世界初の金属アレルギー対応ヘアピンから、
日本人の約3人に1人の悩み解消を目指す!

スマビ総研

執筆者: 松元 順子  編集:菊池 徳行(ハイキックス)

独自開発の「チタンヘアピン」なら
金属アレルギーでもおしゃれできる! 展開している事業の内容・特徴

20161020-1現代社会において、様々なアレルギーに苦しむ人は非常に多い。なかでも、金属アレルギーをもつ人は増えており、一説によると日本人の約3人に1人が患っているともいわれている。そんな人々の悩みを解決したい――との思いから、世界初の金属アレルギー対応チタンヘアピンを開発・販売しているのが、MASJapan株式会社である。

MASJapanの代表を務める鈴木久子氏によると、同社が開発した「チタンヘアピン」の最大の特徴は、金属アレルギーの主な原因である金属イオンの溶け出しがほとんどないこと。そのため、金属アレルギーをもつ人でも気軽にヘアアレンジが楽しめるのだ。また、錆びずに洗って繰り返し使用できるため、結果的には環境にも、財布にも優しい。

同製品の製作を手がけるのは、眼鏡フレームの聖地である福井県鯖江市の職人。伝統の技を生かした精巧なつくりも特徴のひとつだ。東京都中小企業振興公社のニューマーケット開拓支援事業の対象製品にも認定されており、今後さらなる市場拡大が期待されるビジネスモデルとして注目を集めている。

また、鈴木氏は「金アレ族」という名称を考案し、商標登録を取得している。「アレルギー患者というネガティブなイメージを払拭し、前向きに捉えてもらいたいという思いから、親しみやすいネーミングにしました」とのこと。

さらに同社では、この「チタンヘアピン」をはじめとする身の回り品の開発をはじめ、金属アレルギー対応商品のコンサルティングや金属・毛髪分析も実施。鈴木氏自ら金属アレルギーカウンセラー、環境アレルギーアドバイザーとしてセミナー講師を務めるなど、啓蒙活動にも力を入れている。

自分自身の悩みがアイデアの原点。
試行錯誤と行動を積み重ねて商品化 ビジネスアイディア発想のきっかけ

20161020-2「チタンヘアピン」は、金属アレルギー歴20年という鈴木氏自身の悩みから生まれた商品だ。「結婚式の際に使用したヘアピンで金属アレルギーによるかゆみを発症し、苦しい経験をしたことがきっかけです。『自分と同じように辛い思いをする方を一人でも減らしたい』との強い思いで起業を決意しました」。

もともとは個人事業として金属アレルギー対応のアクセサリーを仕入れてオンラインショップで販売していたが、「より多くの人にアレルギー対応品を広めたい」との思いから、2014年9月よりオリジナル商品の開発をスタート。2015年2月に「第6回大田区ビジネスプランコンテスト」で最優秀賞を受賞したのを機に、同年9月に法人化した。

「初めはイヤリングの土台をつくろうと試みたのですが、30個以上のパーツが必要であり、相当の開発費用がかかるということで断念しました。そこで、比較的単純な形状であり、まだ誰も着手してないものは何かと考えた結果、ヘアピンのアイデアに行きついたのです」

以来、商品化を実現すべく、一つひとつアイデアを行動に移していった。まずは、材料となる金属を探すために高機能金属の展示会へ。そこで福井のチタン業者に出会ったことが大きな転機となる。福井県鯖江市は、1980年代に世界で初めて金属アレルギー対応のチタン製眼鏡フレームの製造技術を確立した地域。自身のアイデアを熱く語ったところ、コンセプトに共感した職人が一から金型を製作してくれることになった。

デザインは、行きつけの美容師に相談し、頭の丸みにあわせたカーブをつけることで、痛くなく抜けにくい仕様を決定。その後、試行錯誤を繰り返し、9回もの協議と試作を経てようやく商品化にたどり着いた。開発にかかった費用はおよそ300万円。その内の200万円は創業補助金でまかなった。その後、日本政策金融公庫や信用金庫の融資も受けたという。

法人設立から1年。2児の母でもある鈴木氏が限られた時間で思いを実現できたのは、「金属アレルギーのことを世の中の人に知ってほしい」という情熱があったから。「多くの方の支援のおかげで商品化できました。年商はまだ公表できる額ではありませんが、一人でも多くの“金アレ族”の方々のためにも、また、これまで協力いただいた支援者へ恩返しするためにも、必ずこの事業を成功させたいです」と力を込める。

すべての人が金属アレルギーを気にせずに、
快適に過ごせる社会の創造を目指す。 将来の展望

20161020-3チタンは加工が難しいうえに、レアメタル(希少金属)と呼ばれ入手先も限られている。そのため、ヘアピン1本1215円(税込)と高額だ。「将来的には、もう少し手が届きやすい価格で提供できるようにしたい。そのためにも、まずは販路を拡大し、より多くの方に商品を手にとっていただきたいと考えています」。

2015年11月より、オンラインショップにて販売を開始。半年後には売り上げの内訳がアクセサリー7割、ヘアピン3割となった。ユーザーからは、「こんなヘアピンができるのを待っていた」などという声が寄せられたという。さらなる販路拡大に向けて、パッケージを一新。顧客ターゲット別に2種類を製作した。1つは、皮膚科や調剤薬局などの医療機関向けのシンプルなデザイン。2つ目は、福井県の越前和紙を使った外国人観光客向けのお土産用バージョンだ。

新パッケージ導入のきっかけとなったのは、ベンチャー支援を行っている信用金庫の無料相談を受けた際に言われた一言だった。「桐箱に入れて高級路線で販売してはどうか」とのアドバイスを受け、外国人向けのお土産として売り出すことを思いついたという。2種類ともに一般販売は、今年2016年12月開催予定の「みんなのアレルギーEXPO 2016」から。それに先駆け、10月から卸売りの商談を開始するという。

さらに現在、他社の金属アレルギー対応製品の開発を支援。金属材料の調達段階からコンサルティングを行っている。

「将来のビジョンは、金属アレルギーの方が安心して快適な生活を送れる社会の実現を目指すこと。今後は、女性向けの装飾品だけではなく、身の回りのあらゆる金属商品の開発も視野に入れていきたいと考えています。そして、ゆくゆくは金属アレルギーといえば、『MASJapan』と言われるぐらいの地位を確立したいですね」

MASJapan株式会社
代表者:鈴木 久子氏 設立:2015年9月
URL:http://www.masj.co.jp スタッフ数:1名
事業内容:・金属アレルギー対応の身の回り品の開発・販売

当記事の内容は 2016/10/20 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。