インスタフォロワー2.9万人超え!住まいの
プロと出会えるマッチングサイト成功の秘訣

サービス業

執筆者: 本多 小百合  編集:菊池 徳行(ハイキックス)

素敵な写真に「いいね」をした後の
フォローが手厚いマッチングサービス 展開している事業の内容・特徴

20170307-1SUVACO株式会社が運営するマッチングサイト「SUVACO」には、家づくりやリノベーションの参考になる画像が約5万点も掲載されている。膨大な情報量を誇るばかりでなく、俗っぽい言い方をすれば、どれもがオシャレな部屋やカッコいい建物を写した素敵な写真だ。その証拠に、instagramのフォロワーは2.9万人を超える。ぜひ、「SUVACO」のサイトを訪れてみてほしい。

さらに、SUVACOが運営するもうひとつのサイト「リノベりす」には、リノベーションの体験レポートやインタビュー記事が充実している。扶桑社のリノベーションに特化した雑誌『relife+』と提携したコンテンツ提供を受けており、総じて記事の質も高い。

しかし、素敵な写真と文章でいっぱいに広がった夢だけでは、家は建たないし、リノベーションもできない。実際のところ、「いいね」と思ったその後が家づくりやリノベーションの始まりだ。できあいのものを購入するわけではないから、ユーザーにとってみれば完成して引っ越すまでに必要となる費用も、かかる時間も、具体的な完成物もわからない。

そんな不安を解消してくれるのが、SUVACOに在籍する2名の専属アドバイザーだ。1日3~4件は新規ユーザーからの直接相談を受ける。住宅業界での実務経験をもつアドバイザーは「和室を洋室にリフォームしたいが予算はどのくらい必要か?誰に頼めばいいか?」「子どもが生まれるので住み変えたいが新築とリノベーションとどちらがいいか?」といった素朴な疑問に丁寧に答えてくれる。たいていは一度のやり取りでは終わらず、二度、三度と続く。社員10名ほどの小さな会社で2名が一日中、この仕事に張り付くというから、いかにアドバイザーの存在を重視しているかがうかがえる。

「僕らのミッションはネットの世界とリアルの世界の架け橋になることです。試行錯誤するなかで、お客さま個々の要望を整理して専門家につなぐことが重要だと気付き、昨年3月にアドバイザーを導入しました。そこから、どんどんサービスが充実してきたと思います」とSUVACO株式会社代表の黒木武将氏は語る。

この“つなぎこみ”がSUVACOの特長となっており、アドバイザーの仲介で成約する確率は3〜4割にのぼるという。登録したユーザーは無料で気軽にアドバイザーに相談でき、建築家やリノベーション会社などの専門家は成約確度の高い客を成功報酬で送客してもらえる。双方の満足度は高く、マッチングサイトとしての評判は高まる一方だ。

ユーザーと専門家の間を仲立ちする役割に
求められるのは「信頼」 ビジネスアイディア発想のきっかけ

20170307-2建築家、リノベーション会社、工務店など、住宅にかかわる専門家の登録は現在、約1070社にのぼる。サイトがオープンした当初は50社で、掲載画像も2000点ほどだった。今と比べれば小さな数字に思えるが、何もないところからこの数を集めるのは容易ではない。代表の黒木氏は金融業界出身で、住宅や建築、不動産の業界には何の接点もなかったというから、なおさらだ。

「住宅業界はマーケットが大きいし、企業とユーザー間の情報非対称性が大きく、ビジネスとして魅力があると感じていました。自分自身、自宅をリフォームする際に思うように専門家を探せず、不動産屋さんから業者さんを紹介してもらいました。そうした口コミで自分に合う専門家に出会えるかというと、そこは偶然に近い。その偶然をもっと必然に近付けられないだろうかと。一方、建築家に話を聞いてみると、自前のホームページへの集客がうまくいかず、ユーザーとのつながり方を模索しているケースが多いことが見えてきました。そこで、情報量の多さや検索のしやすさといったネットのよさを生かし、両者をマッチングする仕組みを考え始めたのです」

アイデアの売り込みに関しては自信があった黒木氏だが、異業種、しかも金融業界からの参入ということもあり、業界に詳しい専門家からは色眼鏡で見られることもあったという。けれども、何度も自ら足を運び、相手の話をよく聞いて、きちんとしたコミュニケーションをとり続けることで、理解が得られるようになっていく。

