“ロボット”と“クラウド”を結びつけ、
日本の少子高齢化問題の解決を目指す!

クラウド

執筆者: 髙橋 光二  編集:菊池 徳行(ハイキックス)

ロボットによる監視システムを
“ショーケース”としてリリース 展開している事業の内容・特徴

20170613-1クラウド技術を利用したマルチロボットプラットフォームを提供する、Rapyuta Robotics株式会社。クラウド上で複数のロボットを制御することで、ユーザーの目的に応じたサービス・ロボットの開発を容易にする道を切り開いた。さらに、インターネット接続さえあれば、世界のどこからでもロボットの制御が可能。プラットフォームにはロボットを操縦する基本機能が揃っているので、ユーザーはそれぞれ必要とする機能を簡単に利用できる。

本サービスのメリットを知らしめる“ショーケース”とするべく、同社はソフトバンクが革新的なソリューションや技術を持つ企業と、ソフトバンクのリソースを組み合わせて新たなビジネスの創出を目指す「イノベーションプログラム」に応募。全件中3件が選考された内の1社に選ばれている。ベンチャー発掘に長けたソフトバンクに高く評価されたのだ。

そして、Rapyuta Robotics が開発する「クラウド・ロボティクス・プラットフォーム」を活用したドローンの自律制御や自動充電サービス等の商用化を、ソフトバンク社と共同で目指す取り組みを始めている。代表取締役COOのクリシナムルティ・アルドチェルワン氏は次のように説明する。

「このロボットの用途として、工場や倉庫、建設現場など広い敷地における警備や監視、インフラ点検などを想定しています。例えば、建設現場におけるセメントや鋼材などの在庫を確認するといった業務に適しているといえるでしょう」

このために、同社はハードウエアとして独自のドローンも開発。業務用として毎日屋外で使える耐久性や防水・防風性能、自動的に充電ステーションに帰還する機能、使いやすい操作性を備えている。「飛行エリアや動作は、誰でも直感的に操作できるようにしている」とアルドチェルワン氏。このロボットで、従来の人による警備・監視業務を無人化することで、大幅なコスト削減に貢献できるだろう。

データ量の重さや高価格という、サービス・
ロボットの普及課題を、クラウドで解消! ビジネスアイディア発想のきっかけ

20170613-2自動車工場などに代表される産業用ロボットが発展・普及しているのに対して、人間の生活エリアやその近くで人間の業務を代替・高度化するサービス・ロボットは、なかなか広まらない現状がある。決められた作業を高速・大量にこなすのに適した産業用ロボットは、一定の機能があれば事足りるが、サービス・ロボットには、より高度で複雑な機能が求められるからだ。

「賢いロボットをつくるには、大量のデータの演算処理機能やストーレッジの機能が必要となり、賢くすればするほどロボットが重く、かつ高コストになります。『ならば人間でいい』となってしまい、なかなか進展しませんでした」とアルドチェルワン氏は説明する。

しかも、人間が自在にコミュニケーションを取りながら学習や日常的な問題解決ができるのに対し、ほとんどのロボットにはそれができない。ところが、そんな状況を打開する技術が登場する。クラウド・ロボティクス技術である。チューリッヒ工科大学のInstitute for Dynamic Systems and Control研究所に在籍していたRapyuta Roboticsのメンバーは、ロボットとクラウドをつなげて大量のデータをクラウド上で共有することにより、ロボット同士のナレッジシェアリングが可能となり、ロボットの学習機能などの問題が解決できると考えたのだ。

その後、同研究所出身者らで構成され、欧州連合の助成金を受けた研究プロジェクトである「RoboEarth」の研究チームにおいてマルチロボットプラットフォームの研究が進んだ。その実用化のため、2014年にRobo Earthプロジェクトのクラウド・プラットフォーム開発をリードしたメンバーによってRapyuta Roboticsは設立されたのである。日本を創業の地に選んだ理由について、アルドチェルワン氏は次のように言う。

「クラウド・ロボットの実用化には、強靭なネットインフラ環境が不可欠で、日本は韓国などと並んで世界のトップレベルにあります。そして、サービス・ロボットを最も必要としている国はどこか考えたところ、世界で最も高齢化が進み、人口が減少している日本だという結論に至りました。さらに、新産業創出に力を入れている日本政府の後押しも期待できました」

来日したアルドチェルワン氏は、東京工業大学で制御・システムエンジニアリング学士号を取得。その後、日本企業で働く経験も積んだうえで、同社の経営をスタートさせたのである。

“Proof of Concept”となる製品を送り出し、
ユーザーの自由な開発・利用を促進 将来の展望

20170613-3ドローン・システムの次の“ショーケース”としてのサービス開発においては、陸上ロボットを計画している。大規模な倉庫にはすでに無人化設備が導入されているケースもあるが、中小規模倉庫の場合、まだまだ人力に頼るところが数多く残っている。

「ある倉庫では、10名の作業者が1人1シフト当たり12km歩いています。そうしたマンパワーの一部でもロボットに置き換えることができれば、省力化やコスト削減につなげることが可能です」とアルドチェルワン氏。屋内の場合、GPS信号を感知できないため完全自律ロボットの導入は難しかったが、同社は安価かつ精度の高いチップを利用することでこの問題をクリア。一方、天井に装置を取り付けなければならない手間や、通信規制などの問題も残る。

「こうした問題を解決し、“Proof of Concept”(新たな概念やアイデアの実現可能性を示すために、簡単かつ不完全な実現化を行うこと)となるハードウエアを我々の手で送り出す計画を立てています。その挑戦が、より多くのユーザーを開拓する呼び水となるでしょう。そこから先は、我々はクラウド・プラットフォームの高度化に徹し、ユーザーが自由に開発したハードやソフトをより運用してもらいやすくしていく。今後、水上や水中などにも活用の範囲を広げていきたいですね」。アルドチェルワン氏は、そんな同社の、未来予想図を教えてくれた。

Rapyuta Robotics株式会社
代表者:代表取締役COO 
    クリシナムルティ・アルドチェルワン 氏
設立:2014年7月
URL:https://www.rapyuta-robotics.com/ja/ スタッフ数:27名
事業内容:クラウド技術を利用したマルチロボットプラットフォームの開発・提供

当記事の内容は 2017/06/13 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。