「人のチカラになる、面白いことをしたい」。
ゼロ円起業で始めた「おっさんレンタル」とは?

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 森 晶  編集:菊池 徳行(ハイキックス)

ミドルエイジ男性のパワーを活用した
人材レンタルビジネスがブレイク中!
展開している事業の内容・特徴

20160616-11時間1000円で“おっさん”を貸し出してくれる「おっさんレンタル」というサービスが人気となっている。利用者の9割が女性で、その年齢層は幅広いが、ボリュームゾーンは30代だという。主な利用用途は人生相談や恋愛相談など。誰にも言えないような悩みに対してズバッと答えてもらいたい、ただひたすら話を聞いてほしいというオーダーが多い。特に金曜日の夜は予約が立て込み、大忙しだそうだ。

現在、同サイトの月間平均PV数は50万PVにも上る。レンタルされるおっさんの入会条件は、33歳以上62歳未満の男性で、相手が幸せにならないことは決してしない、心からこの事業に共感できる、さらに登録料(年間13万円)をしっかりと払えること。登録料を課した理由は、人の話を聞くサービスの性質上、トラブル回避のために質の悪い入会希望者を排除するためだ。

取材した2016年5月時点で、おっさんレンタルに登録している人数は約60人。社会的地位の高い男性も多く、豊富な人生経験を持ったおっさんに1時間1000円で話を聞いてもらえるこのサービス、人気を博しているのも納得できる。

また、「クイックおっさん」というサービスも人気だ。基本的におっさんレンタルは、サイトに掲載されたそれぞれのおっさんの顔写真やプロフィールから、利用者がおっさんを指名するシステムとなっている。

しかし、誰でもいいからすぐに利用したい場合などには、サイト内の「クイックおっさん」と書いてあるアイコンをクリックして、時間を入力して申し込みをする。すると、代表の西本貴信氏が空いているおっさんをアサインしてくれるというものだ(同じく1時間1000円)。これもなかなか好評で、1日に5人前後の利用があるそうだ。

日本の中年男性の地位向上のため
一人のおっさんが立ち上がった
ビジネスアイディア発想のきっかけ

20160616-2人気のファッションプロデューサーとしても活躍している西本氏は、「とにかく、日本人のミドルエイジの男性に対するイメージが悪すぎる」と熱弁する。なぜ、欧米の中年男性に比べて、日本の男性のイメージは悪いのか。ある日、JR中央線の車内で女子高生が「おっさんって気持ち悪いよね、クサイよね」と話をしているのを聞いて、同じおっさんである西本氏はとても悔しい思いをした。

女子高生たちに強い不快感を覚えたと同時に、一方的な偏見に対する怒りがこみ上げてきたのだという。そんな経験をきっかけとし、日本中のおっさんの地位向上のために立ち上げたのがおっさんレンタルだった。

2014年に同サービスをスタートしたが、当初はレンタルできるおっさんは西本氏ただ1人。また、PRのために用意したのはWebサイトとSNS(twitter)のみというゼロ円起業だった。当時縁あって、読売新聞夕刊のコラム『しあわせ小箱』の原稿執筆を担当しており、その記事のなかで紹介した「おっさんレンタル」というキャッチーな事業名が多くの読者の共感を得、問い合わせが急増する。ちなみに、問い合わせのほとんどがtwitter経由だった。

そこからあれよあれよという間に、西本氏とおっさんレンタルは、国内外のさまざまなメディアに取り上げられるようになる。メディア露出が増えるにつれて猛烈に忙しくなったため、2015年に初めて自分以外のおっさんの募集を開始。Webサイトだけの告知のみにもかかわらず、入会希望者数はなんと4000人を超えた。

その後、しっかりと入会ルールを説明し、西本氏が「この人なら!」と思えるおっさんを厳選して登録・採用していった。現在、毎月500~600件のレンタルに関する問い合わせがサイトに届いている。

人のチカラになる仕事には必ずニーズあり。
近い将来「おっさんの窓口」をつくりたい
将来の展望

今後の展望を西本氏に伺うと、「おっさんビル、おっさんの窓口を東京・恵比寿につくりたい」と笑顔で答えてくれた。敢えてサラリーマンの街の印象が強い東京・新橋などではなく、おしゃれな街・恵比寿で、同サービスのさらなるイメージアップに努めたいという。

恵比寿は、若者にも人気がありいいイメージを保っている街だ。起業した当初の方針を推し進めるため、「おっさんの窓口」「おっさんビル」を、ここ恵比寿につくりたいのだという。「おっさんの窓口」は「ほけんの窓口」にヒントを得たもので、基本的に、来店した人には無料でおっさんが対応およびアドバイスをする。そして、話を聞いているうちに、もし、もっと深い対応などの要望があった場合に料金が発生するという形式にできればとのこと。

来店型の業態のため、やはり1階に面した場所で店舗を構えることを目指しているが、恵比寿にはなかなか空きテナントが出ないため苦労しているという。

「将来的には東京だけではなく、フランチャイズ化して全国展開していきたい」と未来の計画を語ってくれた西本氏。「人のチカラになる、面白いことしたい」。それが、同サービスを創業してからずっとぶれない西本氏のポリシーだ。おっさんビジネスのこれからの動向に注目していきたい。

おっさんレンタル
代表者:西本 貴信氏 設立:2014年5月
URL:http://ossanrental.thebase.in/ スタッフ数:62名(登録されたおっさん含む)
事業内容:コンサルティング業、人材派遣業

当記事の内容は 2016/06/16 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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