位置情報を活用したビジネスクラウドで急成長。
外で働く人をIT支援して、導入企業1000社超!

この記事はに専門家 によって監修されました。

執筆者: 東 雄介  編集:菊池 徳行(ハイキックス)

顧客情報などを地図上にマッピング。
ビジネスチャンスを広げる
展開している事業の内容・特徴

20170420-1法人向けクラウドサービス「cyzen(サイゼン)」を開発・運用しているレッドフォックス株式会社。「cyzen」は位置情報を活用したクラウド型SFA(営業支援)ツールだ。例えば顧客情報がスマホアプリ上の地図に表示されるので、スキマ時間に顧客訪問する選択肢が生まれる。過去の取引履歴や会社情報も共有することが可能で、営業担当が交代してもフォローできる。

といった具合に、外回りをするセールスパーソンはいつ、どんなときでも「今必要な顧客情報」を引き出せるというわけだ。また移動中にアプリから報告書を簡単に作成でき、業務は効率化、「直行直帰」もたやすくなる。交通費を自動計算する機能も提供している。

アプリ名は「顧客の働き方を“最善”のものにするため“改善”を繰り返していく、そのためのプラットフォーム」に由来する。同社代表の別所宏恭氏は言う。「現在の働き方にcyzenを単にプラスするのではなくて、cyzenがあることを前提に働き方をゼロから作りましょう、ということをお客様に提唱しています」。

「営業支援ツール」という枠を超え「cyzen」が思わぬ方面で活用されることも増えている。例えば、写真管理の機能が建設現場で使われている。現場で撮影した記録写真を、物件や工程、部位ごとに仕分ける作業は重い負担になる。だがスマホ上で写真を撮影、必要な情報を入力すれば自動的に写真の仕分けが完了する。農業にも導入事例がある。写真を通じて栽培状況や農業技術を即時に共有・管理すると共に、ベテラン農家から若手農家への技術伝承も促している。ユーザーの使い方を参考に、機能を充実させながら、「cyzen」は今も進化を続けているのだ。

AI化、ロボット化、IoT化が進んだ
「20年後の課題解決」を見据える
ビジネスアイディア発想のきっかけ

20170420-2「小さいころ貧乏で、お腹いっぱいご飯を食べたかったんです(笑)」と昔を振り返る別所氏。大学在学中、住宅CADのシステム開発に関わったことを機に、システムの受託開発の会社を興した。1989年のことだ。以降、一貫してBtoBのシステム開発で実績を積んだ同社が「cyzen」という自社サービスの開発・運用へと舵を切ったのはなぜか。

「かつては『エンジニアがどうやって楽しく幸せに働くか』という問題意識がありました。しかしネット社会となった現在、その当時抱いていた課題はほぼ解決されたといえるでしょう。昔はコンピュータを学ぼうと思ったら高いマシンを買うかメーカーに就職するかしかなかったのが、いまのようにPCがどんどん高機能化し、便利になるにつれ、自分がやっていることの社会的意義が見えなくなってきたのです」

やりがいがあって、長く向き合えるテーマは何か――。「20年後の未来を見据えて、そこに至る過程で発生する課題を解決するサービスを作ろうと考えました。今ある課題を解決するサービスを作っても、すぐに競合が溢れて、解決されてしまいますから。だったら、何十年と取り組めるテーマを選んだほうがいい。これは、起業を考える人、特に若い人たちにも伝えたいことですね。目先の課題解決よりも未来の課題解決を考える。第一、そのほうが面白いですよ」

なかでも別所氏が注目したのは、AI化、ロボット化、IoT化の流れである。デスクワークの大部分はIT化されているはずだが、外で行う必要がある仕事はIT化が進んでいない。こうして「外での業務をIT支援するツール」として「cyzen」は開発されたのだ。

期待される位置情報ビジネス。
大前研一氏も出資者の一人に
将来の展望

20170420-3-120170420-3-22017年には、ビジネスブレークスルー代表の大前研一氏、乗り換え案内サービス「駅すぱあと」を開発・運営するヴァル研究所から出資を受けた。位置情報ビジネスの市場規模は2020年には62兆円になると試算されており(平成25年6月総務省『G空間×ICT推進会議報告書』)、同社もさらなる事業成長が期待されている。

「もっとも日本企業はこうした長期的なビジネスに対する先行投資をしたがらないですし、ベンチャーもなかなか現れません。競合が現れるとしたらアメリカでしょうね。いずれは当社も海外進出をと考えています。cyzenの国内マーケットは1000億円ほどを見込んでいますが、これが数百億に達した段階で、海外進出の準備を始めることになると思います」

「GPS Punch!」という名称でサービスをスタートしたのが2012年8月のこと。2016年には「cyzen」に改称、サービスインから4年半で有償導入企業が累計1000社を突破した。大手携帯キャリア、大手システム販売会社などとの販売パートナー提携戦略も、その実践を後押ししている。

活用しているのは中小企業から大手企業、また、流通、医療、コンビニ、建設、戸建て、不動産、警備保障、機器メンテなど業種業態も幅広い。cyzenを本格稼働させてから社内のリソースをcyzenに集中、機能の改善や顧客開拓を加速させている。こうして機能が充実するほどに、導入企業は増えていった。

「外で働く人のIT支援がテーマであり、外で働いている人がすべてスマホでcyzenを使って仕事ができるようにする、というのが当社のミッションです。まだ10年、20年とかかりますから、ほかのサービスに手を出すつもりはありません」

レッドフォックス株式会社
代表者:別所 宏恭氏 設立:1989年5月
URL:https://www.redfox.co.jp/ スタッフ数:42名
事業内容:クラウドサービス「cyzen」の開発・提供

当記事の内容は 2017/04/20 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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