モール型クラウドファンディング!? クラウドファンディングを加速させる新サービスが登場

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: ドリームゲート事務局

クラウドファンディングを加速させるモール型クラウドファンディングサイト「GREEN FUNDING」。
展開している事業内容・特徴

greenfunding-1コンテンツやモノ作り或いは起業への支援・投資のカタチとして、全世界で興隆を極めるネットサービス「クラウドファンディング」。自身のアイデアやプロジェクトを実現させたいクリエイターや起業家などが、不特定多数の個人に資金提供を呼びかけられるサービスである。このサービスを牽引するのは、アートや音楽、デザインなどのクリエイティブ系に特化した購入型クラウドファンディングサイトとして、アメリカで2008年に設立された「kickstarter」。今や世界最大のプラットフォームとして認知されているサイトだ。

2012年の流通総額は約300億円、2013年は550億円を上回った。サイト内のプロジェクト立案数は年間19,000件程度を推移しているが、上記の流通総額からすれば平均して、それぞれのプロジェクトが概算で250万円以上の資金を調達しており、また2013年において50件以上のプロジェクトが1億円以上の獲得に成功している。

日本でも、このような動きに呼応し2011年にクラウドファンディングサービスが産声を上げた。現在では、約40サイト以上サービスが展開されているが、資金を求めるクリエイターたちから熱い視線が注がれ、またメディアも注目し、大きなムーブメントが生まれつつある。

そんな勃興期に突入したと言える、我が国のクラウドファンディングサービスに一石を投じ、さらに次世代のビジネスモデルとして加速させていくのが、株式会社ワンモア(以下:ワンモア)が提供するモール型クラウドファンディングサイト「GREEN FUNDING」だ。

同サービスの最大の特徴は、例えるなら楽天のような出店とシステム貸しを兼ね備えたサービスであること。現在国内で展開されているクラウドファンディングサイトが軒並みBtoCであるのに対してBtoBをベースにした、クラウドファンディングをビジネスとして展開したい企業を誘致するサービスなのである。

パートナーのサイトを含めると展開されるサイトは現在15サイト。三越伊勢丹ホールディングス、東京カレンダー株式会社、株式会社ベイエフエムなど名だたる企業も名を連ね、プロジェクトの立案数はサービス開始一年未満でトータルで約160件に上り110件程度が成立している。

それぞれの企業は、自社のカラーにマッチしたグリーンファンディングサービスを展開しており、一般に広く立案者を求めるスタンダードなモデルから、自社内から生まれるプロジェクトのみをプロジェクト化した新規コンテンツ開発への活用まで多彩だ。また、GREEN FUNDING自体も直営のクラウドファンディングサイト「GREEN FUNDING Lab」を開設しており、単発で同サイトからプロジェクト立案することも可能だ。

同サービスのサービスプランは上記単発起案プランに加え、「スタンダードプラン」と「共同運営プラン」の3種。スタンダードプランは、クラウドファンディング事業にかかるサイト構築など、初期投資を抑えたい企業に向けたいわばシステム貸しプランである。共同運営プランは、それに加え「GREEN FUNDING」が所有するクラウドファンディングの事業ノウハウを提供するもので、資料提供、サイト導入から運営開始までのコンサルティングサポート、運営コンサルティング、プロジェクト起案者のサポート、サイト運営にかかる事務作業のサポートが付属する。

サポート企業の初期導入費用と、各サイトのプロジェクトが成立した際の成果報酬が「GREEN FUNDING」の収益となる。

「企業スポンサーモデルの限界」と「メーカーズスピリット」を満足させたクラウドファンディングとの出会いから起業を決意。
ビジネスアイデア発想のきっかけ

greenfunding-2代表取締役CEOを務めるのが沼田健彦氏。東京大学を卒業後、株式会社電通で営業職を4年、中学校からの同級生が起業した株式会社イミオの取締役として3年の勤務を経て、ワンモアを創立した。「GREEN FUNDING」のサービス開始に至る経緯として、まずここでは電通からイミオの取締役就任に至るまでの話を記したい。

沼田氏は電通でANAの担当営業に携わっていた。当時の広告企業は雑誌、テレビなどが主戦場だったが、ANAは航空券がネットを介しての売買が普及しはじめたのを受けインターネット媒体に舵を切ろうとしていた。このような動向から氏はデジタルメディアというビジネスフィールドに新しい可能性と魅力を感じていた。
同時に雑誌・ラジオなどへの出稿が減少する中で、企業スポンサーに依存したコンテンツビジネスモデルに限界を感じたという。

しばらくして、テレビ局への移動の話があり快諾した氏であったが、テレビ業界のクローズされた環境に違和感を感じる日々が続く。そんなとき、「商品に意味を、消費に意味を」という理念を掲げる、イミオ社に出会い、0からモノづくりを行う魅力にひかれ、転職を決断したという。

パキスタンの工場と提携しフェアトレードのボールの製造・販売を行うベンチャーであるイミオのビジネスは氏にとって未知の分野であったが、0からモノやブランドを作っていく面白さとビジネスの妙味を感じていく。だが、その反面、モノづくりベンチャーの難しさも痛感していた。それは、「キャッシュが先になくなるビジネスの難しさ」であり、コンテンツやモノづくりを行う際に必ず対峙しなければいけない問題だった。この問題に活路を見出すべく情報収集を行う中で、出会ったのが冒頭で述べた「kickstarter」だ。