「起業前は外資系金融でM&Aに携わっていたとお話しすると意外に思われますが、けっこう地道なことも得意なんです(笑)。一人の方がコンセプトに賛同してくださったら、その方から紹介をいただき、『あの人の紹介なら』とまた受け入れていただく。そんな人のつながりを大切にしながら、少しずつ積み上げていきました」

サイトオープンと同時に開設したSNSでも、コンセプトに賛同した専門家の顔ぶれが信頼を呼び、登録者の増加につながっていった。

「フォロワー数を購入したり、大きな予算を組んで広告を打つことはしていません。数が増えれば拡散力は高まりますが、興味のない人が紛れ込むことによるデメリットもある。あくまでもリアルの世界での価値を訴えるためのサービスです。今振り返っても、ネットの中だけでできることに手を出さなくてよかったと思います」

もともと画像を主としたサイト構成のSUVACOはinstagramとの親和性も高かった。掲載されている施工写真の質が高ければ、自然と評価も高まる。SNSのフォロワーの多さは、テクニックを弄することに陥らず、実直に利用者の共感を集めた努力の結果だった。

さらに複雑化する要望に応えて、
マッチングの満足度を向上させる 将来の展望

20170307-3昨今、リノベーションへの関心が飛躍的に高まっている。都心を中心にユーザーの中古物件に対する抵抗が薄れ、専門家も新築一辺倒ではなく既存ストックの活用を重視するようになってきた。住宅業界とユーザー双方の関心の高まりを受け、黒木氏は今年1月から「リノベーション向き不動産会社マッチングサービス」を始めた。

自分に合った住環境を手に入れるための選択肢は無数にある。今住んでいる自宅をリノベーションする、建て売りを購入する、土地を探して注文住宅を建てる、中古物件を買ってリノベーションする……。これらの選択肢をすべて検討しようと思えば、それぞれの専門家に話を聞いて判断しなければならない。

そのうえ、各分野の専門家がそれぞれの立場からメリットデメリットを主張すれば、一般ユーザーにはその内容を理解するだけでも難しい。今では業界を横断したような新しい会社も出てきているが、長らく設計、施工、不動産と別々の業界に分断されていたため、そんな会社を探し当てるのも至難の業だ。そこで、リノベーションに特化したワンストップサービスができるようにと、この取り組みが始まった。

「中古物件を買ってから来てください、リノベーションが得意な設計者を紹介しますというのでは、お客さまのニーズにマッチしません。新たなサービスを拡充して、お客さまのニーズ全体を捉え、増え続けるリノベーションニーズに応えていきたいと思っています」

立ち上げ時から一貫して、広告などでユーザーの母数を増やすのではなく、複雑な要望に応えられる仕組みをつくり、提供しながら、マッチングの精度を高めていくのが同社の戦略だ。黒木氏は、「ユーザーと専門家、双方のサービス満足度を高めることがすべて」と言う。

「ネットの中で解決できることもありますが、ユーザーが抱えているのは現実世界での課題なのです。アドバイザーがユーザーの漠然とした要望を丁寧にお聞きし、専門家への依頼相談ができるかたちに整理してわかりやすく説明する。このひと手間が、ユーザーの行動を喚起するためには非常に重要な仕事だと感じています」

今後はユーザーから寄せられた相談をデータベース化して要望整理の効率を上げるとともに、アドバイザーの増員も視野に入れているという。

「専門家にとってはささいなことでも、完成形がイメージできないユーザーにとって、不安や疑問は多いでしょう。そうした人たちの相談を受けて、専門家につなぐためのノウハウを磨いていけば、相談を受けられる人はもっと増えていくと思うのです。住宅関連の資格を持っているけれども、育児中でフルタイム勤務ができない女性にもアドバイザーとして活躍してもらえるのではないかと思っています」

目の前の複雑なニーズに、ネットと人という2つのリソースを最大限に生かしてマッチングサイトとしての本領を発揮する。共感の秘訣は、黒木氏の顧客満足度を高めるための分析力と、ユーザーニーズを掴むサービスの追究にあるようだ。

SUVACO株式会社
代表者:黒木 武将氏 設立:2013年4月
URL:https://suvaco.jp/ スタッフ数:約10名(インターン、アルバイトを含む)
事業内容:「SUVACO」「リノベりす」のメディア運営、家づくりを考えるユーザーと専門事業者のマッチングサービス、住宅専門家情報及び各専門家の主催するイベント・セミナー情報の掲載機能の提供など。

当記事の内容は 2017/3/07 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。