最上級の “メインディッシュ”はサラダ。
大満足&ヘルシーな飲食業の新境地に挑む

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 北川 麻利奈  編集:菊池 徳行(ハイキックス)

アメリカの都市部で根強い人気!
チョップドサラダを日本に紹介
展開している事業の内容・特徴

20160705-1野菜がたっぷり食べられるサラダ。これまで多くの日本人は、サイドディッシュとしてサラダをイメージし、食してきた。野菜は栄養価が高く、炭水化物・たんぱく質・脂質の3大栄養素をうまく体内に循環させるために不可欠なビタミン・ミネラルを豊富に含んでいる。そんな野菜を、日頃から意識して摂取し、健康的なライフスタイルを送りたいと考えている人たちに大人気となっているショップが日本に誕生した。それが今回紹介する「クリスプ・サラダワークス」だ。

クリスプ・サラダワークスは、2014年12月、麻布十番に1号店をオープンさせて以降、コアなファンを集め続ける「チョップドサラダ」の専門店である。チョップドサラダとは、健康志向の強いニューヨーカーたちの間でブレイクした、食材を小さくカットしたボリューム満点のサラダのこと。一度にいろんな種類の野菜が楽しめ、かつ、たくさんの種類を摂取できるのが最大の魅力。

しかも、小さくカットされた食材すべてにドレッシングがよく絡まってとても美味しい。ダイエット目的や健康志向の人のみならず、サラダが好き、たくさん野菜を食べたい根っからの野菜好きに対して、同店がこだわっているのは「美味しくて満足できるサラダを、一つひとつ手づくりで提供する」こと。そのコンセプトをかたちにしたのが、「カスタムサラダ」というスタイルだ。

まず、ロメインレタスなどベースとなる野菜を選ぶ。そして約30種類もの野菜や豆、卵やチキン、ナッツ、ドライフルーツ、好みのドレッシングをセレクトする。トッピングできるハムは肉をブロックで仕入れ、店で熟成させ焼き上げている。また、ドレッシングに使用するマヨネーズは生卵から毎日つくるというこだわりようだ。ちなみに同店のサラダの価格は940円から。

そうやって、こだわり抜いた厳選食材を使い、自由度高く自分好みに仕上げられたサラダが美味しくないわけがない。オーダー後、ボウルで供されるサラダのボリュームは重さにして400~500g。ずっしりと重く、小きく切られた新鮮野菜のサラダをスプーンでいただく時間は最高だ。20~30代の女性のファンが顧客の中心だが、意外にも男性にも人気を博しており、1人でふらりと訪れるビジネスエグゼクティブも多いという。

ニッチな層に深くアプローチし、
既存顧客を圧倒的なファンに変える!
ビジネスアイディア発想のきっかけ

20160705-2クリスプ・サラダワークスを運営する株式会社クリスプ代表の宮野浩史氏は、かつてアメリカで暮らしていた。この事業を立ち上げる前にはアメリカ現地で飲食店を営んでおり、その店は渡米してきた日本人が懐かしくて美味しいと思える食事を提供することがコンセプトだったという。

帰国後はその真逆で、日本に滞在する外国人が懐かしさを感じられ美味しく食べられるものを提供できる飲食店をやりたいと考えた。アメリカで食べていて美味しかったもので、日本にないものは何かと考え、行き着いたのがチョップドサラダだった。

「パイは小さいかもしれないが、サラダをこよなく愛する人たちは一定数必ずいるはずです。その人たちにとって愛してやまない店になれればいい。そうすれば、繰り返し来店してもらえるだけでなく、1日に何度も足を運んでもらえるのでないかと」

また、宮野氏は来店する顧客の心理にもアプローチしている。サラダはプロのシェフがつくるクリエイティブな料理ではない。どこでも手に入る食材で、母がつくってくれるような愛情と手間暇がかけたサラダを、仕事帰りに一人で気兼ねなくふらっと立ち寄れる店で食べられる。このスタイルを喜んでくれる人が都会には多いのではないか――。

極限まで顧客満足度を高め、 “常連”のレベルを超えた頻度でヘビーユースしてくれるファンを、一人でも多くつくりたい。そう考えた宮野氏は、宣伝のための広告費やディスカウントに費用を割くのではなく、クリスプ・サラダワークスを愛してくれている目の前の顧客に店をもっと好きになってもらうための施策を立ち上げた。

それが同店オリジナルの会員制度(クリスプコネクションカード)だ。そのカードには顧客の名前が刻印されており、来店回数によってグレードが4段階に変化する。割引やポイントがたまるサービスではなく、来店回数が記録され、顧客が過去にカスタマイズした食材や選んだドレッシングが記録される。

足繁く来店してくれるファンには、友人や家族のようにあたたかく接したい、関係を大切にしたい。そういった思いを込めて、会員カードに書かれた顧客を名前でお呼びし、まるで毎日食卓を共にしている家族のように、好き嫌いや細かい要望をスタッフが自主的に把握する。そうやってスタッフのサービスレベルが一流レストランのような高いものになれば、ファンにとってはここがさらに特別な店になる。

サラダを供するカジュアルな飲食店が、ここまでの高いレベルのサービスをスタッフに求めているということだ。もちろん、先述したように商品、食材ひとつにもかなりこだわって顧客満足度を追求している。宮野氏の考える、“血の通った、目に見えない愛ある施策”が熱狂的なファンを増やすカギとなり、今では毎日のように来店する顧客がすでに100人以上存在しており、まさに、“常連”のレベルを超えた熱狂的なファンが今もなお増え続けている。

美味しいものを手軽に食べられること、
その先にある新たな価値を求めて
将来の展望

20160705-3「店を愛してもらうこと。お客さまにとってかけがえのない店にすること。リピーターではなく本物のファンを増やしていきたいのです」。その願いをぶらさず店舗運営を継続し、現在、クリスプ・サラダワークスは、都内に3店舗(麻布十番、六本木、恵比寿)を展開するまでに成長している。

多忙なビジネスパーソンにとっては、栄養価が高くボリューム感たっぷりのサラダを短時間で、また気軽にテイクアウトして食せるのも魅力のひとつ。独自の会員制度の効果もあり、宮野氏の予想を超える勢いで、今現在もクリスプ・サラダワークスのファンは増加し続けており、今後も新規出店を計画している。

顧客が自発的に宣伝し、口コミによって新規顧客が増加し続けるクリスプ・サラダワークス。同店のいわゆる“アンバサダー”たちが、知人などに紹介がてら来店してくれると、新規顧客に対してではなく、ファンであるアンバサダーに対してサービスをお返しする。スタッフ全員あたたかい接客で対応し、店の友人ともいえる既存顧客にサラダをサービスするなど、感謝の気持ちを表現するというわけだ。

宮野氏は今後、サラダだけにこだわらず、たくさんのファンが生まれる新しい形態の飲食店を開発していきたいという。昼も夜も美味しいものをお腹いっぱい食べることで体調がよくなり、心さえも満たされる、さらに人間味ある接客サービスを受けられることで、自分自身が自然とやさしくなれるような場所。多くの人が魅了され、熱狂的なファンになってくれる飲食店。東京で暮らす都会人たちに、“健康的かつ新たな食のスタイル”を届けてくれた宮野氏。彼が目論む新たな挑戦に、これからも注目していきたい。

株式会社クリスプ
代表者:宮野 浩史氏 設立:2014年7月
URL:http://www.crisp.co.jp 事業内容:チョップドサラダの販売

当記事の内容は 2016/07/05 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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