【2020年専門家監修】創業時の資金調達法について

この記事は2020/01/20に専門家 太田 眞彦 三浦 高 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

「素晴らしいサービスや商品のアイデアを世に出したい!よし!起業だ!でもお金がない…。」事業を始めるためには、お金は必要です。自己資金で賄えない場合、足りない資金を補わなければなりません。起業家にとって「創業時の資金調達」は、最初にはだかる高いハードルではないでしょうか?

今回は、創業時に考えられる資金調達にはどのような手段があるかを、ご紹介します。

1.政府系金融機関(日本政策金融公庫)

通称「日本政策金融公庫」(旧: 日本政策金融公庫国民生活事業)は、まさに実績の無い創業者の味方です。
政府系金融機関として、民間の金融機関では取扱いが難しい創業時の融資に対して、積極的な支援を行っています。

なかでも創業前又は創業間もない方(事業開始後税務申告を2期終えていない方)にお勧めの制度は「新創業融資制度」です。
自己資金が創業時において創業資金総額の3分の1以上あることの他、次の要件を満たしていれば、原則無担保・無保証で3000万円(うち運転資金1500万円)まで融資を申し込むことができますので、創業者にとって非常にありがたい制度です。

ご利用いただける方は、次の1~3のすべての要件に該当する方です。

1.創業の要件
新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を2期終えていない方

2.雇用創出等の要件
「雇用の創出を伴う事業を始める方」「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」などの一定の要件に該当する方
※この制度の貸付金残高が1,000万円以内(今回のご融資分も含む)の方については、本要件を満たすものとします

3.自己資金要件
新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金を確認できる方
※「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」などに該当する場合は、本要件を満たすものとします

その他にも、創業者にとって非常にありがたい融資制度があるので、まず創業時の資金調達方法としてご利用を検討される事をお勧めいたします。

くわしくは、日本政策金融公庫 事業資金相談ダイヤル0120-154-505にお問い合わせください。
https://www.jfc.go.jp/

2.信用保証付の融資

融資イメージ
こちらは、「信用保証協会」という公的機関に保証人になってもらい、民間の金融機関から融資を受ける制度です。
貸倒のリスクを信用保証協会が背負うので、実績のない創業者が民間金融機関から融資を受けることが可能となります。万が一返済が不可能になった場合は、信用保証協会が代わりに金融機関に返済し、その後債務者は、信用保証協会に借入金を返済することになります。

信用保証協会は全国各地にあり、地域ごとに創業者向けの融資制度を設けています。また独自の融資制度を設けている自治体も多くあります。

手続きの手順としては、信用保証協会に保証の承諾を受け、金融機関から実際の融資を受けるという流れになります。また各自治体の制度を利用する場合は、自治体の窓口を経由することになります。
例えば東京信用保証協会の場合、新たに事業を始める場合で、個人は1ケ月以内、法人は2ケ月以内に都内で創業を予定し、具体的な事業計画を持っていることを要件として、創業前向けの融資制度を設けています。
また創業した日から5年未満の法人・個人・組合も対象となります。

くわしくは、各地域の信用保証協会又は自治体のホームーページをご覧ください。

3.親族・知人からの借入

親・兄弟姉妹・友人などがあなたの独立開業を応援してくれているのなら、親族からの借入は現実的で有効な資金調達手段になります。

一般的に利息が低く、手間もあまりかかりません。また金融機関から借り入れする場合、自己資金とみなされることが多いのもメリットです。

金融機関ほど厳格な審査を必要としませんが、あなた自身への信頼と事業への理解がポイントとなります。

ただし、借りられる金額が低いことが多い、信頼にひびが入り関係が悪化することもある、といったデメリットもあるので注意しましょう。

専門家からのヒトコト

金額によっては贈与税を納めなくてはならないので、実施する場合は、贈与とみなされないよう書面(金銭消費貸借契約書)を作成したほうが良いでしょう。また、利息など契約内容も明確にし、返済は銀行口座を通じたり、領収書をもらうなどして、証拠を残したほうが良いでしょう。

ドリームゲートアドバイザー 三浦 高

4.ベンチャーキャピタルからの出資

ベンチャーキャピタルは、有望な企業に出資することによって株式公開を支援し、 株式公開後に株式を売却もしくは事業を売却することでキャピタルゲインを得ることを目的としています。株式公開できそうな会社に投資する点が、投資会社としてのベンチャーキャピタルの特徴です。

株式公開を狙えるほどの高度な技術やサービスを持っているなら、この方法も夢ではありません。ただし、条件は上記3つの資金調達方法と比べると格段に難しいのが現実です。

専門家からのヒトコト

ベンチャーキャピタルによる資金調達のメリットとしては、担保が無くとも多くの資金を得ることができ、借入のような返済が不要なことが挙げられます。またお金だけでなく経営に関する成長支援も得られます。
逆にデメリットは、ベンチャーキャピタルが経営に口を出してくるため自分の意に沿った経営ができない可能性があります。また「成長の見込みがない」と判断された場合、資金回収されてしまい、場合によっては事業の継続はできなくなることもあります。

