費用を理由に結婚式をあきらめたカップルに、
自己資金5万円で実現する「会費婚」を提供

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執筆者: 髙橋 光二  編集:菊池 徳行(ハイキックス)

会場予約が入っていない“空き枠”を仕入れ
相場の半額以下で結婚式を提供
展開している事業の内容・特徴

20160614-1結婚式のご祝儀を会費制にすることで“明朗会計”にするとともに、会場の予約が入っていない“空き枠”を仕入れることで、相場の半額以下という格安の結婚式「会費婚」サービスを提供している株式会社アールキューブ。

結婚式のご祝儀は、3万円が標準的な相場といわれる。結婚式を挙げるカップルは、この相場に基づいてご祝儀の総額を弾き、総予算を考えることになる。しかし、フタを開けてみるとご祝儀が2万円、1万円という招待客もおり、その場合は不足分を工面しなければならい。一方、招待されるほうも3万円という金額に負担を感じる時もある。

「そこで、ご祝儀を一律1万5000円~2万5000円の会費制にすることで、招く側は予算のブレがなくなり、招かれる側には3万円を包むことへの気遣いや経済的な負担を軽減するメリットが提供できます」と同社代表取締役CEOの山崎令二郎氏は説明する。

同社は1都3県の約120の式場と提携し、向こう半年くらいの間で予約の入っていない会場の日程を把握。式場にとって無駄になる可能性のある直近で空いている日にちを格安の料金で借りられるようにしている。さらに、従来のアナログだった打合せを、ITを駆使して効率化。通常10回ほどのウエディングプランナーとの打ち合わせを3回に抑制し、人件費も大幅に削減。これらの工夫により、平均350万円の予算が、半額以下に収まるのだ。しかも、披露宴の内容は、ドレスや花、写真撮影など一般的なものと遜色ないグレードだ。

「主要な顧客層は“おめでた婚”などで入籍し、お金の問題で挙式をあきらめていたカップルや、そもそも予算がなくて結婚式すら考えていなかったようなカップルだ。それゆえ、式場側としても、異なる顧客層を新たに開拓でき、さらに会場の空いている枠をなくせるというメリットが生まれたのです」

音楽仲間の働き場所を求めて、
生演奏家の派遣サービスからスタート
ビジネスアイディア発想のきっかけ

20160614-2幼少期からラグビーを始め、高校卒業後はニュージーランドに2年間ラグビー留学した山崎氏。当地でスポーツ用品商社との縁が生まれ就職し、帰国後、日本市場の開拓を任された。「仕事をしているうちに、自分も起業したくなりました」と述懐する。

ラグビー同様音楽にも親しんできた山崎氏は、弟が音楽大学で学んでいたこともあり、周囲に音楽系の仲間が多くいた。そんな仲間たちと酒を飲んでいる時、「音大を卒業しても満足に仕事がない」という話を聞かされた。

「演奏家として第一線で活躍している人は、高齢までやっていけます。スポーツ界と違って世代交代に非常に時間がかかる世界だからです。仲間が困っている姿を見た私は『よし、俺が仕事を取ってきてやる』と言ってしまったわけです(笑)」

その後、いろいろな人に会って演奏家のニーズを探っていくなかで、ウエディングプランナーと出会った。そして、結婚披露宴で生演奏のニーズが高いことを知り、まずは演奏家を派遣することを事業目的とするアールキューブを創業する。しかし、多くの式場が新郎新婦に生演奏料として10万~20万円を請求する一方、演奏家には数万円しか支払われない現実を知ることになる。

「式場に出入りし始めると、演奏料だけでなく、ほかにもいろいろな費用がブラックボックス化しているという現状を目の当たりにしました。これを解決すべきと考えたのですが、当時は式場がクライアントなので何も言えなかったのです」

そんなタイミングで東日本大震災が発生。自粛ムードが広がり、披露宴の生演奏のキャンセルが相次ぐ。「ピンチはチャンス。ここを機に、ブラックボックス化されている結婚式業界の問題に正面から斬り込もうといろいろ考えた結果、“会費婚”のアイデアに行きついたのです。さっそくマーケットを調べてみると、北海道に同じような習慣があるぐらいで、競合がいないこともわかりました」。

実績のない立ち上げ期は苦労したものの、大手旅行代理店との業務提携や海外挙式後のお披露目パーティーの新しい市場開拓をするなどして事業を軌道に乗せてからは提携する式場が急増していく。「今では『ぜひ使ってください』と式場のほうから申し入れていただけるようになりました」と山崎氏は顔をほころばす。

“結婚式の新しい常識をつくる”をビジョンに
オリジナル結婚式を提供する新サービス
将来の展望

20160614-3“結婚式の新しい常識をつくる”をビジョンに掲げる同社。さまざまある旧態依然とした悪しき“常識”を一新し、“あらゆる人に幸せな結婚式を”実現してもらうことを目指す。2015年度は年間500組以上の「会費婚」をプロデュースし、事業も社員も昨対200%アップの勢いで急成長している。

「今後は、『会費婚』の全国展開を目指します」と山崎氏は意気込む。2016年の夏には、派手な結婚式で有名な名古屋市場に打って出る。「派手でお金がかかるだけに、このエリアで実は困っているカップルも多いのです。名古屋以外も、地域ゆえのさまざまな事情があります。それをクリアしていけば、成功できるエリアも広がっていくでしょう」

さらに“新常識づくり”に向け、新たなサービスも始める予定。「例えば、海や山、ご自宅など好きな場所で結婚式を行ったり、ブライダル業界以外のプロの力を借りてオリジナリティのある結婚式をつくったりするサービスなど。

私自身、あるアパレル会社に協力してもらい、手前味噌ですが、とても素晴らしい結婚式を挙げることができました。そういったこれまでにない結婚式のスタイルと感動を、多くのお客さまに広めていきたいと考えています」

株式会社アールキューブ
代表者:代表取締役CEO 山崎 令二郎氏 設立:2006年5月
URL:http://rcubeinc.com/ スタッフ数:19名
事業内容:「会費婚」サービスの運営

当記事の内容は 2016/06/14 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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