2017年10月23~25日虎ノ門ヒルズで行われた第5回イノベーションリーダーズサミット(ILS2017)のメインイベント、大企業とスタートアップのマッチングプログラム「パワーマッチング」において、大企業から人気のスタートアップ「ILSTOP100」をご紹介します。

ドライバー&配車担当者不足を解決!
AI配車ソリューション「TOMAS」

企業紹介

執筆者: 本多 小百合 編集:菊池 徳行(ハイキックス)

複雑過ぎるスケジューリングをAIで自動最適化!
人手不足で悩む運送業界を救う

事業や製品・サービスの紹介

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運送業界では今、ドライバー不足の問題に加え、もう一つの人的課題を抱えている。それが配車担当者の急激な高齢化に伴う後継者不足だ。彼ら配車担当者は、トラックの日々の配送スケジュールを決める大事な仕事を担っている。

配送センターから個人宅へ荷物を届けるBtoCは配送ルートもシンプルだが、企業から企業への物流を支えるBtoBでは集荷場所も配送先も配送指定時間もバラバラで、配送経路は非常に複雑だ。また、荷物や配送先によってトラックの種類を変える必要があるなど、機械的にスケジュールを組むことは難しい。その複雑さは、例えば100台のトラックの配車に1日がかりで張り付く配車担当者が10人は必要になるほど。

そんな難問に対して、ITによる業務効率化を提案しているのが、株式会社ジェイ・ビー・クラフトだ。同社の「AI配車ソリューションTOMAS」は、遺伝的アルゴリズムを用いて運送会社全体として最適なスケジュールが自動的に組めるシステムで、現在はβ版として提供中。
「TOMAS」を導入すると、例えば、従来10人必要だった配車担当者を最大で2人程度まで減らすことができるという。

配車担当者は、豊富な経験を持つドライバー出身者が務めるのが一般的。ノウハウの大半を暗黙知が占めることから、人材育成が難しく、時間もかかる。そのため、高齢化と人手不足の解消が喫緊の課題であった。そこで、ジェイ・ビー・クラフト代表の荒木智氏は、この課題をシステムで解決できないかと考えた。

「TOMAS」は、ドライバーが携帯するスマホと連携しており、最も効率的な配車をリアルタイムで更新することが可能。人力での作業に比べると、配送効率は平均1~2割、最大3割向上し、結果、ドライバーの人数も抑えられるという。配車担当者不足とドライバー不足、「TOMAS」は、双方の解決に貢献する期待の星なのだ。

効率化はもちろん法令遵守まで加味した
トータルソリューション

対象市場と優位性

「TOMAS」は主に3つのパートから構成されている。最も効率のよいルートを導き出す最適化エンジン、これに基づいて配車をするスケジューラー、そして、ドライバーとの連携を担うスマホ向けエンジンだ。競合も存在するが、ほとんどがBtoCの最適化エンジンの提供のみ。
だが、これだけでは本当の配送業務効率化は実現できない。

効率化が難しいのは、最短ルートを導き出すこと以上に、それを導くための様々な条件が刻々と変わるから。新規案件が生じた時に、どのトラックを回すのが最適なのかを見極めるには、リアルタイムでドライバーの情報を掴むことが重要だ。スマホを通じて最新状況を常にアップデートできるからこそ、大幅な効率化が可能になるのだ。

また経路が最短、時間が最短であればよいというものではない。長距離の配送などでは、厚生労働省の決めた基準を超えないよう、ドライバーの労働時間も考慮する必要がある。効率化からコンプライアンスまで、実務をトータルでサポートできる点も「TOMAS」の強みだ。

ドライバーや配車担当者を多く抱える大手運送企業であればあるほど、システム導入による効率化のインパクトは大きいだろう。すでにβ版を採用し、開発に協力している企業もあり、正式リリース後の反響の大きさが目に浮かぶ。

AIはベテラン配車担当者の仕事を奪わない。
効率的な配送が、企業と社会を改善する

事業にかける思い

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配車担当者が不足しているという課題を知り、原型となったシステムを元に「TOMAS」の開発を始めてから3年。投資資金はもちろん、技術開発に時間を要したし、急激な変化(効率化)には現場の抵抗もあるという。

ベテラン配車担当者には、自分の仕事が機械に奪われるのではないかという不安、そして、長年のキャリアからくる自信、機械に負けない配車ができるという自負があるのだ。

「システムでは、『この顧客は多少の遅れにも寛容だ』といったようなファジーな部分まで加味することはできないが、それを補って余りある価値がある。業務が効率化できて余裕ができれば、その分の時間で新たな仕事を獲得することにつながるはず」(荒木氏)

AIの活用は効率化だけが目的ではない。ましてや、人の仕事を奪うことが目的でもない。技術で、本システムを使う顧客満足の最大化を目指すのが同社の信条だ。

「まずは、一つ目の成功事例をつくり出すこと。そこまでは苦労せざるを得ないと考えている。数字で納得してもらえる段階に早く持っていきたい」(荒木氏)

昨年のILSで発表したのは大手運送企業向けのソリューションだが、「TOMAS」にはピザや寿司などのフードデリバリー向けのソリューションも用意している。たった1人の店長が配車業務にかかりきりになるなど、こちらも小規模ならではの問題があるのだ。

少子高齢化が進み、宅配ビジネスも増加傾向にある。配車担当者が足りず、ドライバーの人件費が上がって苦労している中小企業にも「TOMAS」の自動配車ソリューションは福音をもたらしてくれそうだ。

株式会社ジェイ・ビー・クラフト
代表者:荒木 智 氏 設立:1991年7月
URL:http://www.jbcraft.co.jp/ スタッフ数:40名
事業内容:
企業向けシステムの開発およびコンサルティング事業、パッケージソフトの開発および販売、ASP事業、Webサイトデザイン・構築
これまでの資金調達額(出資額)と主な投資会社名:
自己資金(関係業界からの資金調達を計画中)
ILS2017 大手企業との商談数:
6社

当記事の内容は 2018/7/10 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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