日本初の3Dプリントものづくりマーケット「rinkak(リンカク)」がついにOPEN。

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執筆者: ドリームゲート事務局

3Dデータをアップロードして商品を出品。注文が入ると製造・発送をする、まったく新しいマーケットプレイスがついに登場!
展開している事業内容・特徴

rinkak1 最近、3Dプリンターというキーワードを目にすることが多い。業務用だと数百万円から数千万円とまだまだ高額だが、家庭用であれば10万円台の3Dプリンターが家電量販店で売られている。また、3Dプリントの代行を行う会社も急増中だ。しかし、この分野では米国がかなり先行しており、3D systems社、Stratasys(ストラタシス)社、XONE(エクスワン)社が売上高でみるとトップスリーのようだ。

そのとおり、国内ではまだ3Dプリンターやそこから生まれた作品を見たことがない人のほうが多いと思う。そんな3Dプリンター後進国の我が国に、とてもユニークな取り組みをしているサービスが誕生した。それが今回ご紹介する「rinkak(リンカク)」だ。

「rinkak 」は、2013年6月からクローズドベータ版として展開されており、2013年9月10日、ついに正式版がリリース。誰でも利用できるようになった。

株式会社カブクが運営する「rinkak」は、3Dデータを仲介したマーケットプレイスだ。簡単にいうと、買い手はサイトに並べられた商品を見て注文するが、その商品は出品者が登録した3Dデータ。実際の「モノ」はこの世にまだ存在していない。注文を受けてから製造し、発送されるというのが、このマーケットプレイスの一番のポイント。

この仕組みは大きな可能性を秘めている。3Dデータはデジタルなので、理論的には(サーバの容量の許す限り)無制限に商品が並べられる。通常の物販であれば、色やサイズのバリエーションは限られてくるが、「rinkak」の仕組みならその成約がない。形そのものから細かな変化をオーダーできるため、無数の製品が提供できるわけだ。

といっても、緻密な部品と複雑な製造工程が必要な電子機器などは難しい。ただ、例えば食器やアクセサリーなどであれば色、形、素材などを自由に選べる製品として並べられるだろう。

そして、最大のメリットはまだ「製造」されていないこと。つまり在庫リスクがない。これはECとしては革命的なポイントだ。

現状、完成品の素材は、プラスチック、ラバー、陶器、金属、フルカラー石膏から選ぶことができる。登録された商品の登録手数料および販売手数料が「rinkak」の収益源だ。まだスタートしたばかりなのでどれだけ利用されるかは未知数だが、無限に近い商品数を展開できるマーケットプレイスというだけでワクワクしてくる。

もともとは、大学院で人工知能を研究。博報堂でクリエイターをしていたが、デジタル製造技術に無限の可能性を感じて、起業
ビジネスアイデア発想のきっかけ

rinkak2rinkak株式会社カブクは、2013年1月に設立されたスタートアップ。創業者の稲田雅彦氏は、大学院で人工知能の研究をしていたが、当時、自動で学習し作曲してくれる音楽ソフトや3Dインターフェースを用いた作品を発表するなど、メディアアート方面でも積極的に活動していた。

そして、大学院を修了した2009年に博報堂に入社。会社で手がけたプロジェクトは、カンヌ、アドフェスト、ロンドン広告祭、TIAAなどで、数々の受賞歴を誇る。

スマートフォンアプリを個人で作れるようになったことで、ソフトウェアの民主化は進んだ。しかし、ハードウェアの世界ではまだそうはなっていない。クラウドファンディングによってようやくハードの世界にも民主化が起こりつつある、その中で、自らもデジタル製造技術を用いて、ハードの民主化を進めたい、そう思い起業を志したという。

 共同創業者となる足立昌彦氏との出会いも稲田氏の背中を押した。足立氏も同じく学生時代に人工知能の研究をしており、日立製作所の研究所に入社。その後、サイバーエージェント・アメリカに移り、エンジニアとして活躍していた人物。Androidが立ち上がった時に、まだ使いやすい日本語入力ソフトがなかったため「simeji」というソフトを開発。中国最大手の検索エンジン会社であるバイドゥに買収され、今や500万ダウンロード超える大ヒットとなっている。彼はグーグルの認めるエキスパートの一人で、スーパーエンジニアの1人でもある。

ユザワヤや東急ハンズなどには、自分でアクセサリーをつくるための商品が並べられた大きなスペースがあり、そうした売り場には若い女の子から高齢の男性まで、たくさんの人が集まっている。インターネット革命に始まり、情報に関する技術は急速に発展してきたが、情報というビットからモノであるアトムという現物への回帰がトレンドとしてある。そこにデジタルの製造技術を組み合わせれば、新しい製造業をつくることができる。大きなチャンスがあると稲田氏は考えた。

AppleのApp StoreやGoogleのGoogle Playのおかげで、個人が開発したアプリが世界中で売れるようなり、プログラマーの中からスーパースターが現れ始めた。同様に、ものづくりの世界でも同じような生態系を構築できれば、スーパースターが生まれるはずなのだ。

かつてITエンジニアといえば、大きなシステム開発会社の中で仕事をするのが一般的だった。同様にCGアニメーターやメーカーで働いているプロダクトデザイナーなど、3Dデータを扱うクリエイターが企業の雇用に頼らずとも、独立して活躍できる時代がくる。それが稲田氏の見据える「ものづくりの民主化」だ。

実際、仕事で3D CGソフトや3D CADを使っている人は相当数存在する。そうした人たちが直接、自由に、手軽に「ものづくり」に参加するようなプラットフォームが生まれれば、確かに“メーカー”というこれまでの概念は大きく変わっていくだろう。

前代未聞の領域に挑戦。いかにして文化になれるか?
将来への展望

 稲田氏への取材の最後にこれからの展望を伺うと、「いかにして文化になれるかが大事」だそうだ。

多くの場合、新サービスが実用的に使われる前段階で、アーリーアダプターと呼ばれる感度の高い層から火がついて、その後にマスに展開していく。確かに、「rinkak」もそうなるまでにはまだまだ時間がかかるだろう。しかし、数十年先の話ではなく、数年内には当たり前になっている可能性もある。

 「前代未聞の領域なので、手探りでやっていくしかない。いろんな人が首を突っ込んで、雑多になってやっていくほうが面白いと思う。そして、みんな一緒に大きな山を目指す。どうやってその大きな山を登るかというのが、我々にとって大きなチャレンジでもある。僕らだけじゃなくてみんなの力で登っていきたい」(稲田氏)。

 おおよそ、革命的といわれる現象は、最初はよくわからない。「iPhone」を初めて触った時、「これはなんなんだ?」と思った方が多いだろう。しかし、今やiPhoneやスマトーフォンは生活に欠かせない道具として定着した。それもわずか数年間での出来事だ。

 「ものづくり革命」や3Dプリンターも、今、それらと近い感じがする。自分でつくったコップで水を飲める、それも簡単に。この現実、誰だって早く体験してみたいと思うはずだ。

株式会社カブク
代表者:稲田 雅彦
設立:2013年1月 URL:http://www.kabuku.co.jp/
http://www.rinkak.com/
事業内容:
3Dプリントものづくりマーケット「rinkak(リンカク)」の運営。インターネット関連サービス、コミュニティ運営、プロダクトデザイン・開発、先端テクノロジーの研究。

当記事の内容は 2013/9/19 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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