この出会いは氏にとって、衝撃的なものだった。それは、電通時代に感じた企業スポンサーモデルの限界を解決する画期的なモデルでもあり、メーカーズスピリットを満足させるビジネスだったからだ。

2011年、イミオを退社後、起業に至るわけだが、氏はこう振り返る。
「クラウドファンディングを知ったとき、運命的なビジネスモデルに出会ってしまったと感じましたが、アメリカのkickstarterモデルを猿真似で踏襲しても意味が無いと考えました。2010年くらいに突如勃興して、すぐにレッドオーシャン化したグルポン戦争を見てきたのも理由の一つです。どのようなビジネスモデルを持つべきかを思索する中で、今後クラウドファンディングが日本で興隆していくのであれば、BtoCではなくBtoBモデルに確実な需要があると気づきました」

東日本震災等という大きな出来事を経て、2011年6月に株式会社ワンモアは創立した。資本金に充当したのは、およそ1,800万円。自身の資金350万円と、金融機関から700万円を借り入れ、そしてイミオ時代のビジネスエンジェルと電通時代の後輩から1,100万円の投資を受け、スタートを切った。

まず、同社は、創業後1ケ月でクリエイター指向の強い女性に向けたクラウドファンディングサイト「GREEN GIRL」を作成し事業サンプルとした。このサイトの提示によってtoBで展開するためのクラウドファンディングサイトの在り方を“見える化”した。もちろん、事業サンプルであるがゆえに大きな収益自体には繋がらず創業初年度はホームページ制作やソーシャルメディア運営の受託でわずかながらの食い扶持を稼いでいたという。「当初は、売上云々というより、如何にキャッシュアウトの量を抑えるかに奮闘する毎日だった」と沼田氏は笑いながら苦労話を語ってくれた。

だが、GREEN GIRLという明確なモデルに基づいたプレゼンテーションでの確かな手応えと、またモール型クラウドファンディングという明確なビジョンも得ていた同社は、現在日本とシリコンバレーで、ベンチャー企業へのスタートアップ支援投資事業を展開しているIMJ FENOX PTE.LTDに投資を依頼した。500万円の出資を受け、2012年の3月から8月までASPシステムの開発と構築を行い、本格的なサービス展開に乗り出した。初のクライアントを得たのは2012年12月。そこから、およそひと月毎に1社のペースでクライアントは増え、2013年4月に6つのサイトが揃ったのを期にモール型クラウドファンディングサイト『GREEN FUNDING』のβ版をリリース。2013年10月に正式に『GREEN FUNDING』のローンチに至った。現在まで順調に収益は右肩上がり、社員も創業当初は沼田氏含め2人だったが、6名に増員した。

クラウドファンディングを通じてメディア業界の復興と活性化にも寄与していきたい。
将来への展望

創業から3年目、現在同社は「GREEN FUNDING」のブランディングに力を注いでいる。

パートナー企業の拡大をめざす一方で、直営のクラウドファンディングサイトでは資金支援のみで完結するのではなくプロジェクト立案者と深くコミットすることを検討している。これは例えば、出版物を作りたいというプロジェクトであるなら、プロジェクト成立のみではなく流通経路開拓や販売コンサルティングなどを行うといった世に出すまでをサポートするといったものだ。2013年12月に同社は大日本印刷や大手流通会社と手を組み、まずは出版分野で資金を調達する立案者に、製造~流通までの一気通貫でサポートするクラウドファンディングを開始。資金調達のみではなく、本当の意味で起案者の支援になるクラウドファンディング×リアルサービスを推進させている。

インタビューの最後に沼田氏はこう語ってくれた。「クラウドファンディングは、ITビジネスと捉えられがちですが、コミュニケーションビジネスです。掲載するプロジェクトの画像一点、文言一行でも、支援者の気持ちが変わる。コミュニケーションデザインは、レガシーなメディアコンテンツビジネスを展開してきたコンテンツクリエイターの方が、むしろ得意とする分野ですから、既存でコンテンツビジネスを営む企業に必ずやマッチするビジネスフィールドであると感じています。今後、各コンテンツ分野にクラウドファンディングの普及を進めていくと同時に、結果それが日本のコンテンツビジネスの再活性化に少しでも貢献になればと考えています」

日本版クラウドファンディングの勃興期に誕生したGREEN FUNDING。「良心を持って、『情報』と『知』を選り分け、『人』と『人』の縁を通じて共創のビジネスを行う」ことを企業理念としたワンモアが世に送り出したこのサービスは、日本のメディアビジネス界に刺激を与えながら着実にその裾野を広げている。

株式会社ワンモア
代表者:沼田 健彦 氏 設立:2011年6月
URL:https://greenfunding.jp/ スタッフ数:6名
事業内容:モール型クラウドファンディングサイト「GREEN FUNDING」の運営
クラウドファンディングASPシステムおよび運営ノウハウの提供

当記事の内容は 2014/3/13 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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