3000円で自宅にシェフが呼べる。「マイシェフ」が育児中の女性やママ会で大人気!

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執筆者: ドリームゲート事務局

東京を中心とした格安出張シェフサービスが登場。明朗会計がうれしいポイント!
展開している事業内容・特徴

20140624_2自宅やレンタルキッチンにシェフを呼んで料理をしてもらうサービスが人気を呼んでいる。サービス名は「マイシェフ」。マイシェフの仕組みはシンプル。Webから注文するとシェフが出張に来て、その場で料理をしてくれるというもの。同サービスに登録しているシェフ数は、取材をした2014年6月時点で50名ほど。キャリア8~9年程度の30代シェフが中心だ。

料金は、食材費、食材購入、調理、後片付け、交通費などを含んで、料理1人分で3000から5000円までで500円刻みと、明朗会計をうりにしている。

安さの秘密は、飲食店と比べて固定費がかからず、シェフも普段はレストランなどで働いている人材が登録しているから。シェフが休みの日や空いている時間を活用してサービスを行うというわけだ。また、原価率は3~4割と飲食店の平均的な水準だが、仕込みはせずに現地に材料だけ持っていき、その場で調理をするといったオペレーションも低コスト化に一役買っている。

マイシェフ株式会社は、清水昌浩氏が2012年4月に設立されたベンチャー。最初の1年間は市場調査やオペレーションテストなどを進めてサービスの標準化を図り、2013年9月4日より本格的にサービスを開始した。

メインターゲットは都内の働く女性。7割が育児中の主婦だそうだ。休日に家族や親せきなどを自宅に招いてパーティーをする際に利用してもらう、あるいは友人同士のママ会などの利用も増えているという。

女性がちょっとした贅沢に出せる金額を調べて設定した結果、平均注文単価は2万2000円。5~6名での利用が多いという。1回の派遣時間は3時間半程度で、平均で4品ほどを提供している。この料金は、一般的な出張料理と比べて3分の1程度と格安だ。

前職時代の事業リサーチからアイデアをふくらませ、ITベンチャーのカントリーマネジャーと兼務しつつ起業
ビジネスアイデア発想のきっかけ

20140624_1清水氏は、名古屋大学法学部を卒業後、アクセンチュアに就職した。ITコンサルタントとして3年ほどキャリアを積んだのち、デジタルフォレスト社で6年ほど経営企画や事業開発の職に携わっていた。

祖父の兄弟がみな実業家だったため、子供のころから自然と起業したい、自分でビジネスを興したいというマインドがあったという。

「マイシェフ」のアイデアは、清水氏が前職時代に個人的に事業のネタを探していた際、都市部の女性向けサービスがあまりなかったことに気付いたことがきっかけだ。さまざまな調査を進めるうちに、この分野は事業参入の余地が大きいと考えた。特に育児中の女性向けに大きな伸びしろがあると考え、そこにターゲットを絞った。

まだ構想段階だったプランを友人などに話したところ、育児中の女性は全員から良い反応を得られた。そこで具体的なサービスの内容を煮詰めていった。

まず考えたのが提供する価格だ。原価積み上げ方式だとどうしても高くなってしまうことから、ターゲット層が気軽に払える料金を調査した。

寿司屋で「時価」だとなかなか頼みづらいが、明瞭会計ならば安心して利用できる。しかし、既存の出張シェフのサービス内容を調べてみると、材料費や技術料、出張する距離や人数に応じて値段がまちまちだった。

そこで、ターゲットが「ちょっとした贅沢」に気兼ねなく出せる金額をリサーチして、3000~5000円という価格をはじき出した。

この設定価格帯をもとに、どうすればサービスが成立するかを計画していった。下ごしらえは余分にコストが発生するので省き、材料も手持ちしていけるもので、かつ出張時間内で調理できるものに、出張エリアもはシェフが電車で行ける距離に限った。

同時に、このサービスに参加してくれるシェフを募ったが、ここが一番苦労したという。というのも、清水氏自身が調理の世界については素人ということで、実現できるわけがないと否定されることも多かったが、そこは地道に協力者を集めていった。

資本金は300万円。創業チームは経営を担当する清水氏と、エンジニア、オペレーション兼雇用担当の3名という陣容だった。

実は清水氏には、もう一つの顔がある。ギンザマーケット社という米国サンフランシスコのベンチャーでカントリーマネジャー(日本法人代表)も務めているのだ。

デジタルフォレストを辞めた後、まずはカントリーマネジャーとして2011年に転職。ギンザ社はSEOやマーケティングツールを提供する会社で、法人向けのビジネスを展開している。ITベンチャーのマネジャーとして法人営業をこなしつつ、その一方で自分のビジネスを立ち上げたというわけだ。

そうして2013年4月にはサービスをスタートしたものの、プロモーションは一切しなかったため、当初の反応はいまひとつ。しかし、12月にメディアに取り上げられてから注文が増え始め、そこから利用者による口コミなどで徐々に広がり始めた。

調理のプロであるシェフと意見がぶつかることもあったが、素人ゆえに、ユーザー目線にたったサービスにこだわったことが、結果としてはうまくいったという。「新しいサービスを始める場合は、玄人の意見を聞きすぎないことも重要だ」と清水氏は語る。

働くならレストランか?「マイシェフ」か? 料理人が迷うようなサービスに育てたい
将来への展望

清水氏にこれからの展望を伺ったところ、「3年後には、料理人が働くならレストランか?マイシェフか?と悩むくらいのサービスに育てたい。そして、多くの人がシェフの出張サービスを当たり前のように使う世の中にしていきたい」と語ってくれた。

当面は登録シェフ数を拡大することが課題。今はまだ出張できるエリアは都内中心と限られているが、1年以内には一都三県の主要エリアならどこでも普通に注文ができるようにな体制にしたいという。

ビジネスとして意識しているのはスタジオアリス。子供の七五三などのイベント時に写真を撮るサービスだが、350億円の年商を挙げている。「子供×イベントという非日常でニッチなニーズにもかかわらず、それだけの年商があるというのは、日本市場の懐の深さと大きさを示している」と清水氏。出張シェフサービスも飲食業全体でいえばニッチとしても、数百億円程度の市場規模までは成長可能と清水氏は予測している。

これからはシニア向けのサービスも視野に入れている。例えば、還暦、古希、米寿といった時に、シェフを呼んでお祝いをする。確かに、出張シェフであれば自宅はもちろん介護施設のような場所でもサービスが可能だろう。

今後は高齢者が急増し、「家中消費」が拡大するといわてれている。「マイシェフ」も、そうしたマーケットに大きく食い込む可能性を秘めている。

マイシェフ株式会社
代表者:清水 昌浩氏 設立:2013年4月
URL:
http://mychef.jp
スタッフ数:
事業内容:
・家事サービス業の提供

当記事の内容は 2014/6/24 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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