訪日旅行客向け無料SIM、創業2年足らずで
6万ユーザー獲得、3年後は500万ユーザー獲得へ

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執筆者: 本多小百合  編集:菊池 徳行(ハイキックス)

訪日旅行客向け無料SIM、創業2年足らずで6万ユーザー獲得、
3年後は500万ユーザー獲得へ

事業や製品・サービスの紹介

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ここ数年、訪日観光客が急増しているが、行き先は東京、大阪、北海道、沖縄などの限られたエリアに集中し、外国人旅行者に知られていない観光地はまだまだ多い。一方で、インバウンド需要を当てこむ観光事業者は全国各地に数多、存在する。WAmazing株式会社はそうした観光地の事業者と観光客を結ぶ場として、独自のアプリサービスを提供している。

外国人旅行者はWAmazingという、ひとつのアプリのなかで、全国約1万件の施設の宿泊予約、観光・レジャースポットの情報収集から手配・購入まで、日本滞在中に必要となる、さまざまなコンテンツにアクセスでき、旅行の楽しみの幅を広げることができる。

同社が、観光客に効率的にアプローチするため、注目したのは通信手段だ。アプリをダウンロードしたユーザーを対象にSIMカードを無料配布する(15日間有効・500MBまで)。全国6カ所の空港に(2017年11月末時点)SIMカード受取機を設置、日本に到着した瞬間を逃さずにアプリの利用を促す。

アプリ自体の利用も無料で、提携事業者から送客分の仲介手数料を受け取る仕組み。観光事業者はアプリへ自社の情報を露出することにより、言語やIT、地域の認知度などの壁で食い込めていなかった観光需要に食い込めるというわけだ。

対象は年率20%で伸びるインバウンド市場。
強みは前職の知見を活かした筋の良さ

対象市場と優位性

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主なターゲットは訪日外国人観光客の半数を占める、香港・台湾・中国の3エリア。現在は香港と台湾からの旅行者を中心にサービスを提供しており、中国にも拡大予定だ。インバウンドは、オリンピックによる盛り上がりが注目されがちだが、同社代表の加藤史子氏は、その後も成長し続けると指摘する。

これまで日本の近くに位置するアジア圏は成長途上で、旅行需要が顕在化していなかった。しかし、近年この地域の経済水準が上がってきており、構造的に成長する可能性を秘めているという。

加藤氏は新卒で前職の株式会社リクルートに入社して以来20年近く、観光産業の調査研究に携わってきた。業界を熟知した上で、訪日観光客と宿泊・娯楽・交通などの国内関連事業者を結ぶプラットフォームの必要性を説いており、投資家からの期待、信頼も篤い。

観光情報を扱うサービスはいくつもあるが、アプリ内で手配・決済までできるサービスはほかにない。また、無料通信サービスという意味でも、完全無料のサービスはまだ存在せず、しっかりユーザーを囲い込んでいる。創業2年足らずでアプリインストール数は6万強(2017年10月末時点)、年内には15万を突破する見込み。SIMカードもこれまでに約1万8000枚を配布した。

訪日観光のプラットフォームを目指し、
2020年までには500万ユーザーへ

事業にかける思い

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「観光産業は地方でもサービス産業を成立させることができ、地方創生の打ち手としても重要。インバウンドは市場の成長も期待できるため、魅力的な産業だと思っていた」と加藤氏。

しかし、現在のインバウンド市場規模は4兆円で、20兆円規模の日本人向け旅行市場に比べて圧倒的に小さい。大手企業では後者を手堅くやっていくことになる。そのため、「リスクの大きい分野でスピード感を持ってやっていくには外に出たほうがいいと感じた」。

業界をよく知る“大人”とはいえ、スタートアップの立ち上げは初めて。人を雇ったり、資金調達をしたりする際に求められる覚悟はサラリーマン時代の比ではないが、大きなやり甲斐を感じているという。

すでに、多くの観光客を受け入れている海外の観光地では、負の経済効果を受けた地域の地元民による観光客排斥運動も起きている。日本でも観光客の急増が予想されるなか、早急に地元が稼げる仕組みを整えなくてはならないとの使命感もあった。

順調に成長を続ける同社は今後、ユーザー数の増大と国内パートナーとの提携によるコンテンツ充実の2本柱でサービス拡大に取り組む。4000万人が日本を訪れるといわれているオリンピックイヤーは目の前だ。「プラットフォームというからには、そのうちの12.5%である500万人が使うサービスにしたい」。

WAmazing株式会社
代表者:加藤 史子 氏 設立:2016年7月
URL:https://info.wamazing.jp/ スタッフ数:約40名(アルバイト、業務委託、インターンなどを含む)
事業内容:
訪日観光客を対象としたスマホ向けアプリサービスの提供
これまでの資金調達額(出資額)と主な投資会社名:
ANRI3号投資事業有限責任組合、BEENEXT、SBIインベストメント株式会社、みずほキャピタル株式会社、Sony Innovation Fund、BEENOS株式会社、株式会社オプトベンチャーズ、静岡キャピタル株式会社、エンジェル投資家青柳直樹氏、有安伸宏氏(以上は第三者割当増資)、株式会社日本政策金融公庫、株式会社みずほ銀行、株式会社静岡銀行(以上は融資)より総額10億円超
ILS2017 大手企業との商談数:
6社

当記事の内容は 2017/12/5 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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