業前、障がい者雇用支援の会社で創業に近いフェーズから参画し、障がいを持った方が働きたいという意欲とスキルがあっても、偏見によって機会すら得られない場面をたくさん見てきたという。その中でうつの方は障害手帳を取得しない方、またすでに就労している方々も多く、障害手帳を持った方の雇用支援という支援の枠組みには対象とならない人がたくさんいた。また身近な仲間もうつになり、休職をくり返し、結局退職してしまった。そしてうつに対しても偏見がある社会にあっては、再就職はとても難しい。この経験が、リヴァ社を立ち上げるキッカケになった。

また、前職時代、企業側に営業活動していた時、「うつ病になってしまった社員を助けたいけれど、これといった手がない」という声が非常に多いことも気になっていた。

そして、「うつ病の改善に役立てないか」という思いが募る中、同じように精神科医として、服薬と休息だけでは職場復帰が難しいと10年以上前から気付き、取り組んできたNTT東日本 関東病院の秋山医師の存在を知る。

秋山医師曰く、うつ病を改善させるキーワードは、「客観性」「振り返り」「共感」の3つ。また、医師やカウンセラーといった「健常者」から諭されるよりも、自分自身で問題を客観視することや、うつ病の当事者同士での体験の共有・共感が非常に効果的なのだという。

さらに、伊藤氏は企業で考えている復職レベルと医療で出来る範囲の間にはギャップがあると感じており、企業と医療の間をうまくつなげるような支援をしていきたいと考えている。その役割は福祉にあるが、従来の福祉施設は、企業勤めの方からすると利用しにくいイメージがあり、施設から来る印象の改善も重要だと考えている。リヴァ社が運営するセンターは明るく清潔で、「普通」のオフィスのようなつくりだ。実際、取材に訪れた際も、一見するとユーザーは普通のオフィスで普通に働いているというようにしか見えなかった。あとで説明されるまでは、同社のスタッフが仕事をしていると勘違いしたほどだ。

自分らしさとは何かに気づき、その一歩を踏み出せるような事業
将来への展望

今後の展開の1つは、先述した企業向けのサービスを拡充していくこと。企業の人事は、双極性や新型うつ等と言われるように多様化するうつへの対応には苦慮しているのが現状だ。もちろん、専門のスタッフや産業医、カウンセラーを常駐させている企業も少ないが、戻しても再発をくり返し、長期化してしまうことに頭を抱えている。そうした企業と本人の間に入り、第3者の立場で休職中の支援や復職のタイミング、復職後のサポートのニーズは大きいと考えている。

一方で同社は、同じ職場や会社に戻ることだけが必ずしも目指す方向とは考えていない。なぜなら職場適性があっていない場合やストレスフルな環境の場合など、どんなに再発しなためのトレーニングを積んだとしても、環境や状況によってはうつを再発してしまう可能性が高いからだ。うつという疾病や置かれている環境から視野が狭くなってしまうことがあり、そのために再発をくり返ししまう場合もある。うつになったことをきっかけとして、視野を広げられるような機会が必要だと伊藤氏は言う。そのためには日常の延長ではなかなか難しい。環境を大きく変えることや身体を動かすこと、さまざまな価値観や生き方をしてきた方との出会いが効果的ではないかと考えているようだ。同社が農作業を組み入れているのもその一つであり、今後は地方のコミュニティ等と連携した形も作っていきたいと考えている。那須や千葉などにおいてすでに進みつつあるプロジェクトもあるようだ。

最後に伊藤氏は、「うつになってしまうことは誰にでもあること。でもそれはマイナスばかりではなく、自分を見つめ直すきっかけや人とのつながりの大切さなど、新たに気付くことが多い」と、リヴァのサービスを利用している方と話してみて感じとのこと。うつになってしまってもまたやり直せる、第二の人生を選択できるような社会をつくりたい。そんな社会が広がれば世の中はもっと生きやすく面白いものになる。それが伊藤氏の目指すビジョンなのだ。

株式会社リヴァ
代表者:伊藤 崇 社員:6名
設立:2010年8月 URL:http://liva.co.jp/
事業内容:
うつ病の方への社会復帰支援、企業への研修、教育プログラムの提供
メッセージ:
誠実で優秀であってもうつになり休職をくり返してしまえば、就労の継続は難しい。逆に言えば、誠実で優秀な方がうつになってしまうことで、その才能が埋もれてしまうわけです。うつに対しての偏見や誤認はまだまだ多く、社会復帰するには高い壁があります。でも本人だけに問題があるのではなく、社会にも大きな問題があるのではないでしょうか。生き方の見直しをする時期がきている、うつの方が増えているのはそんな警鐘のような気もしております。うつになっても回復後のほうが、ずっと楽しく健康的な人生だと一人でも多くの方が感じてもらえるような仕組みづくりにチャレンジしていきます。

当記事の内容は 2012/2/23 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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