北京大学発のDTP技術を200社以上に提供!
日中を橋渡しするインバウンド事業にも参入

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執筆者: 佐々木 正孝 編集:菊池 徳行(ハイキックス)

組版、DTPの技術に優位性を発揮して、
印刷・新聞・出版業界で着実に事業展開 展開している事業の内容・特徴

photo1.jpg 方正株式会社は1996年の創業。当時リリースした「FounderFIT」は当時まだ珍しかったWindows上で稼働するレイアウトできる日本語組版ソフトとして大好評を博した。方正が高く評価されたのは精度の高い組版技術だ。写植が全盛だった印刷業界、新聞・出版業界で着実な評価を獲得。「毎日新聞社、リクルート、日刊スポーツなど、大手新聞社、出版社、ほかメーカーなど約200社以上の組版システムを担ってきました」と代表の管祥紅氏は語る。

組版システムに求められるのは大量の画像、テキストを適切かつスピーディーに整理し、目次やページのインデックスに従ってレイアウトしていくこと。雑誌では台割(ページの並び順)に従った緻密な編集が、新聞ではエリアや時間帯で異なる版の適切な管理が求められる。方正は母体である中国法人と緊密に連携し、中国語DTPソフトの日本語化などを推し進めてきた。何よりエンジニア、特に高度なエンジニアの確保に重きをおいているという。

「世界的に見ると、高いレベルのエンジニアを排出しているのは中国、インドです。もともとは印刷系が、そして近年はIT系の技術向上が目覚ましい。中国人エンジニアを積極的に採用することで最新の知見、技術力を確保できるのは、私たちの大きなアドバンテージなのです」

高度な組版技術を誇りながら、そこに固執せずに様々な分野のシステムに開発の手を伸ばしてきた。例えばチラシの制作・掲載商品の管理システム、チケットの発行システム、書店の在庫管理システムなどを開発した。顧客のニーズを積極的に収集し、最適なソリューションを提供している。

「ここでは、改善やニーズ収集に長けた日本人スタッフのきめ細かさが強みを発揮します。中国、日本のスタッフがそれぞれの持ち味を生かし、団結していく。私は『和して同ぜず』という孔子の言葉をよく引用しますが、それは強みと弱みを社員がカバーし合い、その上で主体的に動いていく、ということ。方正の強さは、多様性を認めたイノベーションの促進にあるのです。

北京大学で培われたDTP技術を日本へ。
漢字文化圏内でビジネスを横展開 ビジネスアイディア発想のきっかけ

photo2.jpg 方正の母体は中国の北大方正集団というIT事業から発展した企業グループである。中国の最高学府として知られる北京大学の学内で培ってきた電子出版技術、システム開発技術をアジア圏に広げるべく日本法人を設立。代表には日本で印刷技術関係のエンジニアとして働いていた管氏を抜擢した。管氏も北京大学のOBである。

「私たちが起業した90年代中盤といえば、印刷物のレイアウト、デザインをコンピューター上で行うDTPが注目を集め、盛り上がってきていた頃です。しかし当時のソフトは、アドビシステムズなど欧米発のものばかり。日本は中国と同じ漢字文化圏ですから、中国発のソフトも十分に強みを発揮できると考え、漢字文化に配慮したDTP技術を磨いてきました」

創業からの21年を振り返る管氏。中国語DTPソフトの日本語化をはじめ、DTP技術をコアに出版社、製造業、サービス業で顧客を開拓。各ジャンルのトップメーカーとパートナーシップを結ぶなど、方正の躍進は目覚ましい。しかし、創業からの20年は出版・新聞・印刷など紙の市場がシュリンクし、インターネットが台頭した20年でもあった。

方正は引き続き印刷・新聞業界へのサービス提供に注力しつつ、インターネット関連のサービスに取り組む意志も鮮明にしている。

「これまで新聞や情報誌、カタログなどの組版、コンテンツ管理で蓄積してきた技術をクラウド化、ビッグデータ化することで、さらに利便性の高いサービスを提供出来るようになるでしょう。私たちは常に新たなビジネスの芽を探しています。社内のアイデア、社外のニーズをいかに集め、ビジネスに結実させるか。それが今後のテーマになると考えています」

日中を事業基盤にするメリットを生かし、
インバウンドビジネスにも進出 将来の展望

photo3.jpg 紙からネットへ。方正は事業環境の激変を見据えて新展開を模索する。スポーツコミュニティアプリを提供し、アマチュアスポーツをバックアップする「aiSports」、訪日旅行者向けのマッチングサービスを提供するプラットフォーム「Okulo」。方正の関連会社という形で、新ビジネスが始動しているのだ。

注力しているのはインバウンドビジネスとして期待がかかる「Okulo」。中国人をはじめとする海外からの観光客にとっては、日本での観光・レジャー・グルメなどをワンストップで情報収集・決済できるプラットフォームに、日本の店舗にとっては海外からの旅行客に宣伝し、集客、決済をするプラットフォームになる。

中国語でフルサービスを展開し、銀聯(Union Pay)、支付宝(Alipay)、微信支付(WeChat Pay)など中国人観光客特有の決済手段にも対応。中国と日本をブリッジしてビジネスを展開する方正のストロングポイントが随所に生かされている。中国に43ある国際空港で会員カードを配布。2017年中のユーザー数100万人を目標にしているという。

「これまでの事業で培ってきたノウハウ、そして中国というバックボーンを生かした事業展開ができないか」と考え、社内で新事業の提案を募ってきた。前記2つの事業をはじめ、社員は続々と新たな提案を寄せてくるという。

ビジネスとしての面白さ、可能性を見いだしたら、予算をつけて発案者に新事業を任せていく。方正のスピード感は、社員にとっても大きなインセンティブになっているのだ。

「市場があって広がりが期待できても、何でも成功するとは限りません。これまでの安定した事業に比べ、リターンが見込める確率は少ないかもしれない。しかし、トライしない限り成功はありません。今後も積極的に新ビジネスに挑戦していきます」と展望を語る管氏。高度な技術と積極的なアイデアの登用。方正は中国・日本の長所を「和して同ぜず」のスピリットで融合し続けていく。

方正株式会社
代表者:管 祥紅 氏 設立:1996年
URL:https://www.founder.co.jp/ スタッフ数:100名
事業内容: 新聞社、出版社、メーカーに向けた各種システムの構築。スポーツコミュニティアプリの開発と運営、中国人向けインバウンドサービスの展開及び解析プラットフォームの提供も手がける。

当記事の内容は 2017/08/31 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。