業界未経験で立ち上げた異色の求人サイト。脅威の採用成功率70%を実現する理由

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執筆者: ドリームゲート事務局

人材業界未経験で立ち上げた異色の求人サイトが脅威の採用成功率を上げている理由 展開している事業内容・特徴

20141030-1 「生きるように働く人の仕事探し」を掲げる求人サイト「日本仕事百貨」。大手求人サイトでは掲載案件のうち採用が決まるのは1割ほどと言われている中、同サイトでは掲載した求人数のうち6-7割の案件で採用が決まるというから、驚異的な数字だ。また、求人掲載についても営業はゼロで、口コミだけで月100件の問い合わせを受けている。

今回は「日本仕事百貨」を運営する株式会社シゴトヒトの代表、ナカムラケンタ氏にお話を伺った。ナカムラ氏は1979年生まれ。明治大学で建築を学んだ後、不動産業界を経て2008年に起業した若手経営者だ。

「日本仕事百貨」の特長の1つが掲載されている案件のユニークさ。採用人数の少ないものや、東京以外にも地方の中小企業の求人も多く、常時20件ほどの求人が募集中として掲載されている。大手求人サイトと比較して掲載案件は少ないものの、そこで働く人の様子や仕事に対する考え方はもちろん、生き方まで見えてくるような「取材」がされている。一見すると、求人サイトというより、いろいろいな仕事のカタログを眺めている気分になる。また、募集期間が終了した案件や、採用が決まって終了した案件でも、取材内容がいつでも読めることもポイント。求人サイトというよりは、仕事や職場を通じて自分の新しい生き方を探せる、見ていてワクワクするサイトになっている。

「日本仕事百貨」の収益モデルだが、広告型のビジネスモデルを採用している。掲載企業は大手求人サイトに出稿するほどの広告費がないということもあるが、採用が決まる確率が高いため、リピーター企業が多いという。

20141030-1株式会社シゴトヒトは、求人サイト「日本仕事百貨」以外にも、出版事業「シゴトヒト文庫」、イベントスペース「リトルトーキョー」の企画運営も行っている。どの事業にも共通しているのは「人」と「働き方」。同社が手掛ける事業は、インターネットでも本でも空間でも、これらを結びつける場を提供している。

出版事業においてもそれは特徴的だ。同社は2012年、2013年と、自費出版にて各3000部限定で文庫を販売した。驚くのは、版や刷り見本も公開し、利益率の高い自費出版の方法をオープンにしていることだ。同社のサイトでは、文庫本発売に至った経緯も全て公開されており、印刷を引き受けた長野の印刷会社も紹介している。自らをモデルケースにし、新しい働き方を紹介しているのだ。

イベントスペース「リトルトーキョー」は、虎ノ門ヒルズのそばにあり、元寿司屋を改装した場所だ。木造の民家で同社の事務所としても使用している。

このイベントスペースを小さな都市に見立てた「リトルトーキョー市民」という会員制度がある。3カ月程度の期間で5,000円を払うと市民になることができ、スペースを使える。現在、延べ100人が市民として登録している。

市民になると、新しいプロジェクトを立ち上げたり、資金を募りたいという際に、リトルトーキョーという空間と市民コミュニティを活用することができる。本好きが高じ、リトルトーキョーを自らがセレクトした本を並べる本屋にしてしまったメンバーもいるという。この取り組みは、同社がNPO法人グリーンズと共に仕掛け、運営している。

2014年2月からは「しごとバー」というイベントが定期的に開かれている。しごとバーは、様々な分野で働く人をバーテンダーとして迎え、カウンター越しにお酒を交えながら気軽に話を聞くことができる小さなイベントだ。日本仕事百貨を通じて転職した人や、地方にU/Iターンした人、地域おこし協力隊経験者など、関心はあっても普段なかなか接することの少ない働き方や生き方をしている人をバーテンダーに迎えている。一人で立ち寄る客も多く、話を聞きにやってきた者同士で話が盛り上がる光景も見られた。

