銀座の高級料亭の味を楽しめるカフェ / カフェ・アンバー(cafe amber)

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局
cafe amber amber garretオーナー 伊藤ミナ子さん

cafe amber amber garretオーナー:伊藤ミナ子さん

実家が高級料亭、銀座『朝川』という環境から、幼くして飲食業に興味を持つ。高校時代は、大手チェーンのファミレス、居酒屋、コンビニエンスストアなどで 毎日アルバイト。店舗の運営マニュアルなどを体感する。学校卒業後、外資系の会社へ就職し、丸2年間コンピューターエンジニアとして活躍。その後実家に戻 り、若女将として修行。自分が経営する2店舗目として、カフェを開く。

●プライベートでよく行ったお店
自分のカフェをオープンする前、中目黒や下北沢など、若者が集まるエリアのカフェによく行きました。なかでも、あまり繁盛していない店(苦笑)。なぜ繁盛しないのか、何が不足しているのかを分析し、勉強材料にしていました。

●これから店舗を開業する人たちへのメッセージ
カフェ業界では、3年間で約70%の店舗が撤退していくと言われています。客単価が低く回転率が悪いため利益率が低いという、決して大きく儲かる商売とは いえません。それでもやるからには、とことんチャレンジしてください。常識やマニュアルに頼りすぎるのはダブーですよ。

渋谷の「カフェ・アンバー」は、高級料亭の味が楽しめる、ちょっと変わったカフェ。
伊藤さんは、1日3組限定という高級料亭、銀座『朝川』の若女将。

「若い人に本物の味を知ってほしい」という思いから、カフェを手がけた。
その美味しさと珍しさで若い世代に大人気。

「大人向けの空間も作って欲しい」という声を受け、
2003年12月には同ビル7階に「アンバー・ギャレット」をオープン。
大人の隠れ家といった雰囲気が話題になる。
 

「本物の味を若い世代に伝えたい」という思い

「実家が料亭だったせいもあり、いつか自分の小料理屋を開きたいと思っていました。
ただ、食育への興味、若い人にもっと本物の味を知ってほしいという気持ちが 高まってきて……。
若い人に、食への関心をもってもらうためには、カフェという形態のほうが入りやすいのでは、
と考えカフェ・アンバーを開業しました。

コ ンセプトは『銀座の高級料亭の味を楽しめるカフェ』。

場所は渋谷。若者がたくさん集まる街に開業したかったのです。
ですから、渋谷以外の場所で物件を探すことは一切しませんでした。

内装は、黄色と赤を貴重にしたデザインで、店全体をカジュアルに。
料理はすべて元「朝川」の板前が作る和食。
「刺身3点盛り」 などの魚料理もあり、しかも、使う魚はすべて天然モノ。

カフェではちょっと考えられないメニューでしょ。

ただ、カフェという形態と客層を考えると、どうしても高い価格には設定できないため、
利益率はどうしても低くなってしまいます。
でも、料理だけは妥協したくないので、なんとか貫いています。

顧客層は20 代30代が多いですが、小学生から80代のご年配の方まで、年齢の幅は広いですよ。

週末、109での買い物帰りに、小学生同士がお小遣いを持ってランチを 食べに来ることもありますから(笑)。」

強気と謙虚な姿勢で交渉
希望とおりの金額で物件契約成立

「渋谷駅」「駅から徒歩10分以内」「路面店以外」。

この3点を満たす場所を、探し、見つけたのが雑居ビルの6階。
見た瞬間ここがいいと思い、さっそく契約交 渉をするのですが……。
保証金の高さに納得がいかず(笑)、こちらの希望とおりの金額で契約してもらうため、
交渉にはかなりの力を注ぎました。

当時このビル にはマージャン店などがあり、飲食店が1店もない状態。
ビル自体の集客力・イメージアップに貢献できることをアピール。

それがよかったのか、こちらの希望 がとおり、予算内で開業することができました。
交渉は、強気に謙虚に、がポイントです(笑)。

何でもそうですが、常識にとらわれたり、普通はこういうものなんだろうって
勝手に判断してあきらめないで、まずは言ってみる。
率直に腹を割って冷静に交渉すれば、案外思いとおりになることもあるし、
相手とも結果的にいい関係が築けることが多いと思います。
 

