設計・施工会社と施主に最適なマッチングを!
開始1年で120社が愛用したWebサービス

IT・インターネット

執筆者: 森 晶  編集:菊池 徳行(ハイキックス)

建設業界未経験者たちが運営する
新たなマッチングサービスが人気 展開している事業の内容・特徴

20161006-128歳(2016年8月現在)の若き社長が、国内市場規模約48兆円の巨大マーケットである建設市場をフィールドに、ITを活用した斬新なビジネスモデルで果敢な挑戦を続けている。それが、シェルフィー株式会社の代表を務める呂俊輝氏だ。

2014年7月にリリースされた同社が運営する「SHELFY」は、開店・改装を考える店舗オーナーと、施工会社・内装デザイン会社の「最適なマッチング」「価格の適正化」を実現するWebサービスである。

店舗オープンやオフィス改装を考えたとき、数ある設計・施工会社の中から自分たちの希望を叶えてくれる業者を探すことは容易ではない。しかも、それがデザインにこだわりを持ちつつ、予算の範囲内で仕上げてくれる優良業者となるとなおさらだ。

「独自に構築したWebシステムを活用することで、設計・施工会社とクライアント双方にとって満足度の高いマッチングを提供するプラットフォーム、それがSHELFYです。また、単にマッチングしてもらって終わるのではなく、業者選定や見積もり、納品(完成)まで一連の工程にかかわる流れとクオリティコントロールを、QM(クオリティ・マネジメント)と呼ぶ当社専任のコンサルタントがていねいにサポートします」

特筆すべきは、SHELFYはどんな設計・施工会社、どんなクライアントでも自由に使えるサービスではないということ。工事を依頼したいクライアント側に関しては、そのオーダー内容が価格と見合っているか、スケジュールには無理がないかといったことを案件ごとに詳細をヒアリングする。

一方、工事の受注元となる設計・施工会社側に関しては、本当にクオリティを担保できる会社なのか、強みは何なのかなど、設計・施工実績などを徹底して調査。そうやって双方を同社の担当者が直接ヒアリングし、独自の厳正な基準をクリアした発注側・受注側だけがSHELFYを活用することができるのだ。

結果、設計・施工会社の登録審査通過率は7%(2016年時点の登録社数900社)、また設計・施工会社にも良質な仕事を紹介するため、クライアントの問い合わせにも基準を設け、65%の受注実績といった狭き門に。しかし、これらの厳しさが信頼の証になり、多くの設計・施工会社、クライアントに愛用されている。ちなみに、利用料金に関しては、発注会社は無料。登録設計・施工会社が同社に支払う毎月の登録料15万円が同社の主な収益源となっている。

既得権益がはびこる巨大市場で勝負!
必ず改善すべき課題があると確信 ビジネスアイディア発想のきっかけ

20161006-2「どうせやるなら、できるだけ大きな市場で起業し、たくさんの人にサービスを使ってもらいたかった。また、参入障壁が高い市場にこそ、大きな課題があるはずだと考え、国内市場規模2位の建築業界を狙うことにしました」

起業前、ニュースで流れていたリオ・オリンピックの建設価格が倍以上に跳ね上がった問題を目の当たりにし、どうしてそんなことが起こるのか考えたという。そして、建築業界では目の見えないところで行われている不正や、何らかのミスマッチによって問題が大きくなっている――ここを改善すれば勝機に近づけそうだと結論。

「そういった経緯で考案したのが、SHELFYのマッチングサービスです。ITが得意とするマッチングで不正やミスマッチを可視化できれば、業界の健全化にも貢献できる。資本金は総額で125万円。そのうちSHELFYのサイト開発費用にかけたのは30万円でした」

そして、呂氏は「建築業界未経験者で、イノベーションを起こしたいと思っている若者」を集めることにした。なぜなら、下手に業界の常識を知っていて、そこにとらわれていては、ITが得意とするイノベーションは起こせないと考えたのだ。

スタートの後の戦略として、登録してくれる設計・施工会社を増やすことに注力する期間と、設計・施工を依頼したいクライアントを集める期間とを交互に実行していった。毎日のように飛び込み営業をしていた創業から3カ月目のある日、ついに転機が訪れる。たまたま飛び込みをかけた東証一部上場の某飲食店チェーンから、「地方に新たな店舗を出店したいが、ぴったりの設計・施工会社が見つからず困っている」という話が聞き出せたのだ。

そこで、すぐにSHELFYに登録している設計・施工会社データベースを活用し、ピッタリの業者をセレクトして提案。結果、無事に設計・施工に着手し、納品することができた。この初の大型案件の成功を皮切りに、「あの企業の設計・施工を手掛けた会社」という実績が業界内に広がり、以降、いっきにクライアントからの問い合わせが急増していく。

そして創業1年後にはクライアント数は120社に膨れ上がった。3年目に入ったばかりの現在、呂氏は、さらに質のよいサービスを提供するために、マッチング数の向上を第一優先事項として走り出している。

目指すは、建築業界に必要不可欠なIT企業!
上場を視野に日々の改善と努力を継続 将来の展望

20161006-3「SHELFY のITテクノロジーは、便利で効率的ですが、業界のメインではありません。あくまでも空間や建物をつくる過程を、より可視化して効率的かつ便利にするための、サブ的な道具に過ぎないと思っています」

建設業界は、長い歴史・伝統があるゆえに、古くからの慣習が根強く残っており、ITとの融合が進んでいる業界とはいいがたい。しかし、ITが空間や建物をつくれるわけではなく、物づくりには必ず人の意図や感性が介在することを理解しなければならない。呂氏は、「新しい物(IT)を受け入れてもらうための最も重要な要素は、業界へのリスペクトです」と断言する。

「今まで、人の手だけ・感性だけに頼りすぎた弊害もあったと思います。例えば、過去のオリンピックにおける新国立競技場の建設費にしても、当初の総工費に比べ何倍もの費用がかかってしまったという話があります。でも、ビジネスの観点からしてみれば、とんでもなくおかしな話ですよね。なぜこのようなミスが起こったのか、どこで認識のズレが発生したのかという今まで曖昧にされていた部分を、ITによって可視化する。そうすることで、よい仕事をした設計・施工業者が、健全に正しく評価されて受注金額を上げることができ、そうでない業者は市場原理により淘汰されていくようになる。この繰り返しによって、建築業界を健全な業界に導いていきたいのです」

「今後も、業界と寄り添いながら、どのように変化していけば、よりよい関係が築けるか考えながら動いていきたい」と呂氏。まだ整えられていない問題やニーズをしっかり探りながら、それらを改善するための新たなシステムやサービスを開発、提供していく予定だ。 3年後の上場を目標に、巨大市場を舞台に勝負する若き雄志たちの挑戦は続く。

シェルフィー株式会社
代表者:呂俊輝(ロイ・シュンキ)氏 設立:2014年6月
URL:https://shelfy.jp/ スタッフ数:20名
事業内容:・専任コンサルタントがナビゲートしてくれる、クライアントと設計・施工業者双方のマッチングサービス

当記事の内容は 2016/10/06 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。