「居心地のいい場所をつくりたい」という思いがきっかけ。不動産業界から未経験の人材分野でビジネスを立ち上げる。 ビジネスアイデア発想のきっかけ

20141021-2ナカムラ氏は父親の仕事の都合により、幼少時代からいわゆる転勤族で「地元」という感覚を持つことなく育った。大学でデザインや建築を学びながら、いずれは自分の居場所をつくりたいと考えていた。卒業後は不動産業界に就職し、商業施設建設のプロジェクトなどに関わってきた。仕事は充実していたが、満足しきれない思いもあった。

ナカムラ氏は当時、近所に行きつけのバーがあり、多い時は週6日ほど通っていた。このバーの居心地の良さを考えた同氏は、大切なのは「人」だということに気がつく。食事やお酒も美味しく、内装も居心地がいい。だが実は、通い続ける理由はそこで働くバーテンダーや常連のお客さんとのコミュニケーションに、心地よさを感じていたからだった。

それまで様々な施設の集客のために、ハードとソフトを考え、アイディアを形にしてきたが、一番大切なのは「人」だった。同氏は、人と場所とのいい出会いを増やせないかと考えを巡らせた結果、商業施設ではなく、求人にたどり着いた。意外な発想に思えるが、ナカムラ氏はこう語ってくれた。「人と場所の出会いがうまくいけば、人はいきいきと働ける。いきいきと人が働ける場所は、その人にとってもいい場所になる。」

人と場所のいい出会いを、求人という事業で始めたい。そう考えたナカムラ氏は2008年に勤務先を退職。事業計画を練り、いくつかの仕事を経て、半年後に「東京仕事百貨(現・日本仕事百貨)」を立ち上げた。当初はナカムラ氏が個人事業としてサービスを開始。軌道に乗ってきた翌年2009年に法人化した。

人材業界も未経験で、文章を書く仕事も初めてだったナカムラ氏は、知人の会社の求人情報を無償で掲載することから始めた。約半年間、数十社を取材し、求人者のために丁寧で率直な内容で働く場を紹介していった。着実に採用が決まっていくことから口コミで広がり、掲載への問い合わせが増えたところで、広告型のビジネスモデルをスタートさせた。2012年、東京以外の求人案件が増えていたため、サイト名を「日本仕事百貨」に改称した。

現在、取材して記事を書く編集者はナカムラ氏を含めて7人。編集者1人につき月6~8件程度の取材を行うため全国各地へ出張する。求人は一案件につき平均32人の応募がある。求人サイト立ち上げへの参入障壁は一見低いように思えるが、「日本仕事百貨」のように、求職者を第一に考えた取材と記事には、必ずしもすべての求人案件がなじむとは限らない。だが採用が決まる割合が高いという点では明確な競合がなく、現時点では独り勝ちが続いている状態だ。

好循環を生んでいるからこそ、売上や掲載数を目標にはしない。 将来への展望

最後にナカムラ氏に今後の展開について伺った。

同社の主力事業である求人サイト「日本仕事百貨」では、求人案件を掲載したい企業が行列を成している状態だが、会社として規模拡大の方向は現時点では考えていないという。

同社では求職者のことを第一に考えて原稿を書く。それが結果的に、求人企業にとっても良い結果を生んでいる。この好循環を維持するためにも、掲載数や売り上げを目標には掲げず、その時の縁やタイミングを大事に、品質を落とさない仕事をしていくことが第一だと、ナカムラ氏は語ってくれた。

株式会社シゴトヒト
代表者:ナカムラケンタ氏 設立:2009年10月
URL:
http://shigoto100.com/
スタッフ数:7名
事業内容:
・求人サイト「日本仕事百貨」の運営
・出版事業「シゴトヒト文庫」
・イベントスペース「リトルトーキョー」の運営

当記事の内容は 2014/10/30 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。