世界トップレベルの画像認識技術で来るべき自動運転時代を支えるベンチャー、フィーチャ株式会社

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執筆者: ドリームゲート事務局

第3回ILS でグランプリを受賞したフィーチャ株式会社。車載向け画像認識技術に特化して急成長中! 展開している事業・特徴

20151125-1自動運転車、ロボットカーというキーワードが注目されはじめてきた。以前よりGoogleが自動運転車の研究開発を進めている事は知られていたが、2015年11月にトヨタ自動車が「2020年“自動運転”実用化」を発表したことで、新聞などでも大きく取り上げられた事から、いよいよ実現が現実味を帯びてきたと感じた方も多いだろう。

もちろん自動運転車が広く普及するには、技術面以外に事故が起きた際の責任の所在や運転免許制度との兼ね合いなど、法律的な整備・社会的な課題が様々あるだろうが、バスやタクシーなどといった公共移動手段、あるいは物流用途などに限定すれば、段階的に早期に実現していく可能性もあるだろう。ビジネスとして見れば、運転手の人件費が削減できるのは、事業構造として非常に大きなインパクトがある。

自動運転車を支える技術は多岐にわたるが、その中でも特に重要な領域は「画像認識」だろう。つまり、人間の眼にかわってリアルタイムに道路の状況を把握したり、障害物を見つけて回避行動をとる、といった技術は自動運転にはマストな要素である。

今回紹介するフィーチャ株式会社はまさにそうした画像認識技術を研究開発しているベンチャー企業だ。同社は先日開催された第3回ILSにて、大手企業からの事前リクエストの人気上位企業によって行われた「TOP10ベンチャーピッチ」において、最多得票を獲得し、最も注目される企業としてグランプリを受賞している。

20151125-2同社の最先端の機械学習アルゴリズムと画像特徴抽出技術をコア技術に基づいて、世界トップレベルの歩行者、動物、車両、標識、車線、移動体認識する技術を開発している。

同社の画像認識技術のポイントは、性能の高さと処理の軽さ。多数の対象物を同時に検出する際の計算処理の共通化を実現し、検出対象物が増えても処理時間の増加量を最小限に抑えることで、汎用の車載LSIで同時に複数の対象物を高速に認識するソワトウェアを実現した。従来、こうした処理は専用のハードウェアが必要とされる。例えば、オランダのMobileye社が開発・提供しているEyeQという専用チップなどだ。

しかし、フィーチャ社では専用ハード無しで、車載LSIでもリアルタイムに動作するソフトウェアを開発した。同社のソフトウェアを用いると、検知する対象物が10倍に増えても、その計算量は1.5倍程度に抑えられるという。

性能面でもピカイチ。世界的な人検出ベンチマーク評価である、「INRIA 人検出ベンチマーク」(2013年)において、誤検出が少ない領域で世界一の認識性能を達成している。

自動車メーカーにとっては既に搭載されているLSIが使える、あるいは汎用品のCPUで済めば、当然ながら低コストで済む。

フィーチャ社の持つ技術を求めて既に多くの大手企業との商談や共同研究も進んでおり、2~3年後には製品として実用できる見通しだと、同社取締役 CTOの曹暉氏は語ってくれた。

2015年度の売上は大手企業からの研究開発費が主な収益源だが1.3億円程度になる見込みで、製品化後はロイヤリティー収益型に転換していく構えだ。

はじめはスマートフォン向けにジェスチャーを認識するサービスでスタートするものの、ピボットして車載向けシステムに特化。 ビジネスアイデア発想のきっかけ

20151125-3フィーチャ社の前身であるクワンタービュー株式会社の設立は2005年だが、実質的な事業開始は2008年から。創業者である脇 健一郎氏と劉 暁紅氏は、アキュートロジックというベンチャー企業で同僚だった仲。創業当初は主にレンズ検査装置開発と販売を行っていた。

2012年、現CTOである曹暉氏もアキュートロジック社つながりで誘われて、クワンタービュー株式会社(現フィーチャー社)に参画することになった。

曹暉氏は2007年に名古屋大学情報科学研究科メディア科学専攻で博士号取得後、理化学研究所、豊田中央研究所で画像認識、歩行者検出技術に関する研究を行った。アキュートロジックに入社後は、手ぶれ補正、全焦点画像生成など複数の画像認識技術を開発し、商品化に成功。その実績から、クワンタービュー株式会社でも画像認識技術を用いた新規事業の立ち上げを行う事になった。

最初はスマートフォンやテレビ向けに、ジェスチャー認識のサービスを企画・開発を行ったが、事業としてはうまくいかなかった。技術的には革新的で面白いものの、肝心のニーズがなかったのだ。

その反省を踏まえ、画像認識技術が本当に求められる分野がどこかと考えた結果、「安全のためのセンシング技術」というテーマにいきついた。市場として日本がグローバルでも優位に進めている自動車分野。つまり車載向けの画像認識事業にこそ、本質的なニーズがあるだろうと考えた。

その狙いはあたり、もともと保持していた世界トップレベルの技術もあいまって、自動車メーカーや電機メーカー、商社などから研究開発の依頼などが寄せられるようになり、事業として立ち上がった。2015年7月にはレンズ検査装置事業を別会社として分離・独立させ、クワンタービュー株式会社の社名を変更する形で、フィーチャ株式会社として再スタートをきった。

Open Software Solution戦略と車載カメラメーカーとのアライアンス戦略で世界を狙う。 将来への展望

20151125-4同社の今後の展望を伺ったところ、既に持っている歩行者、動物、車両、標識、車線、移動体の認識技術を改良し、汎用型の車載LSIで高度な画像認識技術を実現する事。

特にルネサスエレクトロニクス社やフリースケール・セミコンダクタ社などの汎用車載LSIでリアルタイムに動作できるため実装の効率化に取り組んでいるところだという。

また、危険度を判別できるような処理も開発中だ。例えば、若者と老人では道路に飛び出してきた際、動きの遅い老人のほうがより危険度が高いといった判別を瞬時に行う。あるいは行動が予測できない子供、あるいは動物が飛び出してきたら…といったことでも危険度判定が変わる。そうした技術も自動運転車には欠かせないだろう。

今後、同社が事業をスケールしていくにあたっての戦略の1つとして、ソフトウェアの仕様や認識技術を公開することで、多数のメーカーに広く採用してもらう、いわゆるOpen Software Solution戦略をとっている。専用ハードが必要なソリューションに比べコスト面での優位性は明確なため、同社のソフトウェアを採用することは、自動車メーカーや自動車部品サプライヤーにとっても進めやすいと見ている。

もうひとつの戦略は、日本の車載カメラメーカーとのアライアンス。日本の車載カメラメーカーは世界市場の6割を握っている。ここに同社のOpenSoftwareSolution戦略で車載カメラメーカーと密なパートナーシップ体制を構築をすることで、日本の車載カメラメーカーを通して、世界市場への進出を目指す構えだ。

フィーチャ株式会社
代表者:脇 健一郎氏 設立:2005年8月
URL:http://ficha.jp/ スタッフ数:7名 (他非正規2名)
事業内容:
・先進運転支援システム向け画像認識ソリューションの開発・提供

当記事の内容は 2015/11/26 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。