開催日:2005年2月11日(建国記念日) 会場:東京国際フォーラム
こ こ近年、起業家との二足のワラジを履いている学生が少しずつ増えてきています。もともとまるで違う世界の住人のように扱われがちだった「学生」と「社会 人」の境も少しずつ変わりつつあるようです。「学生からの起業」というテーマの下、学生時に起業したお3方に来ていただきました。起業に「学生」という肩 書きがどう関わってくるのかお話を伺いたいと思います。 |
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出雲氏 | 皆さん、こんにちは。他のブースの来場者は8割以上が社会人の方だと思いますが、ここは「学生からの起業」というテーマだけあって、皆さん非常に若いです ねー。せっかくですから、あまり堅くならず楽しく進めていきましょう。まず出席者に自己紹介していただきましょう。高島さんからお願いします。 | ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
高島氏 | オイシックス株式会社代表取締役社長の高島宏平です。インターネットを通じて食材を宅配しています。オイシックス自体は一度就職した後につくった会社です が、学生時代につくったコーヘイ株式会社が基になっています。学生からの起業と言いましても、他のお2人とはその点において起業の方法が異なりますので、 その点もコメントに反映させていきたいと思います。 | |
植島氏 | 株式会社ドリームキャリアの植島です。私は大学2年の時に高島さんのオイシックスで約半年間インターンして、3年の時に起業しました。今は、人事コンサルティング会社で理系学生に企業インターンを紹介するなどしています。 | |
片岡氏 | 私は携帯コンテンツを扱うゆめみという株式会社を運営しております、片岡俊行です。私も大学3年の時に、スタッフ全員学生という状態で起業しました。 | |
出雲氏 | 「学生からの起業」と言いましても、背景や起業スタイルは様々ですねー。では、皆さんが起業された経緯をお話しください。 | |
高島氏 | 「昔から自分の会社を作りたいと思っていた」わけではありません。大学院に入り、研究室のパソコンでインターネットに触れた時「なんだか分からないけどこ れは凄そうだ」と思い、もともと大学院の2年間は面白いことをするつもりでしたので、インターネットで何かすることにしました。「株式会社」という形態を 選んだのは「サークルよりカッコイイから」ぐらいのノリでした。 | |
片岡氏 |
僕はもともと物理・数学が得意で理系に進みました。でも、このまま研究に没頭していいのかという疑問から思い切って経済学部に転部したもののやっぱりしっくりこない。それで当時成長分野として注目されていたインターネットに参入することにしました。 検索エンジンで上位にランキングするキーワードを調べてみると、上位4つが、「無料」「アダルト」「チャット」「懸賞」でした。「チャット」は当時まだしっかりしたサイトが存在していなかったので、作ったらうまくいき法人化しました。 |
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植島氏 |
大
学入学直後は物理が大好きで常日頃から専門書を広げていましたが、物理以外にも面白いことはたくさんある、ということにふと気がつきました。そうやって色
々な方とお付き合いを始めたのですが、ある日「ここに行けばパソコンができるよ」と友人に誘われて高島さんの会社を訪れ、そこに魅せられてしまったので
す。 これは面白そうだとお手伝いを始めたらどっぷりはまってしまう。社長としての高島さんのお仕事を近くで見ているうちに、自分も何かやりたいと思い始めました。 |
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出雲氏 | もう少し具体的な動機もお願いします。 |
高島氏 | 僕はもともと仲間と一緒に大騒ぎするのが好きで、学園祭やサークルなんかでも色々やってきました。それがビジネスの分野だから「会社」という形態をとったに過ぎません。まず仲間が初めからいて、それから「何かやろうよ」ということになったわけです。 |
出雲氏 | その仲間達とはどう出会われたのでしょうか? |
高島氏 | 植島さんとの出会いがいい例です。「そこら辺に落ちている」(笑)。何かに打ち込むとリンクして仲間って増えますよね? そうやって増えた友人達と「次は何やろうか?」という循環ができていた気がします。 |
出雲氏 | なるほど。植島さんはどうですか? |
植島氏 | 僕はもともと「人と同じ」と言われるのがイヤで、ビジネス分野でもそれが表れて「起業」という形になったのだと思います。 |
出雲氏 | 人と違うことをするにしても、ビジネス以外の選択肢もあると思いますが? |
植島氏 | 高島さんとの出会いも一つの要因ですが、僕は生活費を自分で稼がないといけませんでした。バイトでも良かったわけですが、お金が手に入っても自分が成長できない。成長しながらお金も稼げるということで、ビジネスを志向するようになったのだと思います。 |
出雲氏 | 片岡さんは? |
片岡氏 | 実は明確な動機が思い浮かびません。お金が欲しいなどの物欲はもちろんありますが、むしろインターネットでのビジネスを見つけてしまったからということにつきます。動機に基づいて始めたと言うより、気づいたら無我夢中になっていた、という感じです。 |
