2018年10月22~24日虎ノ門ヒルズで行われた第5回イノベーションリーダーズサミット(ILS2018)のメインイベント、大企業とスタートアップのマッチングプログラム「パワーマッチング」において、大企業から人気の高いスタートアップを経営する30代までの経営者をご紹介します。

AI活用のプロダクトで事務作業を効率化!
やりたい仕事に集中できる世界をつくる

起業家インタビュー

執筆者: 本多 小百合 編集:菊池 徳行(ハイキックス)

高精度な文書読み取りエンジンで、
ホワイトカラーをデスクワークから解放

事業や製品・サービスの紹介


今、人工知能(AI)を使って業務効率化を目指す企業が、こぞって注目するプロダクトがある。

2017年春に、株式会社シナモンがリリースした文書読み取りエンジン「Flax Scanner」だ。AIを使い、契約書や申請書などの書類から自動で必要情報を抽出、業務システムに入力してくれる。

商品誕生のきっかけとなったのは、同社が創業間もない頃に取り組んでいたAIコンサルティング事業だ。いくつかのプロジェクトのなかで、人材紹介会社から受託したシステムがあった。それは、登録者の職務経歴書から氏名や卒業校、前職のポジションなどの情報を抽出し、新たなフォーマットに編集する、というもの。

職務経歴書の読込エンジンはオーダーメイドでシステムをつくったが、シナモン代表の平野氏は、他の多くの企業も同じようにビジネス文書に関わるさまざまなニーズを持っているのではないかと考えた。いくつかの企業に話をしてみると、やはり関心は高く、手応えを感じた平野氏は製品化に着手。AI文書読み取りエンジン「Flax Scanner」が誕生した。

すでに、人材紹介会社で成果を出しており、読み取り精度の高さが実証されていた「Flax Scanner」は、リリース直後から大きな反響を呼んだ。現在、保険会社や銀行といった金融機関を中心に、約30社が顧客になっているという。

一般的な書類の大半を占める
非定型フォーマットへの対応が強み

対象市場と優位性

「Flax Scanner」を利用する企業が、高く評価するのは、非定型フォーマットでも読み取れる点だ。

世の中に流通している書類はたいてい、フォーマットが統一されていない。例えば、請求書を思い浮かべてみてほしい。書いてある内容はほぼ同じでも、A社とB社では情報の書かれている位置が異なる。そこで、レイアウト分析とディープラーニングを組み合わせることにより、どんなフォーマットにも対応する文書読み取りエンジンを開発した。

非定型フォーマットに対応したプロダクトはまだ珍しく、顧客企業からは喜ばれているという。このほか手書き文字にも対応するなど、「Flax Scanner」は現実に扱われている書類の実態に即しており、ビジネスシーンでの利用価値が非常に高い。導入前後、平均で書類仕事の30%を削減できるという。同製品を利用している保険会社や銀行では、ミスが許されないため、これまで一つの書類を3名でチェックする体制をとっていた。このうち1名の作業を「Flax Scanner」が代替しているそうだ。

書類仕事に忙殺されているのは金融業界ばかりではないだろう。今後は他の業界での採用も増えるに違いない。

好きな仕事ができる幸せを分かち合うために
AIでできることを増やしたい

事業にかける思い

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AIで人の仕事を置き換えることを“脅威”と捉える人もいる。だが、シナモンが目指すのはもっとポジティブな世界だ。AI企業らしからぬ、かわいらしい社名をつけたのも、社員が楽しく働くイメージやAIでつくりたい豊かな世界のイメージを表現したかったから。

「私たちはホワイトカラーの生産性向上をビジョンに掲げており、最終的には世界中からすべての面倒な仕事をなくすことを目指している」と同社CEOの平野未来氏。

「私は仕事が好きだけれど、仕事のなかには好きなことと嫌いなことがある。もし苦手な仕事をAIに任せて好きな仕事だけができたら幸せだろうし、すべての人がそんな働き方ができたらスゴい。そんな世界の実現が今見ている夢」と語る。

同社では、2020年までにAIエンジニアを500人まで増やす構想があるという。これもAIでできることの幅と可能性を広げるためだ。世界トップクラスのAIエンジニア集団を目指し、世の中の働き方を劇的に変えていくシナモン。

文書読み取りに続き、ビジネスでの使用に耐えうる音声認識システムにもチャレンジしている。同社が見据える未来には、誰もがワクワクする仕事に没頭できる豊かな世界がある。

株式会社シナモン
代表者:平野 未来 氏 設立:2016年
URL:http://cinnamon.is/ スタッフ数:約100名
事業内容:
機械学習やディープラーニングを活用した人工知能に関連するプロダクトの販売、コンサルティング開発
これまでの資金調達額(出資額)と主な投資会社名:
約12億円、SBIインベストメント、サイバーエージェントベンチャーズほか。
ILS2017 大手企業との商談数:
9社

当記事の内容は 2018/9/11 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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