Vol.7 会社員からの転身。現役ネットショップ店長に聞きました!!

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
今回は、インター ネットで和束茶(わづかちゃ:ピュアな宇治茶)の魅力を世界に伝えている「京都おぶぶ茶苑」の副代表、松本靖治(まつもとやすはる)氏にお話を伺いまし た。

現役ネットショップ店長松本氏に聞きました。

 今回お聞きしたのは、「新規顧客を獲得し、リピーターを増やし 続ける「ネットショップ運営の秘訣」について。 もともと東京で会社員をされていた松本氏。
 会社員時代は、目の前の仕事に追われるばかりの日 々。このままでは「ダメ人間になってしまう!」と思いながらも、いきなり辞める勇気もなく悶悶とした日々を送っていたそうです。
 そんな時、京 都・和束町の茶農家に新規就農していた現・代表の喜多章浩氏に出会いました。その時、喜多氏は大学時代に飲んだ一杯のお茶に感動、そして大学を中退、茶農 家を目指し、日々修行中という身。そんな喜多氏の情熱的な生きざまに感動した松本氏。
とは言え、いきなり会社を辞めるなんてできないし、会社員を しながら、何かできないか?ということで喜多氏が作ったお茶をインターネットで販売をすることに・・・。
 夜な夜なネットショップ作りに励むも、 当時ネットの知識は皆無に等しく、検索やメールをする程度。それから五年・・・。
 現在では、東京での安定した会社員生活を捨て、代表の喜多氏と ともに京都にて「京都おぶぶ茶苑」を運営中です。さまざまな賞も獲得され、現在、全国各地でネットショップ運営に関する講演も多数こなしています。

 

イ ンタビュー

●御社の事業について教えてください。

 おぶぶでは、「お茶を作る」ところから、「お茶を楽しんでもらう」ところま でのすべてをおこなっています。
 まず最初に茶畑でのお茶の育成・収穫。茶畑で四季を通じてお茶を育成し、年3回、茶葉の収穫をしています。

 次 に販売。販売は、主にインターネット上です。「京都おぶぶ茶苑」を中心に全国はもちろん、英語サイト「Tea of Japan」も運営し、世界116カ国に送料無料で発送可能です。卸売りもやっていますが、すべてネット経由で、電話や訪問営業は一切やっていません。6おぶぶ

 そして、お茶の楽しみ方のインストラクションやデモンストレーション。日本茶は、私たちにとってあまりに身近 な存在なので、実は学ぶ機会が少なく、ほとんどの皆さんが我流でお茶を入れています。ですので、茶葉の味わいが一番楽しめる飲み方のインストラクションを 全国各地でやっています。

●今いちばん力を入れている事業について教えてください。

 今いちばん力を入れている 事業は、「茶畑オーナー制度」です。
 こちらは、「世界中から一日50円で、京都に宇治茶の茶畑一坪が持てる」という仕組みです。ありがたいこと に2009年のドリームゲートグランプリでもこちらの「茶畑オーナー制度」は、高く評価していただきました。

▼応募総数212件の中、7 人のファイナリストに。
http://event.dreamgate.gr.jp/dai2009_2/

 そ して、すでに現在200名以上の方が茶畑オーナーになってくださっています。

●集客はどのような対策をされていますか?

  インターネットで商売する上で、まず必須であり、基本であるSEO対策はひととおりやっています。でも、それらは最低限だと感じています。
 もちろ んPPC広告もやっています。PPC広告で注力しているキーワードは、「父の日」、「母の日」、「敬老の日」などのギフト購入という意思が明確なも のに力を入れています。例えば、母の日なら、「母の日」単体でキーワードを購入するのではなく「母の日 お茶」「母の日 和菓子」などのように、 より具体的なキーワードを使っています。ちなみにそれらのキーワードでリンクする母の日のページはこちらです。

このよう なページを作成し、広告費の費用対効果を高めています。

 それ以上に重視しているのが、「来てもらったお客様にいかに感動してもらう か?」というところですね。感動するということは、ホームページを見て、笑ったり、「へぇ~」や「そうそうそう!!」って思ったり、商品の写真を見てうっ とりしたり・・・ということ。
 これがとっても大事なことです。そういうサイトだと、一度来てくださったお客様が、またホームページを訪れてくれ て、商品を購入したり、口コミで新しいお客様を連れてきてくださいます。

 そして次に大事なのが、マスコミ取材。小さなお店にとってマス コミ取材の効果は、絶大です。しかも費用は、ほぼ無料。なので僕たちもけっこう力を入れています。

▼取材記事
6press

 マスコミの取材を受けるために大事なことは2つです。

 ひとつめが、マスコミの記者や編 集者の方にイベントや商品を知ってもらうこと。

 ふたつめが、イベントや商品自体が、マスコミの人にとって、「これはイケるっ!」と思え るものであること。

 具体的なやり方としては、プレスリリースを配信するということです。プレスリリースの書き方・配信方法は、ネットで 調べればいっぱい出てきますので省略しますが、大切なのは、いかにマスコミの人に「これはイケるっ!」って思ってもらえるか?というところ。

  僕たちが、日々「どうやってお客さまに喜んでいただけるか?」ということを考えているようにマスコミの記者や編集者の方も「どうやって読者や視聴者を楽し ませるか?」ということに頭を悩ませています。(というか、だいたいいつもネタ不足で困っています。)なので、取材を受けたいマスコミ自体の読者や視聴者 が喜んでくれるようなイベントや商品をプレスリリースすることが大切です。

●リピーター対策はどのようにされていますか?

