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築45年の元美容院物件をホテルとして再生!
東京の下町・赤羽を、世界から注目される街へ

執筆者:松岡 佑季  編集:菊池 徳行(ハイキックス)
更新日:2016年10月11日

女性1人でも、外国人でも安心できる、
ありそうでなかった新ホテルが誕生 展開している事業の内容・特徴

20161011-1外国人旅行者急増の影響で、国内の観光地を中心に「ホテル難民」が増えている。やっとの思いで空室を見つけても、予算オーバーだったという経験をした方も少なくないだろう。そんな日本のホテル業界に一石を投じるのが、株式会社The Boundaryという2014年設立のベンチャー企業だ。

同社が運営する「ICHINICHI(イチニチ)」は、東京の下町・赤羽にある築45年の美容院をリノベーションしたホテルであり、ホステルである。このホテルは、女性1人でも、海外から来日した旅行者でも、安心でリーズナブルに宿泊できることが口コミで伝わって人気に火がつき、すでに多くの国内外のユーザーから高い評価を得ている。

同ホテルは5階建で、元美容院らしくモダンな造り。男女別ドミトリーもあり、休日前の宿泊価格でも1人5000円程と、そのリーズナブルさもうれしいポイントだ。また、スタッフは英語、中国語、スペイン語に長けており、外国人客もウェルカム。1階に併設した、日本人が誇れる文化である「茶」をテーマにしたカフェバー「THE315」は、宿泊客以外も利用することができる。現在、ホテルマネージャーやBAR責任者など、スタッフ6名体制で運営している。

同社の代表を務める吉柴宏美氏は、事業経営以上に赤羽の再生にかける思いが強い。「赤羽は、東京の中心街からは外れたエリアで、トレンド感がある訳でもないし、観光名所でもありません。ただ、交通至便なので宿泊場所としては申し分なく、一歩道を逸れると戦後昭和の風情が広がり散歩しているだけでも面白い街なのです。日本のリアルがよくわかるので、海外の人にもっとたくさん来てほしい場所だと思っています」。

赤羽は、吉柴氏の出身地でもある。周辺の商店街がシャッターストリートになって行く中で、築45年の美容院を、昭和の時代にあったような、人々が集まるコミュニティの場として再活用できないかと考えた。そしてその思いが、ホテルというかたちに結実したのである。

現在、宿泊者の国別シェアは日本人の6に対して、外国人が4となっている。ネットの口コミが日に日に増え、予約の連絡も急増中だ。ちなみに楽天トラベルでは、オープンからわずか半年ほどで4.43(2016年8月時点)という高い評価を得、東京北部エリアのホテルの中では、ベスト3にランクインしている。

デザイナーが、未経験だったホテル経営の道へ。
シャッター商店街をコミュニティの場に再生! ビジネスアイディア発想のきっかけ

20161011-2The Boundaryを起業した吉柴氏は、赤羽で生まれ育った。そして日本の美大卒業後、イギリスのCentral Saint Martins College of Art and Designに留学。帰国後、デザイン会社でWebや広告の制作、飲食企業のブランディングなどに従事し、その後、Amazon Japan KKにてECのUI/ビジュアル面を担当している。

美大出身であり、デザインやブランディング業務に携わっていた吉柴氏がどうしてホテル経営を始めたのか? 最初のきっかけは、「赤羽にある祖母が経営していた築45年の美容院の空き家をどうにかしたい」という思いだった。また、駅前の一角を除いて、同エリアはシャッター商店街になっており、地域コミュニティも薄れてきている。この2つを解決できるにはどうすればいいか、数年間考え続けたという。

「最初からホテル経営に決めていた訳ではありません。いずれにせよ、赤羽に昔のような活気を取り戻すため、祖母の美容院がそうであったように、街のコミュニティをつくりたかったのです」

アパート経営や1棟貸しなど、建物自体の再生をするには、いくつか手段はあった。ただ、人とつながらないことには「コミュニティ」の復活はままならない。そして、さまざまな事業プランを検討し、シミュレーションした中で、最も採算が取れそうで、かつ地域貢献できるのがホテル経営だという結論に至る。

しかし、その時点で、吉柴氏はホテル業界未経験。素人のままでホテル経営を軌道に乗せられるほど甘い世界ではないと考え、イメージに近かった高級感のあるカプセルホテル「ファーストキャビン羽田・築地店」で半年間武者修行をさせてもらったという。

その半年間でさまざまな運営ノウハウを学び、そこで出会った1名の同僚と大学時代の友人をスタートメンバーとし、2014年に株式会社The Boundaryを設立。「ホテルは地元密着が基本です。建物の施工会社から、カフェバーでのメニュー構成まで、できるだけ地元商店と絡んでいます」と吉柴氏。そんな地元有志とのコラボレーションを経て、2015年末に「ICHINICHI」はオープンしたのだ。

北区との連携を通じた情報発信で、
赤羽を世界中が注目する下町に! 将来の展望

「ICHINICHI」がオープンしてから、まだ半年ほどしか経っていない。吉柴氏の目指すホテル経営の理念である「地域密着型ホテルとコミュニティの再生」のため、稼働率も上げなくてはならないし、続々と競合がオープンする中で優位性を確立していかなくてはならない。

その一環として、北区の観光課と連携して赤羽ツアーを企画するなど、独特の庶民的風景が残る赤羽の観光資源を世界に発信していきたいと考えている。さらには、「ICHINICHI」とはコンセプトを変えたスタイルのホテルもしくはホステルとして、2号店、3号店を赤羽エリアを中心に展開していきたいという。

「世界にはユニークな宿泊施設がたくさんありますが、日本ではまだまだ画一的なホテルが多く、ビジネス、カプセル、旅館、高級ホテルといった枠組みからは外れることがないように感じています。私たちはドミトリー、個室、ペントハウスと、3つのタイプの客室を用意することで、富裕層からバックパッカーまで、普段は混じることのない客層に同時にアピールしていきます」

赤羽でのホテル経営をとおして、東京下町の再活性化とコミュニティの復活を目指す吉柴氏。海外からも国内からも注目され、今後どのような変化を遂げるのかぜひ注目していきたい。ぜひとも成功してほしいベンチャーである。

株式会社The Boundary
代表者:吉柴 宏美氏 設立:2014年11月
URL:http://ichinichi.tokyo/index.jp.html スタッフ数:6名
事業内容:・ホテル経営

当記事の内容は 2016/10/11 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

この記事の執筆者

取材・文/松岡 佑季  編集/菊池 徳行(ハイキックス)

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