2017年10月23~25日虎ノ門ヒルズで行われた第5回イノベーションリーダーズサミット(ILS2017)のメインイベント、大企業とスタートアップのマッチングプログラム「パワーマッチング」において、大企業から人気のスタートアップ「ILSTOP100」をご紹介します。

認知機能を楽しくチェック&トレーニング。
認知症の早期発見と予防に貢献するシステム

企業紹介

執筆者: 髙橋 光二 編集:菊池 徳行(ハイキックス)

認知機能を12タスクでチェックし、経時変化を確認。
「脳活バランサー CogEvo(コグエボ)」

事業や製品・サービスの紹介

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株式会社トータルブレインケアがリリースしている、「脳活バランサー CogEvo(コグエボ)」。認知機能のチェックとトレーニングが同時にできるシステムだ。「CogEvo」では、認知機能を“見当識”“注意力”“記憶力”“計画力”“空間認識力”の5側面に分類。これらの機能を、実績ある12種類のタスクで確認することにより、個々人の認知機能の特性を把握してくれる。

結果を記録し、経時変化をレーダーチャートで見える化することで、その人の認知機能の推移や同年齢者の平均値との差を一目で把握できるところが大きな特長だ。また、継続して使うことが求められるため、楽しみながら取り組めるよう、子供向け学習教材を開発したプロフェッショナルがUI/UXの監修に関わっている。

主なクライアントは、医療機関や保険薬局、介護施設、スポーツジムなど。各施設のユーザーサービスや待ち時間の有効活用、再受診のきっかけづくり、レクリエーションのツールなどとして導入されている。月額利用料は、パソコン、タブレットなど1デバイスあたり 1万5000円(初期費用として法人登録費用とデバイス登録費用が必要)。「施設で試して自分用のものが欲しくなった」という個人に対しても、2018年5月下旬からサービス提供を予定している。

軽度認知障害のリスクは65歳以上の全員。
国内約3500万人+海外にもアプローチ!

対象市場と優位性

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「CogEvo」の主たる目的は、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)の予防およびトレーニングにある。市場のサイズという点では、MCIのリスクは65歳になれば誰にも訪れるといわれており、対象者は国内だけで3461万人(2016年度)。うち、MCIと診断された高齢者は約400万人にのぼると推計されている(2012年、厚生労働省)。

また、うつ病になった場合にも認知機能は低下するおそれがあるため、“健康経営”を標榜する企業などにおいては、年齢を問わずチェック対象としているケースも少なくない。認知症は、世界共通の問題として、海外でもその対応・対策などへの関心が高まっている。同社では、「CogEvo」の英語版を19年度にリリースする予定だ。

医工連携で開発された類似サービスは存在しているが、医療機器的な“お堅い”性質があり、一般人が楽しんで使えるものではなかった。ゆえに、ユーザビリティにこだわった「CogEvo」が選ばれやすい傾向があるのだ。なお、「CogEvo」は、理化学研究所が運営する「健康脆弱化予知予防コンソーシアム」の認知機能測定ツールとして採用されている。同社は同コンソーシアムの幹事を務めており、そういった信頼性も差別化の一つとなっている。

学会で聞いた、当該製品のニーズ。
「ないなら自ら実現しよう」とシーズを探す

事業にかける思い

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同社の代表取締役社長を務める河越眞介氏は、社会課題の解決をしたいと建築会社の経営から転進。2009年に認知機能を改善するサプリメントの開発・販売を手掛ける、株式会社ドクタープラネッツを設立した。

「その関係で、日本認知症学会など関連学会に通うなか、講演者の『認知機能を自分自身で簡便に測定できる環境が望まれる』との発言にピンときました。ないなら自分が実現させようとリサーチを進め、レデックス社が展開していた高次脳機能障害者向け測定・トレーニングツールを発見。これは、全国のリハビリ施設の40%ほどに導入されている素晴らしい製品です。認知機能の測定やトレーニングにおいては、脳機能障害もMCIも共通しています。レデックス社は子どもの発達障害が主なテーマでしたので、市場を棲み分けることができ、シニア市場向けの権利を譲渡してもらうことができました」

しかし、レデックス社の製品はスタンドアローン型であった。そのままでは、河越氏が想定していた、全ユーザーのデータ分析ができない。自身が考えるサービスを実現にすべく、クラウド化、UI/UXの大幅な改良を加えることにしたのだ。

結果、この構想と取り組みが、内閣府の革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)に入選。これを機に、2015年、新会社トータルブレインケアを設立する。その後も研究開発に注力し、2017年3月に「CogEvo」がローンチされた。

販売戦略に関しては、医療機器としては医薬品・医療機器販売の大手企業に全面的に委託。非医療機器は、特約店経由で行政や企業へ拡販。「極力製品開発に専念し、フォローはインサイドセールスで行う」と河越氏。2018年4月現在の販売実績は約400ID。今年度内に4000ID、2019年度に1万IDの販売を目指している。

株式会社トータルブレインケア
代表者:代表取締役社長 河越 眞介 氏 設立:2015年11月
URL:http://tbcare.jp/ スタッフ数:11名
事業内容:
認知症に関するツールやプログラムの提供及びインターネットサービス事業
これまでの資金調達額(出資額)と主な投資会社名:
みなとキャピタルから5000万円ほか
ILS2017 大手企業との商談数:
10社

当記事の内容は 2018/5/29 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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