定年後の「経理財務」スペシャリストを
派遣する「株式会社シニア経理財務」

スマビ総研

執筆者: 東 雄介  編集:菊池 徳行(ハイキックス)

シニアのプロフェッショナル人材と
中小企業をマッチング 展開している事業の内容・特徴

20161026-1人材派遣事業者は数あれど、シニア層の、それも経理財務職にフォーカスしたのは、この会社だけだ。株式会社シニア経理財務は、現役をリタイアしたシニア世代の経理財務経験者を、経理財務のプロフェッショナルを求める中小企業に派遣している、現在は約100名のシニア人材が登録し、そのうち70人ほどが首都圏の派遣先で活躍。月間約1000万円前後を売り上げている。

同社が担っているのは、定年後もまだまだ働きたい元気なシニアと、経験豊かな経理人材を低コストで確保したい企業とのマッチングだ。

「シニア人材は、定年後の時間を持て余しています」と同社代表の富澤一利氏は語る。「長年のスキルを生かして働きたいシニア人材が、たくさんいるんです。ご家族にしても、毎日用事もなく、家でゴロゴロされるよりは外に出てもらいたいわけです(笑)」。もっとも週5日フルタイムで働く登録者は少なく、週2~3日程度の勤務を希望する登録者が大半だ。

シニア人材を雇う側にも大きなメリットがある。企業が支払う料金は1時間あたり2000円~2200円ほど。登録者は1400円前後を時給として受け取る。シニア世代の時給としては高水準だ。しかしフルタイムの派遣社員に比べれば、稼働日数が少ない分、企業は人件費を抑えられる。経理専任の人材を雇う余裕のなかった中小企業も、これなら安心して依頼できるというわけだ。

まだまだ元気なシニア世代に
スキルを生かした社会参加の機会を ビジネスアイディア発想のきっかけ

20161026-2富澤氏は、銀行に33年勤めたあと、ホテルで5年、不動産会社で5年というキャリアを歩み、65歳で定年退職を迎えた。しかし今時の65歳はまだまだ働くことができる。「やはり社会参加したい、スキルを生かしたい、世の中に貢献したい。これは私だけの思いではないはずだ、という確信がありました」。

そんな折、同社会長を務める古田良三氏に声をかけられた。もともと銀行員時代の取引先であり、人材派遣会社スタッフアイを含むアイ・グループを経営している人物だ。「古田の頭にも、シニアに特化した経理人材の派遣事業をというアイデアがありました」。

こうして富澤氏は、スタッフアイから1000万円の出資を受け、シニア経理財務を創業する。2013年のことだ。前例のないビジネスモデルである。課題は2つあった。質の高いシニア人材を集めること、求人企業を開拓することだ。

創業するとすぐに、朝日新聞に小さな求人広告を出した。「60歳以上、生涯現役で働きたい人。10年以上の経理経験者集まれ! と出しました。すると、80人くらいのシニアがすぐに集まった。皆、暇なので新聞をよく読んでいるんですね(笑)。それに、ほかのシニア向けの求人は高いスキルが求められるものがなく、当社の広告はよく目立ったようです」。

一方、求人企業は、富澤氏が世界最大規模の異業種交流組織BNIを通じて開拓した。毎週1回、朝6時半から始まる定例会に、富澤氏は今も4時起きで参加している。

「BNIメンバーと年間50回も顔を合わせていれば信頼関係が構築でき、経理で困っている会社をメンバーが紹介してくれるんです」。現在は、税理士からの紹介も多い。「経理をなんとかしたいと顧客から相談された税理士さんが、『シニア経理財務なら週2~3日でやってくれるよ』と、当社のことを紹介してくれるのです」

企業からのニーズはどんどん増加!
今後は拠点を全国に拡大する予定 将来の展望

65歳にして、起業家としての新たなキャリアをスタートさせた富澤氏。今は、シニア経理財務の認知度を高めることが何よりの願いだ。

「定年後も週2~3日でいいから働きたいシニア、フルタイムを雇う余裕はなくてもプロフェッショナル人材を求めている中小企業、どちらも出会いの機会がなくて困っています。しかしシニア経理財務なら、その機会を提供できるのです」

社会的ニーズの大きさを、富澤氏も日々実感しているところだ。昨年7月、TBSテレビ『がっちりマンデー!!』の1コーナーで、シニア経理財務が取り上げられた。

「いまだに『あの放送を見ました』という人から問い合わせがあります。『定年後の再就職が決まらなくて困っていたとき、シニア経理財務のことを思い出しました』『急に経理担当が辞めたから困っている、来週からでも来てほしい』。経理機能はあらゆる企業になくてはならないもの、それだけにお客さまの悩みは切実なんです」

その証拠に、北は北海道、南は福岡まで、日本全国から相談が寄せられている。働きたいシニア人材、雇いたい中小企業は全国にたくさんあるのだ。

「まだ拠点は東京の千代田区だけなんですと申し上げると、いつ支店ができる、早くつくってと言われて、そのたびに謝っています。来年には大阪に進出するつもりです」

株式会社シニア経理財務
代表者:富澤 一利氏 設立:2013年4月
URL:http://senior-keiri.jp/ スタッフ数:3名(登録している人材は約100名)
事業内容:・60歳以上で経理財務の経験あるシニア人材を中小企業に派遣

当記事の内容は 2016/10/26 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。