出雲氏 | 片岡さんはどんな学生だったんですか? |
片岡氏 | 「ヘンタイ」と呼ばれてました(笑)。僕、実は高校の時から大学に通っていたんです。将来勉強したい分野を高校3年の時に決め、その講義を受けていました。1年前倒しで授業を受けていたので、大学3年の時には4年までの授業を終えました。 |
出雲氏 | 学生であることのメリットはありましたか? | ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
植島氏 | 社会人として活躍されている色々な方と「学生」ということでお会いしました。利害関係に発展しづらい分気楽に話していただけました。 | |
片岡氏 |
学生ですと「学生なのに会社やってるんだー」って可愛がってもらえますね。 そういった交流会の場ですと、社長が100人いても学生は1人だったりしますから。 |
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植島氏 | そうですよね。あと若ければ若いほど良いかもしれません。18歳の学生起業家なんて聞いたら大抵の人は興味持つと思いますよ。逆に25歳で学生ですなんて言ったら「まだ学生やっているのか」なんて思われるかもしれませんが――。 | |
片岡氏 |
ちょっ
と遠隔地の起業交流会に行った時のことですが、名刺交換をして、「実は、今日泊まるところが無いんです。泊めていただけませんか?」とお願いしたことがあ
ります。これはちょっとした逆転の発想ですよね。通常、仲良くなって泊めてもらうところを、泊めてもらって仲良くなる……実際そういって仲良くなった会社
はいくつかあります。その都度大変いい勉強をさせていただきました。 そんな無茶ができたのも、学生なんだからお金がなくて当たり前だ、なんて居直れたからでしょうね(笑) |
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出雲氏 | では、学生を対象に行った事前アンケートで圧倒的に要望が多かった質問ですが、起業して一番辛かったことはなんでしょうか? 学生だからこそ生じる辛いことに触れていただけるとなおよいです。 | |
高島氏 |
学
生ということとはあまり関係ありませんが、オイシックスの業務フローでは、ネットで注文を受け、配送センターから商品を消費者に送ります。3年前のことで
すが、お付き合いしていた配送センターの倒産情報が入るや否やすぐ別の配送センターを見つけて契約しました。明後日から稼動可能なところを選び、4トント
ラックを4台使って、荷物を運搬しました。 代わりの配送センターはなんとかなりましたが、人までは確保できず、トマトなど野菜を見よう見真似で自分達で梱包しました。ちょうど資金調達している時期 でしたので、昼はベンチャーキャピタルに出向き「順風満帆」な経営をアピール、夜は箱詰め。人を見つけ、資金調達もうまくいき、数ヶ月してようやく落ち着 きました。でも、まあ終わってみれば楽しかったですね。 |
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出雲氏 | そんなに苦労してしまったのに楽しい!? | |
高島氏 | そうですね。通常ですと絶対経験できないことですし(笑)。基本的に選択肢がないわけですよね、やらなかったらお客さんの信頼がなくなるわけです。それなら少しでも楽しんだ方がいいじゃないですか? | |
片岡氏 | 僕も基本的に仕事を楽しんでいるので辛いことはありません。あえて言えば資金調達でしょうか? あと3日で数百万用意しないと危ない、といった状況はあり ました。プラス思考の人間なので、ひょっとしたら「気がついてない」だけかもしれませんが、学生ということで生じたマイナスは特にありません。むしろ周り の方々から大変よくしていただきました。 | |
植島氏 | 事業を拡大した時に従業員が10人くらい一気に増えた時がありました。会社がたくさんの人の人生を背負うようになってきました。中には大企業の内定を蹴ってまで来てくれる人もいます。感慨深い反面、しっかりしなくてはというプレッシャーを感じましたね。 | |
出雲氏 | お仕事自体での苦労は? | |
植島氏 | 細かいところでの苦労は本当にたくさんあります。でも、乗り越えてしまえばそれは既に過去のことで、残るのは結果と自分の成長ですよね。むしろ次にまた早く何かやりたいと思っています。 | |
出雲氏 | み なさんのお話をお伺いして思うのは、とてもプラス思考であるということです。やはり会社を運営されている以上、トラブルの発生は免れません。しかし、そう いった中でも事態にプラス思考で積極的に向き合ったり、「これしか選択肢がないから」と居直ったりすることで、確実に乗り越えています。いざという時に踏 みとどまる意思があれば、学生であれ何であれ事業を成功に導けるのだという印象を受けました。 |
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基調講演:グッドウィル・グループ株式会社 折口雅博氏
永遠のチャレンジャー やるなら世界一を。私の挑戦心を駆り立てるもの。
[株式会社ライブドア 堀江貴文氏]×[全日本柔道連盟女子強化コーチ 古賀稔彦氏]
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