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役員報酬を決める前に知っておくべき6つのこと

会社設立

執筆者: ドリームゲート事務局

会社を経営するにあたり企業は取締役や執行役などの「役員」を定めなければなりません。そして役員には労働者に対する給与とは違い「役員報酬」を定める必要があります。

しかし、起業後に経営者である自分を含めた役員報酬を定める必要があっても、いくらに設定するべきか悩むところでしょう。そこで今回は役員報酬の決め方を解説するとともに金額設定において注意するべきポイントを6つに絞って紹介していきます。

そもそも、役員とは?

日本の会社法では「役員」は取締役・会計参与・監査役の3つと定められています。この3つに加えて「執行役」というものも「役員」に含まれることが多いです。

それぞれの役職の説明をします。

  • 「取締役」…すべての株式会社に必ず設置しなければいけない機関。「取締役会」の構成メンバーのことを「取締役」と呼ぶ。「取締役会」とは会社の意思決定等の重要な内容を行う機関である。 勘違いしている人も多いが「社長」=「代表取締役」であるとは限らない。
  • 「会計参与」…取締役とともに会社の計算関係書類を作成する。会計参与の資格を有するのは会計の専門家である税理士(税理士法人を含む)・公認会計士(監査法人を含む)に限られる。
  • 「監査役」…取締役及び会計参与の職務内容を監査し、健全で適切な企業経営を実現する役割を担っている役員。 会社が法令順守しているか、活動が適切に行われているかなどをチェックする。
  • 「執行役」…委員会設置会社では設置が義務付けられている役職で、取締役が決定した会社の重要事項を実行していく役割。取締役は会社の業務を実行できないため業務を実行するのは執行役が担う。ただし、執行役は取締役を兼任することもできる。

役員報酬とは?

「役員報酬」とは上記の役員たちに対して支給される報酬のことをいいます。

会社が労働者に対して支払うお金には「役員報酬」と「従業員給与」の2種類あり、役員に支払われるのが役員報酬、従業員に対して支払われるのが従業員給与となります。また役員は従業員給与を受け取らず役員報酬のみを受け取ります。

役員報酬と従業員給与の最も大きな違いは「損金」に算入できるかどうかという点です。

まず「損金」とは費用の一部のことで、法人税を計算するときに掛かる税金を減らすことができるもののことです。

ただし、一般的な従業員と同じように役員は会社の社会保険に加入する義務があり、役員報酬が高ければ高いほど社会保険料は増えてしまいます。また、役員報酬は給与所得と税務上は同じ扱いとなるため、「所得税」や「住民税」がかかり源泉徴収されて役員の手元へ渡ります。

従業員給与は基本的には全額を損金として算入することができますが、役員報酬を損金として算入するためには一定の条件を満たさなければなりません。そのためには役員報酬の種類を知る必要がありますので、次の章で説明します。

役員報酬の3つの種類

役員報酬を損金算入させるためには以下の3つの方法があります。

1.「定期同額給与」

定期同額給与とは簡単に言うと役員に定期的に支払われる報酬のことで、役員に支払われる給与は毎月同額でなければなりません。一般的なサラリーマンは残業代やボーナスなどによって毎月受け取る給与は変動しますが、役員報酬は原則としてこの「定期同額給与」で支払うことになっています。毎月一定の金額を支払い続けることによって損金として算入することができます。

2.「事前確定届出給与」

従業員にはボーナスが支給されますが、役員報酬にはボーナスというものはありません。

しかし、この「事前確定届出給与」は「支払時期」と「支払額」事前に税務署に届け出ることによって損金として認められるということになっています。そして事前に届出をした内容と同じ日時・金額で役員に報酬を支払わなければなりません。この2つを満たせば損金として算入させることができます。

3.「利益連動給与」

利益連動給与とは「同族会社」でない会社が、その事業年度の利益に関する指標を基準とし、役員に支給する報酬のことを言います。しかし一般的な中小企業の多くは「同族会社」であるため、これを採用する中小企業は少ないです。「同族会社」とは「会社の株主の3人以下、並びにこれらと特殊な関係にある個人・法人が議決権の50%超を保有している会社」のことをいいます。

役員報酬を決める時の注意点

役員報酬を決める際のポイント

  • 役員報酬は毎月同額を支払う必要がある。
  • 役員報酬は会社設立日から3ヶ月以内に決定する。
  • 役員報酬変更時期については事業年度開始時から3ヶ月以内のみ可能である。

この3つのポイントを抑えましょう。

特に2つ目と3つ目のポイントの3ヶ月という期間に注意しましょう。

役員報酬の変更についてですが原則的に理由なく変えてはいけません。そして役員報酬は年に1回しか変更することができないというルールがあります。もし役員報酬を変更したい場合は事業年度開始時の3ヶ月以内に変更するようにしましょう。それ以降に理由なく役員報酬を増額した場合には増額分は損金として算入できないため注意しましょう。

