伊勢丹バイヤーを動かし、年間5万セットを販売!
日本の職人技が光る、子ども用「竹食器」

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執筆者: 松元 順子  編集:菊池 徳行(ハイキックス)

安全と機能性を徹底追求。
角度までこだわりぬいた商品 展開している事業の内容・特徴

20170221-1小さな子どもを持つ親にとって、「食の安全」は最大の関心事だろう。食べ物だけでなく、毎日使う食器も安全なものを選んでほしい――。そんな思いから、身体にも環境にもやさしい天然素材「竹」に着目し、子ども用竹食器「FUNFAM(ファンファン)」を生み出したのが、FUNFAM株式会社代表の藤岡康代(YASUYO)さんだ。

「FUNFAM」は、安全性と機能性にこだわり“食の楽しさ”を伝える同社プロダクトの総称。子どもがスプーンで食べ物をすくうのに最適な食器のカーブの角度「R10」を採用し、特許を取得。また、小さな子どもの視力が0.7程度であることから、食器の端を認識しやすいように、ふちに黒いラインが施されている。さらに、食器が動かず安定して食事ができるように底面に溝を設けるなど、細部まで工夫が凝らされている。

20170221-2「現在のデザインに行きつくまでに、さまざまな年齢の子どもを対象に30~40回のモニタリングを実施。商品化後もお客様の意見をもとに何度も改良を繰り返しました。『上手に食べられる』という子どもなりの成功体験を積み重ねることで、『食べることは楽しいこと』と感じてもらえればうれしいですね」

一般的に、木工品は海外で一次加工を施した「半製品」を輸入し、仕上げのみを日本で行うことが多い。対して「FUNFAM」は、基礎加工からレーザー加工、塗装まで、すべての工程を国内の熟練した職人が行っている。まさに、“真のMADE IN JAPAN”を実現した商品なのだ。

さらに同社では、食器の塗り直しサービスも実施。親から子へ、子から孫へと、大切に受け継いでいってほしいというYASUYOさんの願いが込められている。

子どもが安心して使える食器を広めたい!
その熱意で、取扱店を500店舗まで拡大 ビジネスアイディア発想のきっかけ

20170221-3元全日空の国際線キャビンアテンダントという経歴をもつYASUYOさん。退職後、夫の実家である家具メーカーを手伝っていた。当時、森林伐採による環境破壊が問題視されていたことから、木に代わる商材として「竹」に着目。ベッドやテーブルなどを製作していたが、釘を一切使わない伝統工法で作るため、どうしても売価が高くなってしまう。そこで、「もっと気軽に使っていただけるものを」と考えついたのが「FUNFAM」だ。

「ちょうどその頃、娘が生まれたこともきっかけのひとつです。当時、中国製粉ミルクのメラミン混入事件や子ども用食器に発がん性物質が含まれているなど、不安なニュースが頻繁に流れていました。娘が食物アレルギーだったこともあり、ひとりの母親として安心して娘に使わせられるものがないなら、自分で作ろうと決意しました」

台東区の職人に頼み込み、原型の製作を依頼。起業当初は、はんだゴテを使って、YASUYOさん自ら1点1点焼印していたそうだ。ときには、手の平にやけどを負いながら作業することもあったという。そうした苦労の甲斐あって、「FUNFAM」は、台東区・荒川区・足立区・墨田区・葛飾区の5区による産業活性化プロジェクト「TASKものづくり大賞」を受賞する。

その後、伊勢丹主催の展示会に出品したのを機に、イベント会場のディスプレイとして展示されることが決まる。そこで、何とか商品として置いてもらおうと「一度売り場に置いてほしい」とバイヤーに直談判。その熱意が実を結び、伊勢丹での試験販売を実現。下町の小さな工場から生まれた商品が日の目を見た瞬間だった。

「無名の商品を多くの方に知っていただくためには、機会を待つのではなく、自ら作らなければという強い思いがありました。『ニーズは必ずある』と確信していたので、諦めるという選択肢はなかったですね」とYASUYOさん。プレゼンで一蹴されることも多々あったというが、一つひとつの店舗に足繁く通い、粘り強く交渉を続けていった。交渉成立までに数年かかったこともあり、キャラクター食器の製作においてジブリの版権を取得する際には、4年もの歳月を費やしたという。

そうした地道な努力の積み重ねを経て、大手百貨店やセレクトショップを中心に着実に販路を拡大。現在、国内の取扱店は500店舗にのぼる。アメリカ、ヨーロッパなど海外にも販路を広げており、「FUNFAM」の名は世界に広がる勢いだ。

出産祝いギフト竹食器を主軸に、
幅広い事業展開を目指したい 将来の展望

20170221-4女性誌や育児雑誌などのメディアにも多数取り上げられるようになり、さらに認知が拡大。2011年の設立から6期目で、年間5万セットを売り上げるまでに成長した。

今後は、出産祝いギフト竹食器「FUNFAM」を主軸に、新たな事業の柱を増やしていく構えだ。そのひとつが、「ミールソリューション(食の課題解決)」をテーマとした離乳食スクール。国際線キャビンアテンダントとして世界各国の食文化に触れていた経験を生かした、オリジナルレシピを考案。小人数制のスクールは、アットホームでわかりやすいと評判で、離乳食研究家YASUYOとして、小さな子どもをもつママから高い支持を得ている。

「現在、東京都の檜原村に自社工場を建設する計画を進めています。将来的には主な製造工程を自社で担える仕組みをつくりたい。また、村のエコツーリズムの一環として、子ども向けの『ものづくり体験教室』を開催することも検討しています。さらに、2020年の東京オリンピックに向けて、“MADE IN TOKYO”の商品も企画中です。今後も現状に甘んじることなく、新たな取り組みを続けていきたいですね」

母として起業家として、常に前進してきたYASUYOさん。これからも竹のように強くしなやかに、さらなる挑戦を続けていく。

FUNFAM株式会社
代表者:藤岡 康代氏 設立:2011年8月
URL:http://funfam.jp/ スタッフ数:6名
事業内容:食器及び調理器具類の企画デザイン製造卸販売業

当記事の内容は 2017/2/21 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。