大量データ高速分散処理技術+AIで、
ユーザーのビジネスをリアルタイムに支援

人工知能・機械学習・AI

執筆者: 髙橋光二  編集:菊池 徳行(ハイキックス)

ビッグデータを分析しレコメンド情報に加工。
営業活動の効率化と的確化につなげる 展開している事業の内容・特徴

photo1.jpg 大量のデータをリアルタイムで高速分散処理し、機械学習や統計学、画像解析を絡めたシステム開発を得意とする株式会社ピクセル。写真のように、風景写真をあたかもゴッホの描いた絵画のように自動変換する深層学習などはお手のものだ。

こうした技術に加え、さまざまな企業のビジネスを支援するレコメンド情報に加工するビッグデータ分析基盤を基本とし、海外のスマートフォンメーカー向け日本語音声解析エンジン、オンラインゲーム会社にユーザー満足度向上のためのゲームデータ分析などを提供している。

例えば、法人向けの営業支援システムの場合。営業スタッフは、日々の営業活動に加えて日報や経費精算などの事務作業も発生することにより、生産性が阻害されてしまいがちだ。 そこで、売れる確率の高い販売ルートを割り出したり、日報の自動入力などを可能とすることで、生産性向上と売上増加をもたらすシステムを提供している。

「営業チャンスの逸失を防ぎ、営業活動の効率化や的確性を高め、業績向上に貢献しています」とは、代表取締役社長CEOの小島貴彦氏の談。ちなみに、扱うデータが大量であるため、AWS(Amazon Web Services)などのクラウド環境では処理に時間がかかり過ぎるため、大学などが保有するスーパーコンピュータを活用して処理を行っている。

専門職大学院と外資系SNS会社で
培った人脈と経験が財産に ビジネスアイディア発想のきっかけ

photo2.jpg 小島氏は、出版社で営業担当として働いていた27歳の時にデジタルハリウッド大学の専門職大学院の存在を知り、「デジタルメディアの制作を手がけてみたい」と入学する。ショートフィルムやアニメを制作する授業で、広告会社でCM制作に携わっているクリエイターたちと親しくなり、週末を利用してアニメーションを共同制作するなどして親交を深めた。

「普段何気なく使っているゲームやアニメ作品も、制作はこんなにも大変で、でも制作がこんなに面白いものだったんだと衝撃を受けました」。その後、小島氏は外資系SNS会社に転職。ゲーム事業責任者として企画・開発から運営まで、すべてのバリューチェーンに関わった。

「インフラ構築、アプリ開発、デバッグ、ゲーム運営、広告、収益管理と、あらゆる工程において、外部の協力会社と接し、ミーティングなどを通じて知識やノウハウを習得していきました。ゲーム開発において、私はソースコードを書くことはできませんが、ディレクションや企画、改善はできます。この時の経験が今の仕事の土台になっています」

社会人になって以降に培った経験とネットワークをフルに生かし、2013年1月にフリーランスのゲームコンサルタントとして独立。1年ほど活動し、「コンサルだけでは面白くない。やはり自らゲームをつくって配信したい」と、2014年1月にピクセルを設立する。

元大手電機メーカーでスーパーコンピュータの開発に携わっていたエンジニアなどを採用し、同社が得意とする「大量データのリアルタイム高速分散処理技術」という軸をつくる。そして、オンラインゲーム会社とレベニューシェアモデルで協業し、ユーザー満足度の向上につながるデータ分析技術を提供するかたちで2本のゲームタイトルをリリース。いずれも、Google PlayやApple Storeのランキング上位に入る人気タイトルだ。

IBMのスタートアップ企業支援プログラムに
採択されたことを機に開発を加速 将来の展望

photo3.jpg 2014年10月、IBMのスタートアップ企業支援プログラム「IBM Global Entrepreneur Program」に採択されたことが、現在、同社の主力サービスであるビッグデータ分析基盤の開発を加速する契機となった。

構造化および非構造化データを分析する「IBM InfoSphere BigInsights」やビッグデータを高速分析する「IBM InfoSphere Streams」といったIBMのクラウドサービスやソフトウェアを一定期間、無償で利用できたり、同社の優秀なエンジニアやエバンジェリストから直接アドバイスなどを受けることができるようになったのだ。

そんな得難いバックアップを活用して開発したビッグデータ分析基盤を、まずはオンラインゲーム業界向けのソリューションとして提供した。数年前からスマートフォンゲーム市場が急拡大しているが、ユーザーを飽きさせず満足度を高め続けるためには、ユーザーのプレイ状況のデータをリアルタイムで分析し、ゲームの機能強化やイベントの企画・導入につなげる必要がある。しかし、そのノウハウや人材が不足している企業が多く、同社のソリューションは多くのゲーム企業から注目された。

もちろん、ゲーム業界だけではなく、冒頭で触れたような多様な業種のビジネス支援領域にも手を広げている。また、大量データのリアルタイム高速分散処理技術が生かせる監視カメラシステムの実証実験もスタートしているそうだ。

「高齢化が進む我が国では、医療サービスの効率化が求められています。今後は、特に医療や創薬などの分野で貢献していきたい。当社の技術を進化させることによって、関係業界だけでなく、医療の享受者である一般人にも貢献できると考えています」と小島氏は胸を張る。そして同社は、2020年の株式上場を目指している。

株式会社ピクセル
代表者:小島 貴彦 氏 設立:2014年1月
URL:http://www.pixel-inc.jp スタッフ数:18名
事業内容: オンラインゲームの企画・開発・運営、ビッグデータ分析基盤の開発

当記事の内容は 2017/08/24 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。