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「CEATEC JAPAN 2014」や国土交通省の実証実験など実績多数。ビーコン技術の特許も保有する、気鋭の屋内位置情報サービス「TAGCAST」

執筆者:ドリームゲート事務局
更新日:2015年08月06日

iBeacon以前に開発されていた国産ビーコン。独自開発したビーコン端末で、着実に実績を積み重ねるベンチャー。 展開している事業・特徴

20150805-12013年にAppleが発表した「iBeacon」をご存じだろうか。GPSが届かない屋内などで、位置情報を測定・利用するための技術である。しかし、まだ実生活で利用するシーンは少なく、住宅展示場、美術館の案内アプリ、観光地やショッピングモール、飲食店などに来店した際にクーポンがもらえるといったケースがほとんどだ。

ビーコン関連サービスを実際に使った経験を持つ開発者数人にヒアリングしたところ、予想以上に技術的な障害が多く、想定どおりに動かないことが多いという。例えば、狭い屋内では人体が容易に電波をさえぎってしまう。複数のビーコンを設置するような場合だと、理論どおりに反応しないといったトラブルに見舞われる。実際、iBeaconが発表されてから2年以上が経過するが、これを利用して大きな成果を得たという話は聞こえてこない。

しかし、「CEATEC JAPAN 2014」や国土交通省が渋谷で行った大規模実証実験などで、電波精度などの緒問題を独自技術で解決しているベンチャーがある。それが今回紹介する株式会社タグキャストだ。

同社は2013年5月に設立されたベンチャーだが、母体となっているのは2006年創業のITベンチャー、ボクシーズ株式会社。ボクシーズ社は様々なモバイルアプリを開発してきたが、そのなかでも位置情報を用いたアプリに早期から着手。iBeaconが発表されるよりも前の2012年12月に、独自の位置情報サービスシステム「TAGCAST」を発表。ビーコンが発信する識別情報と電波強度によりアプリを制御する技術で、2014年11月に特許も取得した。本特許は国際出願しており、2015年6月には米国・欧州・中国・韓国の各国に移管手続きを完了している。

TAGCASTは、端末1台あたり月額500円から利用できる。契約は半年単位だが、それでも3000円というリーズナブルな価格設定だ。もちろん、ビーコンを活用したシステム全体の受託開発なども行っているが、それは母体であるボクシーズ社が担当。タグキャスト社はあくまでビーコン技術の開発・インフラ提供という役割分担である。

また、アプリ開発に必要なSDKも無償で提供しており、iOS/Androidのネイティブアプリ開発はもちろん、HTML5でiOS/ Android アプリが開発できることで最近注目されているCordovaというフレームワークにも対応している。簡単な屋内位置情報アプリなら、同社のSDKを使って1時間程度で開発可能だ。

位置情報サービスの巨大な可能性にかけて、新会社を設立 ビジネスアイデア発想のきっかけ

20150805-2タグキャスト社とボクシーズ社の代表を務める鳥居暁氏は、東京電機大学電子工学部を1998年に卒業。富士通に入社し、SEとして6年間、大手信販系基幹システムの開発標準化などを担当した。その後、2003年クラビット(現ブロードメディア)に入社し、営業を担当。2006年にボクシーズ社を設立した。

ボクシーズ社は、アプリの開発会社として、様々なサービスをリリースしてきた。2009年3月にリリースしたiPhoneアプリ「つぼ」は、健康のためのツボの箇所をイラストでわかりやすく案内するサービスで、iTunesリワインド2009のApp部門のAppトップセラーに選出された。2010年2月にはAndroid版の「つぼ」もリリースし、2014年に海外13言語にも対応。有料アプリながら、6年間で累計30万本を売るロングセラーとなっている。

ほかにもNHK出版が提供する語学学習アプリ「語学プレイヤー」や、パ・リーグ6球団の公式アプリなど、錚々たる実績を持つ。そんな同社が、2012年12月にBluetoothとスマホを使った位置情報サービス「TAGCAST」を開発し、国際特許出願を行った。

そもそもiBeaconはApple社の商標だが、Bluetooth Low Energy(BLE)という近距離通信技術を用いたものだ。これはBluetooth規格の1つで、同規格自体がIEEEによって標準化されており、Apple以外にも数千の企業が利用している。その技術規格にiBeaconの登場以前に着目し、独自の技術を加えて製品化したのがTAGCASTというわけだ。

