Jリーグ・サポーター1200万人のためのアプリ「Joooy(ジョイ)」。強固なユーザー接点から新しいビジネスを

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執筆者: ドリームゲート事務局

サポーターのために特定チームだけの情報をアグリゲーションするサービスを開始。7割超のMAUと、強固なユーザーリーチを実現。
展開している事業の内容・特徴

20160324-1Jリーグのサポーター人口は1200万人ともいわれているが、意外にも各チームの情報を集めるのは大変だ。代表チームや有名海外チームの動向はテレビのスポーツニュースなどでよく見聞きするが、Jリーグの情報はトップチーム以外では試合結果が紹介される程度。

そこで登場したのが、Jリーグ・サポーターのためのアプリ「Joooy(ジョイ)」。2015年10月にiOS版がリリースされ、2016年1月には同Andorid版も公開された。開発・運営するのは株式会社7th heaven&Co.(セブンスヘブンアンドコー)という2015年1月に設立されたベンチャーだ。

Joooyはサポーター向けに自動的に情報を集めて配信している。サポーターに毎日使ってもらうことを意識した作りが好評で、アプリのリリース後、特に宣伝などはしていないものの、2016年3月時点で5000人近くが利用。MAU(1ヶ月で1度以上利用するユーザの比率)は7割超にもなるという。

同社代表の天上(てんじょう)氏自身も熱心なサポーターということもあり、クラブチームの情報や選手に関するニュースなどを知るのが大変ということから開発した。

Jリーグは現在53クラブ。なでしこやフットサルのFリーグも入れると70クラブ以上あるが、3000以上のWebサイトからシステムが自動的に応援するクラブの情報を集め、1日50〜60件のニュースが届くという。

まだ収益化はしていないが、構想としては有料会員による会費収入やサポーターをターゲットにした各種マーケィング支援でのマネタイズを狙っている。

天上氏によれば、Jリーグの試合が行われるたびに多数のサポーターが移動する。新横浜で試合が行われれば最大で5万人近い人が集結する。あるいは浦和レッズとサガン鳥栖の試合があれば、佐賀まで応援に行く熱心な浦和サポーターは平均すると3000人にもなるという。しかし、こうしたサポーターの行動に対して、宿泊施設や飲食店、旅行会社などは最適化されたサービス提供ができていない。そこでサポーターが毎日のように使うアプリがあれば、そこから地方のおすすめの飲食店や旅館の案内、あるいは地元サポーターとのコミュニケーションが仕掛けられる。サポーターに直接リーチできるインフラとなることで、新たなビジネスチャンスが生まれるというわけだ。

元サッカー少年でプロのミュージシャンが挑む2度目の起業。サポーターの行動を観察して、事業アイデアを得る。
ビジネスアイディア発想のきっかけ

20160329-2株式会社7th heaven&Co.代表の天上氏。実は同社は2度目の起業になる。もともとはプロサッカー選手を目指していたそうで、Jリーガーも多数輩出している金光大阪高校出身。

しかしプロサッカー選手になる夢は叶わなかったものの、なんとプロのミュージシャンとしてデビュー。台湾ツアー4万人のライブ動員も記録するなど人気バンドのリーダーとしても活躍していた。

しかし、ミュージシャンだけではなく、一般社会でもチャレンジをしようと考えたが普通に就職する気持ちを持てなかったことから、2005年、神戸でWeb制作会社を起業した。
社員は最大で6名ほどで経営は順調だったが、2011年、たまたま見に行ったJリーグの試合からサッカーへの情熱が再燃した。そしてサポーターとしてスタジアムに通いつめる日々がはじまる。

いつしか、本気でサッカーに関われる仕事をしたいと考えるようになったが、当時経営していたWeb制作会社のメンバーはサッカーとはまったく関係がない。そこで、神戸の会社を知人に譲渡し、第二の起業に向けて準備をはじめた。

2013年に東京に出てきた天上氏は、神戸・大阪と比べて起業に関する情報量が圧倒的に違うことに衝撃を受けたという。経営者が集まれば普通にベンチャーに関連した会話が飛び交う。ベンチャーキャピタリストや起業支援関連の仕事をしている専門家などとも普通に出会える。そして自分自身が起業についてまったく知識がないことを痛感した。そこで、事業計画や資本政策などをゼロから勉強しはじめ、ベンチャーキャピタルなどを回る日々がスタートした。そうしたなか、2014年12月にサムライインキュベートに出会い、すぐに投資が決まった。

「Joooy(ジョイ)」の構想を思いついたのは、サポーターの行動観察から。スタジアムではみんなスマホを見ているが、なかなか応援するクラブチームの情報にたどり着けていない。代表チームや海外で活躍するスタープレイヤーのニュースではなく、地元の応援するクラブの情報が欲しい。また、応援するチームについて同じ熱量で「しゃべれる」場もない。サポーターのコアは20年前のJリーグ発足時からずっとファンだったような層で、年齢的には30代後半から40代後半。懐にも余裕があり、消費者としても魅力的だが、そうしたサポーターに直接リーチするサービスがあれば大きなビジネスチャンスになると考えた。

起業については一度経験しているものの、やはり立ち上げには苦労したというが、ミュージシャン経験が起業に役立ったという。というのも、ミュージシャンはバンド作りからはじまり、ライブ動員のための営業をして、それを常に高速で回し続けなければいけない。「バンド活動は起業活動に通じますね。ミュージシャンは起業家に向いていると思います。」と天上氏は語る。

Jリーグ・サポーターのためのインフラ作り。いずれは世界各国リーグ版も展開したい。
将来の展望

天上氏に今後の展望を伺ったところ、まず2016年中はプロダクトの磨き込みに集中したいということだ。

目標はサポーターの行動を支援するインフラを作ること。ひいては、サッカー文化をより根付かせることを目指している。

また、サッカーを通じて子どもたちにスポーツの素晴らしさも伝えたいという想いもあるが、そこには子どもの体力が年々弱くなっていることへ危機感が背景にある。今の子供はスマホや携帯ゲーム機に夢中になりすぎて、外で遊ばなくなっている。また、スポーツをしない子どもも増えている。基礎体力がないので、集中力もない。そうすると勉強もできなくなる。人としての基礎が弱くなっていると天上氏は語る。

日曜日にスタジアムにサポーターである親が子どもを連れて遊びにいき、試合前にはスタジアム近くの広場で一緒にボールを蹴って汗を流す。スタジアムの周りには出店も多く、祭りの縁日のような雰囲気。スポーツはエンタテイメントであり、親子ともに楽しめるのがスポーツの良さだ。そうした文化を発展させていくのも天上氏の目標の一つだ。

さらには、サッカーは世界中で愛されているスポーツでもあるため、当然ながら世界も視野に入れている。ブラジルリーグ版、欧州リーグ版といったグローバルでの展開も構想中だ。

7th heaven&Co.(セブンスヘブンアンドコー)
代表者:天上氏・野本氏 設立:2015年1月
URL:http://www.joooooooooooy.com/
事業内容:
・Jリーグサポーターのためのアプリ「Joooy(ジョイ)」の開発・運営。

当記事の内容は 2016/03/29 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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