ドリームゲートアドバイザー 太田 眞彦

5.エンジェル投資家からの出資

エンジェル投資家とは、創業間もないベンチャー企業に投資する個人投資家のことです。
いわば、ベンチャーキャピタルの個人版です。
そのため、メリット・デメリット等がベンチャーキャピタルと似通っていますが、大きな違いは出資金額です。
ベンチャーキャピタルは大口投資が主流なのに対し、エンジェル投資家の投資は数百万~2,000万円前後が多く、ベンチャーキャピタルと比べると少額の場合がほとんどです。

組織であるベンチャーキャピタルに比べ、意思決定が早く、審査に個人の想いが強く反映されがちであるのも、個人であるエンジェル投資家の特徴です。

また、ベンチャーキャピタルは経営への関与を求める場合が多いのに対し、エンジェル投資家は比較的少ない点も特徴的です。しかし経営に口を出してくるエンジェル投資家もいますので、経営が不安定になるリスクがないわけだはありません。

6.クラウドファンディング

クラウドファンディングとは、お金を集めたい人が「プロジェクト内容(何をしたいか)」と「目標金額(いくら必要か)」をクラウドファンディング会社のサイトで公開し、それを見て応援したいと思た人が支援(出資)するというものです。

クラウドファンディング会社のもらった金額の2割程度を手数料を支払う必要がありますが、逆に言えばお金をもらえなければ支払う必要はありません。

実行者(起業家)は支援者に対してリターンと呼ばれるお返しをするのが一般的です。
クラウドファンディングは、リターンをどうするかによって、

  1. 支援者に対して何もお返しをしない「寄付型」
  2. 金銭でない商品・サービスなどをお返しする「購入型」
  3. 金銭的なお返しをするの「投資型」

の3種類に分かれます。

また資金の受け取り方の違いにより、

  1. 目標の金額に達した場合にのみ資金を受け取れる「オール・オア・ナッシング方式」
  2. 集まった分だけ資金を受け取れる「オール・イン方式」

の2つに分かれます。

特別の場合を除いて、「購入型」の「オール・オア・ナッシング方式」がほとんどです。
お気づきのように、「オール・オア・ナッシング方式」は目標金額に達しなければ1円ももらえません。「オール・イン方式」なら集まった分だけ受け取れますが、目標金額全額をもらえる保証はありません。

ですのでクラウドファンディングは、補完的な資金調達手段と考え、他の資金調達手段と併用するようにしましょう。

専門家からのヒトコト

またクラウドファンディング会社の手数料やリターンなどで資金が必要ですので、必要金額ぎりぎりだと資金が足りなくなってしまうことにも注意してください。

ドリームゲートアドバイザー 太田 眞彦

7.補助金・助成金

創業時に必要な経費の一部を、国や地方公共団体が補助してくれる制度があります。
一般的に、要件を満たしていれば誰でも受け取れるものを「助成金」、審査を通過すれば受け取れるものを「補助金」といいます。

また、助成財団や起業などが資金援助を行っているものもあり、こちらは「助成金」としているものが多いようです。
補助金・助成金は、返済不要という大きなメリットがあります。また補助金を獲得できれば、事業の可能性が公的に認められたという証になるため信用度が高まり、融資もとおりやすくなるというメリットもあります。

注意しなければならないのは、「後払い」であること、費用の「一部」であることです。
補助金が採択されたからといって、すぐに全額資金が手元に入るわけではありません。
また書類作成などで、かなりの労力と時間を要することにも注意しましょう。申請時に詳細な事業計画書を作成しなければならないし、資金をもらった後も何年も報告書の提出が必要になります。かなりの時間をかけて一生懸命に計画をつくったのに、採択されなければ徒労に終わることも覚悟しておきましょう。

専門家からのヒトコト

しかし、返済不要の金額を受け取れることは大きなメリットです。国の創業補助金は、最近募集がは行なわれていませんが、自治体レベルで補助金・助成金を用意しているところがありますので、自分の地域でどのようなものがあるのか探してみてはいかがでしょう。

ドリームゲートアドバイザー 三浦 高

最後に

このように、さまざまな資金調達方法があります。それぞれのメリットデメリットを勘案し、あなたの事業や状況に合ったものを選択するようにしましょう。

この記事の監修者
太田 眞彦(おおた まさひこ)
株式会社さあ頑張ろうぜ

中小企業診断士

株式会社さあ頑張ろうぜ 代表取締役 1960年生まれ。東京都出身。経営コンサルタント歴20年のベテランが、アイデア出しから起業までを支援します。

著書『芸能人に学ぶマーケティング戦略』ほか

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三浦 高(みうら たかし)
V-Spirits経営戦略研究所株式会社

1級販売士/宅地建物取引士/中小企業診断士

総合起業コンサルティンググループV-Spiritsに在籍する。特に補助金・助成金については元補助金事務局員だった経験、実績をフル活用し、95%以上という非常に高い採択実績を記録するなど、実績を豊富にお持ちです。

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