スマホ画面をタッチするだけで
双方向通信認証を可能にした「VIA」

モバイル・スマートフォン

執筆者: 東 雄介 編集:菊池 徳行(ハイキックス)

双方向通信の新スタンダードとなるか?
O2Oマーケティングへの導入に期待 展開している事業の内容・特徴

170718_1 スマホをタッチするだけで双方向通信を可能にする「VIA(ヴィア)」を開発した株式会社マッシュルーム。スマホが発する光の明滅シグナルを専用の認証デバイスで読み取り、その結果を、今度は認証デバイスからスマホのタッチスクリーンに対し、人間のタッチを擬似的に再現した静電容量シグナルで送り返してくれる。光と静電容量という2つの異なるシグナルを交互にやりとりするところが特徴だ。

使い方は簡単。スマホのブラウザで専用ページを表示し、専用の「VIA」認証デバイスにタッチするだけ。専用の認証デバイスも1台あたりの製造コストが500円以下と格安である。導入先として想定されているのは、電子チケット市場、ギフトカード・クーポン市場、O2Oマーケティング市場、モバイル決済市場など幅広い。同社としては、まずO2Oマーケティングに参入する目論見だ。同社COOの山瀬剛人氏は次のように語る。

「O2Oにはまだクリティカルなサービスがありません。例えばメルマガでクーポンを発行したとしても、それで実店舗にきちんと送客できたかどうかトラッキングが困難で、効果測定ができないのです。そこで『VIA』を認証のために使っていただきます。専用端末は安価に精算可能なため無料でお店に配布させてもらい、私たちはSaasのように毎月の利用料を頂戴するといったビジネスモデルです」

双方向通信技術といえばBluetoothやNFCなどが知られるが、いまだ非対応の機種・端末も多い。「認証用のデバイスも数万円と高価で、お店が気軽に導入できるものではありません」。その点「VIA」はタッチスクリーンを持つすべてのスマホやタブレットが対象。そのユニバーサル性のほか、安価な導入コスト、加えてアプリ不要で直感的な操作ができるなどの利点を持つ。双方向通信技術のスタンダードとして、さまざまな業界から期待がかかる。

ソーシャルギフトサービスの失敗を機に、
新しい双方向通信技術のニーズを確信 ビジネスアイディア発想のきっかけ

170718_2株式会社マッシュルームは、山瀬氏を含む3人によって共同創業された。山瀬氏とCEOの原庸一郎氏はそれまで別々の会社を経営していたが、もう1人の共同創業者を介してオフィスをシェアしたことを機に、意気投合。当初は、ソーシャルギフトサービスの会社としてスタートした。「友人の誕生日などに店頭で利用できるデジタルギフトカードを送る、みたいな事業をやろうとしていたんです」。

だが、プロトタイプを完成させたところで課題に直面した。「ギフトカードを送られた側はスマホで受け取り、リアル店舗に行って使用します。その際、ギフトカードはバーコードでスマホ上に表示され、お店はそれをレジのバーコードリーダーで読み取るというかたちになる。しかし、静的なバーコードを読み取るだけでは『ギフトカードが使われた』というデータがこちら側にフィードバックされないのです。これでは効果測定ができませんし、ギフトカードが使われたかどうか、お店にいちいち確認する羽目になります」。

NFCやBluetoothなど、既存の認証技術を使うことも検討されたが、使える端末が限られる、特定のアプリをインストールする必要があるなどの障壁から断念せざるを得なかった。「だったら自分たちの手で、どの端末でも使えるユニバーサルな双方向通信技術を開発しよう、と思い立ったのです」。

製品版のリリースも間近!
3年以内に10万台の設置を目指す 将来の展望

ソーシャルギフトサービスは失敗に終わり、会社は方向転換を余儀なくされた。「でも、この認証技術にはニーズがあると確信していました」。会社を立て直し、技術的な完成をみたのは2年ほど前のことだ。

認証デバイスの製品版の完成も、2017年内を予定している。「光を読み取るのは比較的簡単なのですが、人間のタッチを擬似的に再現したシーケンスデータの再現はまだ誰もやったことのない分野で、難しかったですね。また、タッチスクリーンといってもメーカーさんごとに微妙な違いがあり、それを網羅するのに苦労しました」。

「我々はサービスを独自で運営するという発想ではなく、あくまで裏方、黒子という立ち位置を考えています」。つまり「VIA」を要素技術とし、製品・サービスの開発においては他社とのコラボレーションを志向する。

2017年6月には、ソネット・メディア・ネットワークス株式会社との事業連携を発表した。ソネット・メディア・ネットワークスが独自開発した人工知能と、マッシュルームが開発する認証デバイスを組み合わせて、革新的なO2Oマーケティングを提供することを目指すものだ。

「3年以内に10万台の設置を目指します」。今後の戦略は明快だ。「こうした事業連携などをきっかけに、『VIA』の認証デバイスを、オフラインのあらゆる場所に設置すること。次に、それをインフラとして、決済など新しいサービスを次々と追加していくつもりです」

株式会社マッシュルーム
代表者:原 庸一郎 氏 設立:2012年 3月
URL:http://mashroo.me/ スタッフ数:4名
事業内容:双方向通信技術「VIA」の企画・開発

当記事の内容は 2017/07/18 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。