介護ビジネスで起業・独立 Vol.11 介護事業者が行う運送事業 ~ 介護タクシー ~

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
前回は訪問介護事 業所が行う運送事業について触れました。いわゆる介護タクシーとの違いはあるのでしょうか?ここで、いわゆる介護タクシーとの違いをご説明しましょう。

介護タクシーとは・・・

  訪問介護で位置づけられる乗降介助については、一般乗用旅客自動車運送事業の許可が必要なことは前回お話ししました。しかし、訪問介護の事業所のみが介護 タクシーを行えるわけではありません。いわゆる介護タクシーは、つぎの車両を利用し、また乗客を下記の者に限定した運送事業を指し、一般乗用旅客自動車運 送事業の許可を得て行うものとされています。

 

1.対象となる旅客は、以下に掲げる者およびその付添人と する

 (1) 介護保険法第7条第3項にいう「要介護者」および第4項にいう「要支援者」

 (2) 身体障害者福祉法第4条に いう「身体障害者」

 (3) (1)および(2)のほか、肢体不自由、内部障害(人工血液透析を受けている場合も含む。)、精神障害、知的障 害等により単独での移動が困難な者であって、単独では公共交通機関を利用することが困難な者

参考:介護保険法(法令データ提供システム)

    身体障害者福祉法(同)

 

2. 使用する車両は、以下に掲げる自動車とする。

 (1)車いすもしくはストレッチャーのためのリフト、スロープ、寝台等の特殊な設備を設けた 自動車、又は回転シート、リフトアップシート等の乗降を容易にするための装置を設けた自動車

 (2) (1)によらず、セダン型等の一般車 両を使用する場合にあっては、介護福祉士もしくは訪問介護員もしくは居宅介護従業者の資格を有する者又は社団法人全国乗用自動車連合会等が実施するケア輸 送サービス従事者研修を修了した者が乗務する自動車

一般乗用旅客自動車運送事業の許可申請の審査基準別紙より 抜粋

参考:社 団法人全国乗用自動車連合会

 

介護タクシーの現状と介護事業者の運送事業

 営業区域(運送の発着地)は都道府県 単位となり、保有する運送するための車両は1台からでもよいこと、また許可要件でもあった法令試験についても運輸支局によっては免除されていること、ま た、許可は個人でも受けることができることから参入のハードルは下がっており、介護タクシーの台数は増えているといってよいでしょう。そもそも介護タク シーの台数は02年の規制緩和により増加傾向にあります。

 では、訪問介護事業所が介護タクシーを行うメリットはどこにあるのでしょうか? 大きなメリットは、訪問介護事業所が行う乗降介助において先述の車両、2種免許を保有する運転手のみだけでなく、「旅客自動車運送事業者との契約に基づく 訪問介護員などによる自家用自動車有償運送許可」を受けることにより、1種免許を有するヘルパーさんが運転する事業所やヘルパーさんの所有する白ナンバー の自家用車で利用者さんを運送することができることにあります。

 ただし、この許可は一般乗用旅客自動車運送事業の許可を有 する事業所に対して認められるものですので、少なくとも許可を受けたグリーンナンバーの車両1台と2種免許を有する運転手1名を維持することにより複数台 の運送車両や運転手を擁することができることになるのです。なお、白ナンバーの車両によるヘルパーさんの送迎は事業者指定を受けた訪問介護事業所が行う乗 降介助とともに行うケア輸送のみに適用されることにご注意ください。

 介護タクシー事業は、参入ハードルが低くなったため訪 問介護事業所だけでなく、タクシー事業者、また個人での参入が増えています。競争の激化に伴い運賃の低下、これに対し燃料や人件費の高騰など採算があいに くくなっています。また、保有車両が少ない場合は利用者の利用の時間帯が通院などのため集中した場合の対応に限度があり、また集中する傾向があるようで す。東京都では東京福祉タクシー総合配車センターを開設し、利用者への便宜を図っていますが事業者としても保有車両の少ない面をカバーするために活用する ことも必要となってくるでしょう。

参考:東京福祉タクシー総合配車センター

 次回は、許可の取得につ いてもお話ししていきましょう。

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