鳥居氏によれば、最初にこの技術を知った瞬間、「O2O分野で革命的なことが起こる!」と直感したという。例えば、ネット上で、本当に人気のある店を口コミだけで知るのは難しい。ともすれば、恣意的な口コミの書き込みによって特定の店の評判を操作することもできるし、そうした行為はステルスマーケティングとして問題になった。しかし、屋内位置情報は、嘘をつかない。その時、その場所にいる人の情報が把握できるからだ。人々のリアルな行動を計測できれば、口コミに代わる価値ある情報を流通させることも可能。あるいは、ショッピングモール内で顧客がどのような経路で移動したか、立ち寄った店名、滞在時間、再来店率なども正確に計測できる。ビーコン技術によって、マーケティングに大変革が起きると鳥居氏は確信した。

それから独自に技術開発を進め、2013年5月にタグキャストを設立。本格的に位置情報関連ビジネスを展開するに至った。

TAGCASTの代表的な採用事例を紹介しよう。1つ目は、2014年10月に幕張メッセで開催された「CEATEC JAPAN 2014」。同会場内に設置したTAGCASTビーコンで、会場案内・回遊サポートアプリを開発・リリースした。同イベントの来場者は15万を超えたが、そのうちどのくらいが同アプリを利用したかについては非公開。しかし、ビーコンを利用したイベントでは国内最大級だろう。ちなみに同社は、「CEATEC AWARD 2014」でグランプリ(ソーシャル・イノベーション部門)を受賞している。

2つ目は、2014年3月に国土交通省が主導した実証実験。携帯キャリア3社、JR東日本、東急電鉄、東京メトロ、京王電鉄などが参加し、ビーコンを利用して屋内経路案内・アプリARで渋谷の道案内をするというもの。この際にも、同社のビーコンが採用されている。

そのほかにも、墨田区観光協会と東京スカイツリー内でiPhoneを使って商品棚で商品案内をする実験、ゼンリンと連携して行った飯能市商工会議所の食べ歩きグルメイベントのO2O型の送客実験などの事例もある。

LEDビーコンやペーパービーコンなどの新技術も続々発表。5年以内に100万台の利用が目標 将来への展望

同社では、さらに画期的な技術・サービスを開発・展開している。その1つがLEDビーコンだ。これはLED照明とビーコンとを融合させた製品で、従来の照明をLEDビーコンに変えるだけで、景観を損なうことなく位置情報を持続的に提供するというもの。この製品を活用した新サービスとして2015年6月に発表したのが安否確認サービス「つながるライト」。高齢者が住む家の照明をLEDビーコンに変えてアプリをスマホにインストールするだけで、簡単に照明のON/OFF回数と時間、点灯時間が把握できる。日常と違うパターンが出た場合は、安否確認を求める通知が自動で送られるという仕かけだ。

また、2015年5月に発表したペーパービーコンという新製品も面白い。通常であれば3次元に拡散してしまう電波を、特殊な技術により2次元化したもので、ペーパーの表面のわずか数cmの距離でしかビーコンが感知されないという仕組みだ。

感知できる距離を狭めたことにも理由がある。例えば、飲食店のテーブルなどにペーパービーコンを敷いておけば、その上に置かれたスマホだけが検知される。事前にアプリなどで注文したいメニューを選んでおいて、テーブルにスマホを置いた瞬間に通信が行われ、注文が処理されるといった使い方も可能だ。

20150805-33次元に広がるビーコンでは、隣のテーブルの電波を拾ってしまうという精度上の問題があった。数cmという短い距離の無線通信、非接触の近距離無線通信技術規格といえばSuica に採用されているNFCが有名だが、こちらは専用の端末やICカードが必要となるし、スマホと連動させるのは手間がかかる。NFC対応の携帯電話も一時期は普及していたが、今やスマホ全盛である。そういった意味でも、現在普及している大半のスマホに搭載されているビーコン(BLE規格)が使えるというのは大きい。

ちなみに同製品は、帝人株式会社、株式会社セルクロスと共同開発したもので、ビーコン信号を「面」で認識されることに成功した世界初の技術である。

これらユニークな技術・サービスを展開する同社だが、まずは5年以内に同社のビーコンを100万台以上普及させることが当面の目標。iBeaconという名称が独り歩きし、ビーコンはApple独自の技術と勘違いされている節もある。これはApple社のブランド力によるものだが、そんな巨人に挑む日本のベンチャー・タグキャストを、これからも応援したい。

株式会社タグキャスト
代表者:鳥居 暁氏 設立:2013年5月
URL:
http://tagcast.jp/
スタッフ数:40名(母体である株式会社ボクシーズ社と合わせた人数)
事業内容:
屋内位置情報サービスの提供

当記事の内容は 2015/8/6 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

この記事の執筆者

ドリームゲート事務局
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取材・文:ドリームゲート事務局 起業・開業・独立・ベンチャーの悩みに、専門家がお答えします。無料なのでお気軽にどうぞ。

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