野菜からつくるナチュラルなクレヨン。
安心・安全を掲げて累計6万セットを販売

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 佐々木 正孝  編集:菊池 徳行(ハイキックス)

開発者・素材・生産者はオール青森。
廃棄素材をリユースして見事に製品化!
展開している事業の内容・特徴

20161129-1きゃべつ、りんご、ながいも、雪にんじん、カシス……これらはすべて、色の名前。本物の野菜、果物を素材に使い、自然そのままの色合いを表現するのが「おやさいクレヨンStandard」だ。クレヨンのつなぎに必須となる油分には、米ぬか由来のライスワックスを使用。石油系、動物系が用いられる通常のクレヨンとは一線を画し、子どもが口にしても安心・安全な製品としてアピールしている。

開発したのは青森市に本社を構えるmizuiro株式会社。代表の木村尚子さんは、青森県を拠点にデザイナーとして活動を続けてきた。原材料の野菜、果物はほぼ青森産。このクレヨンは「野菜や果物の色みを生かした製品をつくりたい」というナチュラル志向と、故郷・青森への思いが融合したもの。さらに、開発プロセスでは、これまで廃棄されていたパーツに着目。「自然にやさしい」という要素まで加わった。

「野菜を原材料にするためにリサーチを進めるなかで、生産された野菜がすべて食されているわけではないことを知りました。傷があったり、形が悪かったりすることではじかれる規格外商品。外皮など加工過程で取り除かれ、廃棄される部分も少なくありません。それらを有効利用できているのが『おやさいクレヨン』なのです。たとえば、きゃべつ色の原料は収穫時に破棄していた外葉をリユースしたもの。ごぼう、りんご、カシスなどは加工品製造時に廃棄される皮を使用。とうもろこし、雪にんじんなどは規格外品を原料にしています」

青森といえば全国的に知られるのが「りんご」。本製品でもヴィヴィッドな赤色で存在感を発揮しているが、実は淡い色味の「ながいも」、濃厚な「カシス」も青森県が国内生産量全国1位の野菜だ。食料自給率123%を誇る農業県・青森のバックグラウンドが「おやさいクレヨン」の豊かな色世界を支えている。

前例のない商品づくりだから、面白い
意気に感じるパートナーが続々名乗り
ビジネスアイディア発想のきっかけ

20161124-2「おやさいクレヨン」のアイデアを着想した木村さんだが、開発資金も、文房具業界、農家へのルートもなかった。そこで、六次産業化に積極的な青森県の行政に相談。県のスタートアップ支援事業への申請が認められ、助成金を交付された。この資金で開発スペース、スタッフ2名の雇用を確保。文具メーカーでキャリアを積んできた人材が加入し、販路や製品イメージ、流通の確保に必要なステップが把握できたという。

しかし、前例のない商品だけに専門業者も存在しない。野菜の粉末化、クレヨンの製造まで、木村さんは手探りでパートナーを探していく。

「ブレイクスルーになったのは、東一文具工業所(名古屋市)の代表・水谷和幸さんとの出会いです。こちらは創業60年になる老舗のクレヨン工場ですが、3代目の水谷さんが乗り気になってくれました。『新しいことをやりたいと思っていた』と快諾してくれたんです。野菜パウダーを固める工程が最大の難関でしたが、数カ月も試行錯誤。ライスワックスと合わせることで、色合いを生かした、しっかりとした描き味の製品ができたのです」

次なる壁は、原材料となる野菜パウダーの確保だ。青森県産を追求し、生産から加工までワンストップで行ってくれる農家を探し求めたが、インターネット経由でのリサーチには限界があった。これも青森県行政に紹介を仰ぐことで糸口が見つかる。木村さんは紹介された農事組合法人あづま(上北郡七戸町)と出合った。

「30~40種類の野菜パウダーを手がけている三上理事長が『面白そうだ』と全面協力してくれました。これで素材・加工という両輪が確保でき、2013年の年末に試作品が完成。どれだけ手ごたえがあるかわかりませんでしたが、2014年2月の商談展示会への出展を決めたのです」

そして、商談会では3日という期間の間にバイヤーが殺到。用意していたサンプル、名刺も払底するほどの人気ぶり。ファーストロット1000箱の取扱店が会期中に決まってしまった。前例のない商品だからこそ、インパクトも強い。「1000箱を1年ぐらいかけて地道に売り切っていく」という木村さんのロードマップが鮮やかに塗り替えられた瞬間だった。

青森から全国、その先へ
素朴なタッチで世界を塗り替える
将来の展望

20161124-3文房具・雑貨業界やメディアから注目を浴び、第2弾の「season2」からは当初の10倍以上の数量を生産し、素材の安定供給にも道筋がついた。2015年の「season4」までは生産ロットごとの売り切りだったが、2016年6月の「おやさいクレヨンStandard」で満を持してレギュラー化。100円ショップでもクレヨンが買える時代に、売価2000円ながら累計で約6万セットを販売し、確かな手ごたえを得ている。

「東京の企業が開発していたら、もっとスピード感があって、もっとスタイリッシュな商品になっていたでしょう。だけど、青森の小さな企業がやっている素朴さを評価してくれるママさんたちも多いと思うんです。東京だけじゃなく、地方にも注目してもらえると日本全体が元気になるかな。そんな思いで、今後も商品を届けていければ」

「おやさいクレヨン」の手法を横展開し、mizuiroは野菜や果物パウダーで着色した粘土「おやさいねんど」も開発。関連商品のラインアップも充実させ、青森野菜・果実を軸にしたナチュラルなブランディングを図っている。大手雑貨店、全国ベビー用品チェーンのほか、文具セレクトショップ、自然派レストランと販売チャネルも色とりどり。青森市に直営ショップもオープンさせた。海外への販路拡大も図っており、野菜ブランディングは世界に広がっていく勢いだ。

「販売当初から、英語や韓国語など8カ国語の商品名をパッケージに記載してきました。ドイツの展示会で好評を博しましたし、韓国には6000セット以上を出荷するなど、各国の代理店と良好な関係を築けています」

洋の東西を問わずナチュラル志向は顕著だし、子どもが手にする製品の安心・安全へのニーズも高まる一方だ。青森からスローに届けられる「おやさいクレヨン」。青森から世界のママたちへ、力強い線が引かれ始めている。

mizuiro株式会社
代表者:木村 尚子氏 設立:2014年9月
URL:http://mizuiroinc.com/ スタッフ数:7名
事業内容:・「おやさいクレヨン」などオリジナル商品の企画・製造および販売。広告などのデザイン。

当記事の内容は 2016/11/24 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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