3Dプリンターなどのデジタル製造技術で、
「ものづくりの民主化」実現を目指す!

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 馬島 利花 編集:菊池 徳行(ハイキックス)

金型が必要なく、在庫を抱えず、
データだけで“もの”がつくれる時代に

事業や製品・サービスの紹介

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誰もが簡単に“もの”をつくれる時代が来るかもしれない――そんな期待を抱かせてくれる、株式会社カブク。同社は、「ものづくりの民主化へ」をビジョンに掲げ、デジタル製造の分野で主に3つのサービスを展開している。

その1つ目は、オンデマンド製造サービス「Kabuku CONNECT」。同サービスは、設計データをもとに、3Dプリンティングをはじめとした多様な工法により、ものを製造してくれる。受注個数のミニマムを設定せず、1個の要望から引き受ける。こうした多品種少量製造が可能なのは、提携する30カ国400以上の工場ネットワークのおかげだ。提携先工場は産業用3Dプリンターなどの工作機械を所有し、多様な生産方法に対応している。

とはいえ、提携している工場のすべてが最初からデジタル対応していたわけではない。同社は、各工場に工場向け受発注管理クラウドソフトウェア「Kabuku MMS」を無償で提供。これが、2つ目のサービスである。同システムは、自動見積や3Dデータ自動チェック、案件の進行管理など多数の機能を有する。この動きによって、デジタル製造に対応する多くの工場を育て、提携することができたのだ。

さらに、同社はデジタルものづくりマーケットプレイス「Rinkak Marketplace」も展開している。これが、3つ目のサービス。同サービスは、設計データをアップロードするだけで、産業用3Dプリンターにより製造し、Web上にて販売することができるというもの。金型を起こすことも、在庫を抱えることもなく、個人・法人を問わず誰もが簡単にものづくり、販売を始めることができる。今や、アジア最大規模の“ものづくり”マーケットプレイスとなっている。

拡大の一途を辿る“特注品市場”において、
「1個から、短期間で製造できる」を強みに

対象市場と優位性

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近年、製造業のなかでも特注品市場規模は、消費者ニーズの多様化から多品種少量生産の流れで拡大の一途を辿っており、同社は、独自のグローバル工場ネットワークを活かしたマスカスタマイゼーションで、同市場での優位性を発揮。1個から、しかも短期間でのものづくりを可能としているところが最大の強みだ。

現在、自動車業界や電機・機械業界、エンターテインメント業界、広告業界などに数多くの顧客を抱える同社。各社から多様な依頼を受け、多くのプロダクトを生み出している。

例えば、本田技研工業株式会社と共同製作した3Dプリント車両がそれだ。鎌倉の「鳩サブレー」が人気の株式会社豊島屋向けの物流EV(電気自動車)で、「地域宅配サービスがしやすく、宣伝もできる配送車両」という個別ニーズに応えるカスタマイズ車両のボディデザイン・設計・製造を行った。通常納品まで2年ほどの期間を要するこの工程を、わずか3カ月ほどで完了させた。

なお、同社の顧客には大手企業だけでなく、ベンチャー企業も多い。1個から、しかも短期間で製品がつくれるため、費用が劇的に抑えられるのが顧客にとってのメリットだ。また、同社が展開する事業は、顧客だけでなく、提携する工場にとってのメリットも大きい。同社から製造を受託することで、3Dプリンターの稼働率が上がるというわけだ。

東証一部上場企業の連結子会社となり、
“ものづくりの世界”をさらに元気に!

事業にかける思い

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同社代表の稲田雅彦氏は、大学院で人工知能の研究に従事し、大学院修了後は株式会社博報堂に入社。さまざまな業種の新規事業開発に携わった。それらの経験を活かし、2013年、かねてからの想いを叶えるべく起業に踏み切った。

「私が生まれ育った東大阪は、昔からものづくりが盛んでした。しかし近年、工場が次々に減っていった。そこで、ソフトウェア、インターネットの世界での事業開発経験を活かし、よりオープンなエコシステムをつくるという視点で、自分の手でものづくりの世界を元気にしたいという想いを持つようになったのです。『ものづくりの民主化へ』というビジョンのもと、“未来のトヨタ、ホンダ、ソニー、パナソニック”を生み出していくことで、それが実現できるのではないか、と」

設立から約5年、同社の取組みは世の中の注目を集めつつある。例えば、第4次産業革命といわれる潮流のなか、我が国が目指す産業のあり方として経済産業省が掲げるコンセプト、「Connected Industries」。同社は、その実現を支えるベンチャー企業の一つとして邁進している。また、2017年には、東証一部上場の老舗メーカーである双葉電子工業株式会社の連結子会社となり、より市場に大きなインパクトを与える座組で新たな一歩を踏み出している。

「『フレネミー』という言葉をご存じでしょうか。“友だち”と“敵”を足した造語で、シリコンバレーやインターネットの世界では、たとえフレネミーで競合していても、協業できる要素があれば手を組んでいこうという考え方があります。スタートアップ、大企業、アカデミアなど多様なプレイヤーが互いに協力し合うことで、大きな山をよりスピーディーに登ることができるはずです。そして、その先には、活気あふれるものづくりの世界が広がっていくと信じています」

株式会社カブク
代表者:稲田 雅彦 氏 設立:2013年1月
URL:https://www.kabuku.co.jp スタッフ数:約20名
事業内容:
試作・特注品・量産オンデマンド受託製造サービス事業、デジタル工場向け基幹業務クラウドサービス事業、デジタルものづくりマーケットプレイス事業、その他エンタープライズ向けソリューション事業
これまでの資金調達額(出資額)と主な投資会社名:
2014年6月:サイバーエージェント・ベンチャーズ、ニッセイキャピタル、フジ・スタートアップ・ベンチャーズから2億円
2015年11月:グローバル・ブレイン、電通デジタル・ホールディングス、三井住友海上キャピタルから7億5000万円
2017年8月:双葉電子工業から13億5500万円
ILS2017 大手企業との商談数:
5社

当記事の内容は 2018/2/20 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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