  リピート率は38%~40%です。半分近くの方に2回以上、ご購入いただいています。ネットショップを開いただけでは、単にお店で店番しているのと同じで す。一度お店に訪れて、商品をご購入くださったり、このお店いいなぁって思って下さった方には、メールをお送りして、おぶぶの紹介を継続的におこなってい ます。具体的には、【おぶぶNEWS】というメールマガジンを毎週発行しており、現在4万人の方にご購読いただいております。メルマガ開封率は、一般 5%、リピーターは10.5%です。

▼【おぶぶNEWS】のダイジェスト版
6mailmag

 内容としては、よくある商品の売り込みではなく、茶畑の美しい写真や活動の紹介を中心にお届けしてい ます。そうすることによって、お客様が「【おぶぶNEWS】って面白い!」と思ってくださり、結果的に長くお付き合いすることができるようになります。
  それからアナログな話に聞こえるかもしれませんが、お客様に電話するっていうのは、ご新規様、リピーター様問わずに喜んでくださる方が多いですね。

  あと、前述の茶畑オーナー制度を開始して、茶畑オーナーという、リピーターよりさらにハイエンドな顧客層ができたことにより、結果的にリピーター様が増え ましたね。お客様にリピートしてもらうには、商品自体の魅力も大切ですが、お店の魅力というか、厚みというものも大事なんだと思います。たぶんそれは、 ネットショップでもリアルのお店でも同じことが言えると思います。
 

インタビューを終えて

 「京都おぶぶ 茶苑」は、私の「丹波篠山いのうえ黒豆農園」と同じく、産地直送品を扱うお店です。産地直送品を扱うお店の場合、その土地が生み出す逸品を販売するわけで すから、そのこだわり部分をどう伝えるのかが課題になりますが、「京都おぶぶ茶苑」では、メルマガをはじめ、ウェブサイト上でうまく伝えていると言えま す。
 この表現力が転換率のアップ、平均客単価のアップ、リピート率のアップに繋がるわけですが、「京都おぶぶ茶苑」は平均客単価も5000円と のことで、平均客単価をもう少しアップさせると、運営そのものがもっと楽になると考えられます。(黒豆農園は7000円)
 また、新規獲得コスト が約5000円とのことで、まずまずの数字ではありますが、これをもう少し下げることが出来れば、もっと儲かるネットショップになれます。(黒豆農園は 3000円)

 京都おぶぶ茶苑の強みは、
1、「本物の和束茶」というコンセプトが明確で、トップページのファース トビューでそれが表現できていること
2、「本物のお茶を求める」ターゲットを明確にし、トップページをはじめ、商品ページなど各ページで強 烈なメッセージを伝えていること
3、SEO対策、PPC広告、プレスリリースなど、着実な集客対策をし、その作業に対して妥協して いないこと
4、リピーター対策としてメールマガジンを利用し、会社としての姿勢を表現することにより、コアなファン作りをしている こと
が挙げられます。

 そして、松本氏が「和束茶」を売っていこうとしたとき、当初から「ネットショップしかな い!」と覚悟を決めたことが、その後躍進に繋がったといえます。
 ホームページを情報発信のツールとして捉えることで、販売手法を ネットショップに限定せず、さまざまなチャネルを試み、実践していること。そして、ネットショップで実践するべきことを、着実に行っていることが 松本氏のネットショップ運営の秘訣であるといえます。

 多くの方が、ネットショップを出せば売れる、儲かると信じた時代に、はじ めから覚悟を決め、やるべきことを着実に実践している。一見何の変哲もないように思いますが、これは本当に大切なことです。
 ほとんどの方が、当 たり前のことを当たり前にやることをせず、楽をしたいという気持ちから、ネットならではの秘策があるかのようにノウハウを求めています。そういった行動を とる人は、ただ単にサボっているだけです。ネットショップは商売です。楽して儲けることは決して出来ません。当たり前のことを当たり前に実践し、こつこつ と積み上げていくことこそ、成功の秘訣といえるのではないでしょうか。

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【デー タ】京都おぶぶ茶苑 松本靖治(まつもとやすはる)
サイト名:京都おぶぶ茶苑 http://www.obubu.com
創 業:2004年3月
メールマガジン【おぶぶNEWS】読者4万人
2006年京都ホームページコンテスト最優秀賞受賞(eコマースの部)
2007 年日本オンラインショッピング大賞最優秀小規模サイト賞受賞
2007年ベストECショップ大賞2007特別賞受賞
2008年信毎ホーム ページ大賞 ウェブ投票部門第2位
2009年横浜ビジネスプランコンテストファイナリスト
2009年ドリームゲートグランプリファイナリ スト
第七期 日本茶インストラクター

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