不特定多数の人を引き寄せる
吸引力を持つのがカフェ

「オープン当時は、広告宣伝予算などなく、情報発信はHPのみ。

カフェというイメージを損なわないようにチラシ配りなんてしないほうがいい、
という周囲の意見など無視して(笑)、街頭でビラ配りをしました。

店の存在を知ってもらわなければ始まらないのですから、
イメージとかプライドとか言っている場合じゃないですよね。

そのほか、雑誌メディアへのリリースも片っ端から送りました。
「料亭がカフェ」というキャッチがインパクトあったのか、いくつかの雑誌に取り上げてもらいました。

そのうちのひとつが雑誌『Hanako』で、ここに掲載されたことで他の雑誌にもたくさん掲載されるようになりました。その後、テレビで紹介されたことがきっかけで認知度は一気に高まり、お客さまも増えました。

低い利益率ながらも、オープンから何とか黒字経営を続けているのは、
こういったメディア や周囲の方々のおかげだと思っています。

3店舗目として同じビルの7階に「アンバー・ギャレット」をオープンさせたのは、2003年12月。
「大人のためのカフェがほしい」というカフェ・アン バーのお客さまからの声がきっかけで誕生した店なんです。

この店では、リスクを分散したかったこともあり、オーナー制度を導入。
現在は、20人のオーナーによって運営しています。

完全予約制で運営している料亭は、リスクも少ないし利益率も高いから、
商売だけを考えたら料亭のほうが運営はラク。

でも、カフェは間口が広い分、さまざまな世代のお客さまがいらっしゃる。
この店を開業しなかったら出合うことのなかった人たちとたくさん出合えることが、
カフェ経営の楽しみであり、一番良かったと思うことです。」

さりげなくディスプレイされている絵本やかわいい雑貨が、自宅のリビングにいるような居心地のよさを演出 カフェ・アンバー/渋谷区宇田川町17-1 渋谷ブラザービル6F TEL/03-3770-8756 http://www.amber-g.jp
椅子とテーブル……コーナーごとにインテリアが異なる アンバーギャレットは同じビルの7F。VIPルームもあり、撮影などにもよく使われるとか

Q:カフェの運営で大変なことは?

A: さまざまなお客さまを相手にしていることですね。カジュアル&オープンであればあるほど、子どもから大人まで、多くのお客さまがやってくる。それが楽しみでも あるのですが、みなさんに満足していただくという点では難しい。それに客層はお店の雰囲気に大きく影響します。門戸を広げているものの、誰でもいいという わけではありません。店を路面に出さないと決めていたのも、「カフェならどこでもいい」という考えの人を受け入れたくなかったから。自分がイメージした店 で、自分がイメージしていたお客さまが楽しんでいる。その姿を見ることが私の喜びなんです。客層を広げつつ、いいお客さまに「選んでもらう」店づくり…… これがけっこう難しいんですよね。

Q:こだわっていることは?

A: 実は、売上や客単価には、あまりこだわりません。日々変動して当然だし、赤字にさえならなければいいと思っています。むしろ、他にはない、日本に1件しか ない店であり続けたいと強く思っています。「懐石料理をアラカルトで味わえるカフェ」は、もしかしたら他にもあるのかもしれません。でも、一流の板前がこ こまで揃うカフェは他には絶対にありません。料理の質にも自信を持っています。また、若者に支持される、アンテナ的な店でありたいとも思っています。

Q:オーナーとして、心がけていることは?

A: 常に初心を忘れないことですね。オープン当時から、ノートにアイディアを書き溜めているんですが、何かある度に、そのノートを開いて確認しています。自分 の目が肥えてきたり、違うタイプの人と知り合ったりしていくうちに、無意識に自分の軸がブレてきます。たとえば、アンバー・カフェを「もっと大人っぽい雰 囲気にしたほうがいいかな」とか思ってしまったりする(笑)。でもそれは危険なことなんです。最初に自分が考えたアイディアがやっぱり一番優れているし、 目的にかなっているんです。洋服を買うにしても、いろいろ見た挙句、やっぱり最初にいいなあと思ったモノを買うことってありませんか? そういう感覚と似 ているような気がします。

1号店の開業データ
開業資金 1500万円
物件取得費 500万円
内装工事費他 1000万円

 

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ここにあります。

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