出身地を元気にしていくベンチャー「地元カンパニー」。若き起業家が挑む、地方再生の取り組みとは

サービス業

執筆者: ドリームゲート事務局

地元を贈る「地元のギフト」、地元に帰るUターン人材の採用支援。すべては誰かの「地元」を元気にする事業。 展開している事業内容・特徴

07232014年6月28日に「信州若者1000人会議」というイベントが渋谷ヒカリエで実施された。2013年に続いて2年連続の開催で、集まったのは長野出身の20代、30代、学生から社会人まで、延べ1200人が集まった。この企画を仕掛けたのは、株式会社地元カンパニーというベンチャーだ。

地元カンパニーの主な事業は、働き盛りの若いUターン人材を獲得したい地方企業の採用支援と、地域を絞りその地域の産品をラインナップしたカタログギフトである「地元のギフト」の全国展開。従来ではあれば行政が手掛けるような事業を、民間企業、それも若いベンチャーが手掛けていることで注目を集めている。

同社代表の児玉光史氏は長野県出身だ。「信州若者1000人会議」は、児玉氏がその企画を県内の産学連携機関や、長野県庁に提案したことがきっかけだった。2013年に第一回を開催した後、その運営は、同年7月に設立した「一般社団法人信州若者1000人会議(上田市)」が担っている。現在、一般社団法人1000人会議では、首都圏在住の若手長野県人500名を会員化しているが、最終的には、毎年長野県から上京する年間1万人の若者を会員化し、1人でも多くのUターン者を増やすことを目標としている。

地元カンパニーが手掛けるUターン人材の採用支援は、長野県に留まらず、鹿児島県の地域おこし協力隊、神奈川県や岡山県の企業など、全国から依頼がある。地方企業の場合は採用人数も少ないため、大手の求人媒体に広告を出すよりはコストパフォーマンスに優れるということで、同社に依頼が舞い込んでいるという。

Uターン人材の採用ターゲットは、数年東京で働き、自分なりの仕事観を持ち始めた社会人が多い。実際に30歳前後でUターンする人が多く、同社としてもこの層に注目している。

もう1つの事業である「地元のギフト」は2012年の秋からスタートし、現在8地域のカタログギフトがある。それぞれのカタログには10~15程度の地域の産品が入っており、贈られた人がハガキやネットを通じて商品をひとつ注文できる。

商品はひとつひとつポストカード形式で紹介されているが、丁寧に取材をしているため、単なる商品紹介に留まらず、農家や生産者の顔や思いが見える内容となっている。価格は一冊3,790円(税抜き)。

現在は南信州、北信州、東信州、中信州(いずれも長野県)、小豆島(香川県)、南部町(青森県)、飛騨高山(岐阜県)、備後(広島県~岡山県)の8地域であり、掲載している商品は、有名メーカーや老舗企業の商品はもちろんのこと、その地域の農家が生産したお米や味噌、野菜などが、その地域の知る人ぞ知る地元産品が並んでいる。

利用シーンとしては、出身者の結婚披露宴の引き出物や、父の日のプレゼントといったライフイベントのほか、自治体のふるさと納税のお返し、企業の販促品としても引き合いがあるという。

最近リリースした青森県南部町のギフトは、商品コンセプトに共感した車の販売店が、車の購入者への販促品として導入を決めたそうだ。

実家のアスパラをマルシェで販売した経験と、結婚披露宴でもらったカタログギフトが結びついた「地元のギフト」。 ビジネスアイデア発想のきっかけ

0723株式会社地元カンパニーを率いる児玉氏の実家は、長野県でアスパラ農家を営む。東京大学農学部卒業後、IT企業に営業職として4年ほど勤務していたが退職し、フリーランスとなった。Web制作の仕事等をしながら、2007年から「セガレ・セガール」というコミュニティをつくり、そのメンバーで自由が丘などのマルシェで農産物の販売を始めた。

メンバーは首都圏在住者で、実家が農家を営む息子(セガレ)、娘(セガール)たち。ネット上で呼びかけたほか、メディアに取り上げられたこともあり、セガレやセガールたちはすぐに集まった。

ここでの出会いや経験が、地元カンパニーを立ち上げる原動力となった。「お客様と話していると、みんなどこかの出身者で、みんな地元が好きで、地元との関わりを欲しているんだなって。」
セガレ・セガールでの活動を定期的に続けながら、児玉氏は新しい事業の種を模索した。

0723ある時、友人の結婚披露宴に出席した児玉氏は、引き出物のカタログギフトを見ながら、もっと新郎新婦にゆかりのある商品だったら良いのにな、と感じたそうだ。自分の披露宴には、自分の好きなものを並べたカタログギフトを参列者に配りたい。これがまさに現在の「地元のギフト」の発想となった。

実際に児玉氏は、実家のアスパラも含めた、故郷の農家や生産者の商品をいれたカタログをつくり、引き出物として配った。同氏の生まれ育った土地も知ってもらうことができた上に、参列者にも評判がよかった。

ここで手ごたえをつかんだ同氏は、同じようなニーズは潜在的にあると踏んだ。若手の就農者も応援していきたいし、今まで丁寧につくってきた生産者も知って貰いたい。そして何よりも、出身者がその地元を気軽に応援していく、そんなことが当たり前になる社会にしていきたいと考え、事業化することを決意。創業メンバーである名古屋敦氏と2名で、2012年4月6日、地元カンパニーを設立した。

独自のクラウドファンディングサービスを立ち上げ、加速度的に「地元のギフト」を増やす。目標は全国1700の自治体制覇! 将来への展望

同社が力を入れている「地元のギフト」は、現在は8地域だが、2014年度中には20地域まで増やすべく準備しているところだ。将来的には、全国にある1700の自治体と同じ数、つまり1700種類まで増やしていきたいという。

児玉氏は語る。「地元のギフトが各地に増えていくことは、ビジネス的にも面白いのだけど、地元を目に見えるカタチで応援する人が増えていくということ」

地元のギフトを加速度的に増やしていくため、8月には、独自のサービスでクラウドファンディングをリリースさせる予定だ。地元のギフトを作りたいという個人や団体を起案者として、必要最低限の初期費用を調達する仕掛けだ。ひとり1万円の支援を募り、資金調達できた場合には、支援者に地元のギフトが1冊進呈される内容だ。

若者Uターン支援としては、長野県の若者Uターン事業で培ったノウハウをもとに、他地域への展開を目指している。各地域で活躍している団体と協業しての展開はもちろんだが、地元カンパニーには、京都や北海道などの地方出身者が多く、地元に戻って事業をスタートしようとしている。同社で培った経験やノウハウを、それぞれのスタッフがどのように地元に水平展開していくのか。その行方にも注目していきたい。

株式会社地元カンパニー
代表者:児玉 光史氏 設立:2012年4月
URL:
http://www.jimo.co.jp/
スタッフ数:4名
事業内容:
・カタログギフト「地元のギフト」の企画、制作
・Uターン人材の採用支援
・マルシェ等のイベント企画
・通信販売

当記事の内容は 2014/7/24 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。