2018年10月22~24日虎ノ門ヒルズで行われた第6回イノベーションリーダーズサミット(ILS2018)のメインイベント、大企業とスタートアップのマッチングプログラム「パワーマッチング」において、大企業から人気のスタートアップ「ILSTOP100」をご紹介します。

人間の感情を定量化する
感情認識AI「エモリーダー」

企業紹介

執筆者: 東 雄介 編集:菊池 徳行(ハイキックス)

人間の「表情」から感情を解析。
その精度は93%以上

事業や製品・サービスの紹介

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株式会社エモスタは、感情認識技術の開発と、感情データ分析のサービスを提供するスタートアップだ。感情認識には、声から、テキストからといった様々なアプローチがあるなか、同社が着目したのは「表情」である。

2017年11月に同社が正式リリースしたAIソフト「エモリーダー」は、カメラで人間の表情を読み取り、これを深層学習プログラムによって解析。喜び、悲しみ、驚き、怒り、軽蔑、嫌悪、恐れといった7つの感情がどの程度現れているかをグラフで表示するというもの。

これまで10万人以上のデータを解析しているが、その精度は93%以上。複数人を対象とするときはお互いの共感度を測定することも可能で、これは「場の空気を読む」ことにもつながる。

グラフからは、どこで、どんな感情が現れているのか、直感的に把握できる。また同時に記録されている音声データと合わせることで、どの感情がどんな文脈で現れたのか、細密に理解することが可能だ。

活用領域として期待されているのは、例えば営業改善など。これまで顧客の感情の機微を察するのは、定性的な「人間の勘と経験」の領域とされてきた。しかしエモリーダーを活用することで営業社員と顧客の感情の動きを定量化し、「ここで顧客が喜んでいるので、もっと深掘りするべき」「ここの会話では顧客の心が動いていない」といった知見を得られるという。これまでに、コンサルティングファームやヘルスケアなどのクライアントへ導入が決まっている。

創業者の心理学がバックグラウンド。
テックサイドにはない洞察が強み

対象市場と優位性

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感情認識AIの市場は思いのほか巨大で、表情、音声、テキストなどを含めると2021年には5.4兆円規模にもなるといわれる。そのうち、同社の強みは心理学をバックグラウンドにしていることが挙げられる。同社代表の小川修平氏によると、ファウンダー・CTOのAlexander Krieg氏は、ハワイ大学で心理学をおさめ東京大学や一橋大学などと共同プロジェクトに従事、専門領域であるカウンセリング業務だけでなくプログラミングにも精通している。

感情認識AIを手がける他のスタートアップはテックサイドからのアプローチが多く、心理学からのアプローチは希少だという。テックサイドは「感情=生体反応」として捉え、心拍数や体温などの上昇を計測しようとする傾向にある。だがそのサインが持つ意味は、対象者の性格や置かれているシチュエーションに強く依存するのが現実だ。

例えば、悲しい話のなかで現れた喜びの表情をどのように認識するべきか。こうした感情のデータを正しく解析し、深いインサイトを得るには、150年の歴史を持つ心理学がものをいう。

エモリーダーは今後、表情のみならずテキストからの解析にも乗り出す。もともと表情は音声やテキストに比べて感情抽出が容易と考えられており、すでにテキストと表情とのギャップを探る取り組みを始めているという。こうした知見は、やがては感情認識AIを搭載したロボット、すなわち「空気を読めるロボット」の実現にも貢献できると小川氏は語る。

人が自身の価値観に沿った人生を歩めるよう、
価値観の可視化にも貢献したい

事業にかける思い

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Alexander Krieg氏は、小川氏の義弟にあたる。「彼はカウンセラーとして人の感情変化を読み、深掘りするトレーニングを積んでいるわけですが、それでも半分以上はサインを見逃しているのでは、という問題意識を持っていました。しかも、これまでカウンセリングを記録するにも音声とメモぐらいしかなく、解析も定性的になりがち。これでは客観的な評価は難しい。そこで彼は、エモリーダーの原型を作ることにしたのです」。

小川氏自身は投資銀行の出身。もともと、人間の価値観の可視化に興味があった。「人間は価値観と行動が一致しているほど精神的に安定して幸せになる、というカウンセリングのスタイルがあります。そこで必要になるのは、価値観を言語化してあげること。そしてその価値観を実行に移すためにアシストすることです」。

小川氏は今後、コンサルティングなどを通じて、人々が自身の価値観に沿った人生を歩めるよう支援をしたいと考えている。

「ロボット・AI時代になり、“人間への問い”がディープになってきていると思います。仕事選びにしても、会社への就職や起業、フリーランス、昨今ではユーチューバーと選択肢はさまざま。そこでは、なぜ働くのか、なんのために生きているのかといった深い問いに答えられる価値観を持つ必要があります。エモリーダーは、その助けにもなるツール。自分の価値観を言語化するには、まず自分の感情を客観視する必要がありますから」

株式会社エモスタ
代表者:小川 修平 氏 設立:2017年3月
URL:http://emosta.com/ スタッフ数:5名
事業内容:
感情を定量化し解析する感情認識AI「エモリーダー」の提供
これまでの資金調達額(出資額)と主な投資会社名:
非公表
ILS2017 大手企業との商談数:
17社

当記事の内容は 2018/2/8 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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