事業年度途中の役員報酬の増額・減額について

増額、減額にかかわらず、役員報酬を変更したいという場合の手続きは原則的に事業年度開始日から3ヶ月以内に行う必要があります。また役員報酬の変更は株主総会での決議が必要です。したがって事業年度途中に予想に反して会社が業績悪化したとしても原則的には減額はできないということになります。ただし例外的に役員報酬の減額が認められる場合があります。

この例外的な事情は国税庁のホームページでは以下のように挙げられています。

1.その事業年度においてその法人の役員の職制上の地位の変更、その役員の職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情(「臨時改定事由」)によりされたこれらの役員に係る定期給与の額の改定→例1.:社長の急逝による役員の変更、例2.:組織の再編成による職務内容の変更

2.その事業年度においてその法人の経営状況が著しく悪化したことその他これに類する理由(「業績悪化改定事由」)によりされた定期給与の額の改定→例1.:経営状況の悪化により株主や取引先など第三者の利害関係者に影響が及ぶ恐れがある場合

事業年度途中での役員報酬の変更は上記の理由によるものでない場合は損金算入が否認される場合があります。したがって、損金不算入とされないために、特別な理由がない場合は税務上、事業年度開始から3ヶ月以内に変更するようにしてください。

役員報酬変更の手順

役員報酬の変更は、次のような手順で行います。

  1. 株主総会で役員報酬の総額を決定。
  2. 株主総会での決議事項に基づいて役員ごとの報酬額を取締役会にて決定。

税務調査などで確認する場合があるため、それぞれ議事録は必ず作成しましょう。

役員賞与(ボーナス)について

社員に支払うボーナスは経費として認められますが、役員に支払うボーナスは原則として経費にすることができないため注意しなければなりません。

※しかし、前に説明した事前確定届出給与として扱える場合はボーナスを損金として算入させることができます。

みなし役員について

登記簿では役員として表記されていない場合でも法人税法上、役員と同じ扱いを受ける人のことを「みなし役員」と呼びます。会社法上の役員は、取締役、会計参与、監査役のことをいいますが、法人税上の役員はそれよりも範囲が広いです。例えば、登記簿上は役員として表記されていない人。会長や相談役、会社株主である代表取締役の家族はみなし役員とされることがあります。また、同族会社の従業員で、定められている条件をすべて満たしている人もこれにあたる可能性があります。

役員報酬 設定の仕方を解説

役員報酬は年間の売上額と費用を予想して設定します。

考え方としては以下の2点があります。

会社に利益を残す場合

会社に利益を残したいという場合は、ある程度役員報酬を抑えたうえで、法人を支払えば良いでしょう。例えば利益が年間600万円であるならば、1ヶ月分の役員報酬を40万円に設定すれば1年間の役員報酬は40×12=480万円となり、税引き前に残る会社の利益は600-480=120万円となります。この分から税金を差し引いたものが会社の利益として残ります。

この場合だと会社の財務体質の強化となり、将来、金融機関からの借り入れを行う場合、追加担保や経営者(社長)の個人保証が不要になることもあります。

会社に利益を残さない場合

例えば、利益を年間600万円とすると、1ヶ月分の役員報酬を50万円に設定すれば1年間の役員報酬は50×12=600万円となり、会社に残る利益はゼロになります。この場合は法人税に課税されません。ただし、会社には利益が残らないため、将来、金融機関からの借り入れを行う場合に追加担保や経営者(社長)の個人保証が必要になります。

以上のように役員報酬を決める際には後々のことを考えて金額を設定してください。

役員報酬の平均相場

では役員報酬はいくらに設定するのが適切なのでしょうか。まず、中小企業の役員報酬平均額を見てみましょう。国税庁が平成28年に公表した「民間給与実態調査」のデータによると、次の通りです。

企業規模 年収
資本金2000万円未満 548万円
資本金2000万円以上5000万円未満 796万円
資本金5000万円以上1億円未満 1104万円
資本金1億円以上 1385万円
全体 634万円

データを見ればわかる通り資本金が多ければ多いほど役員報酬額も高くなっていることがわかります。役員報酬の設定額は決められてはいませんが、会社の経営状況や従業員給与とのバランスを見て設定するべきでしょう。また役員報酬は自己判断で決めても良いのですが、税理士と相談して決めることをおすすめします。

まとめ~注意するべきポイント

これまで役員報酬についてお伝えしてきましたが最後に役員報酬について注意しなければならない重要なポイントをまとめます。

  1. 「役員報酬」と「従業員給与」の大きな違いは「損金」である。
  2. 役員報酬は原則的に毎月同額を支払わなければならない。
  3. 役員報酬の決定と変更は会社設立から3ヶ月以内。
  4. 役員報酬は後々のことを考えて設定しよう。

役員報酬は「損金」に算入させるためのルールがあるのでまずはそれを確実に覚えるようにしましょう。そして決める際は会社の経営状況や従業員給与とのバランス、のちに金融機関から借り入れを行うかどうかなど様々な観点から考えて決めるようにしてください。

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