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大挑戦者祭2007 レポート

開催日:2007年3月11日  会場:東京・赤坂プリンスホテル

「環境」 - 環境をビジネスにした新たな価値

今や、「経済」を語るときに避けて通れなくなった地球環境問題。このカンファレンスに集まったパネリスト4名は、逆に、この問題をビジネス化することで打破しようという起業家たちだ。
テーマは「環境をビジネスにした新たな価値」。注目度も高く、多くの聴講者を集めたこのセッションでは、環境のために企業として何ができるのか、熱い議論が繰り広げられた。

立ち後れる日本の環境関連事業


木南:現在、2012年までのCo2の削減目標が、産業部門で8.6%、現状から8.4%と定められています。非常に高い目標で、残念ながら達成は 難しいと言われています。いったい背景には何があるのでしょうか。現状抱える課題とは何なのでしょうか。まずは、その辺りからお伺いしたいと思います。

ピーダーセン:日本は「京都議定書」というブランドを世界に広めながらも、自国としてきちんとした長期戦略を立てていません。国内の努力では目標達 成は不可能だと、私は見ています。でも、これは避けられたはずなんです、国が明確な戦略やビジョンを立てていれば。そういうことをやらないで、問題を最後 までほっておいて、お金で解決しようとするところが、日本にはありますね。

鈴木:まったく同感です。それから電気エネルギーでいえば、経済産業省で電気事業者に対して新エネルギーの利用を推進していくRPS法の見通しが 1.35%とか1.63%というレベルなんですね。一方EUでは30%、アメリカの大抵の州や都市でも目標が定められていますが、ケタが違うわけです。こ れはもう、温暖化対策はやるなって言っているような法律ですよね。

ピーダーセン:EUの狙いというのは、圏内戦略として企業のイノベーションをドライブして新しい投資フィールドをつくり、ビジネスの競争融資を高めることにあるんですね。日本の国家戦略には方向性がないから、企業もどこを向いていいか分からないんです。

中村:私は、実際に企業に入り込んで省エネをしている、いわば“実行部隊”ですが、実は、日本でいちばん省エネが進んでいるのは産業系なんです。そ の最大の要因は、企業が行き残っていくためには、どうしてもコストを削減しなければいけないということ。一方、進んでいないのは運輸系とオフィス系だと思 うんですが、これは真剣に考えないといけないと思います。

木南:産業という見方をした場合に、日本の電力は安いですか、高いですか? 自然エネルギーの導入には、コストがかかるという議論もありますが。

中村:高いですね。たとえば、企業が発電事業に参入しようとしても、結局原油が上がれば採算が合わなくなる。電線を借りるにも金額が高いために事業として成立しない。撤退せざるを得ないのが現実で、自由競争にならないのです。

ピーダーセン:それは仕組みづくりの問題。たとえばドイツでは、太陽光発電でつくった電気を、電力会社が70円以上で買わないといけないという法律 を導入してから、飛躍的に太陽光発電の設置が増えました。75円で買うとなると、市民は儲かるんですね。そうすると開発競争が起きて価格も下がる。日本の 場合は、いわば官主導の仕組みなんですが、官が本当に考えなければいけないのは、人々や企業が自ら動きたくなるような、儲かるような、得をするような仕組 みなんです。その仕組みが見つかれば、市場は勝手にまわりますよ。

さらに小松氏は「官には業界、つまり旧来勢力の企業を保護しなければいけないという、旧態依然としたパワーバランスが働いていることが、廃棄物処理 やリサイクルが進まない理由である」と指摘。だからこそ逆に、「今後は行政・公官庁が環境産業をリードしながら進めていく必要がある」と強調した。

「得をする」「メリットがある」仕組みづくりが重要

ピーダーセン:私はこれからの市場は「環境成長経済」だという持論を持っています。それは、世界的には人口が増えて豊かさの欲求が高まる。その中 で、われわれが第1にやらなければならないのが、環境なんです。それを日本の国家戦略にしたらいい。「環境成長経済」に長けた企業が得する、そういう商品 が優遇される、そういうサービスが優遇される。そうすると、国際的競争力が高まる。そういうところに対応できない企業は消えていく。そういう「環境成長経 済」を、日本は目指すべきなんです。

木南:日本の企業でも「世界最高水準の燃費を誇る車を生産している」「省エネの家電に関しては先行している」といった取り組みは、一応あります。ただ、企業全体の取り組みとしては、まだまだレベルが低いということでしょうか。

ピーダーセン:おっしゃるとおり、世界最高水準の技術とか取り組みは持っています。ただ、それを戦略化する、伝える、広めるというのが、日本は苦 手。環境という面でグローバルキャンペーンを展開するというようなことを、日本の企業は何でやらないのか。できるのに、技術があるのに、世界からの期待も 高い、なのに一歩踏み出さない。これはジレンマですね。

中村:省エネルギーは、何か企業にメリットがあると加速化していきます。削減した中から、投資した費用を回収しても利益が出ていくということになる と、積極的にやってくれると思います。もう一つはファイナンスの部分。実は、日本のリースシステムというのは非常にうまいシステムなんです。私たちがやっ ているのも、省エネした中からリース料を払っても企業に利益が残る、そういうファイナンスの長期化を、仕組みとしてつくったのが評価されたのです。

木南:そういうベンチャーならではのアイデアが、もっと出てきていいと思うのですが。なぜ出てこないんでしょうか? もっと、日本人の環境ベンチャーが山ほどあっていいと思いますね。

小松:要は、僕らみたいなベンチャー企業といわれる人たちが、もっとニーズに敏感になる。僕もニーズから始めてました。「廃棄物ってもっとコスト削 減できないの? コストが削減したらCo2減ならないの?」って、連続性で考えていますよね。その連続性の発想をできる人が、このマーケットにもっともっ と参入してきてほしい。

鈴木:私は、一般市民の出資の市場を広げていきたいですね。まだ、環境に興味がある人だとか、原子力がイヤだとかいうレベルの人たちが多いんですけ ど、自分のお金の流れがある程度よく見える形で循環する、マジョリティの人たちのための投資マーケットをつくりたいと思っています。

ピーダーセン:万国共通なのは、私は「マイメリット」と呼んでいますが、自分にとって何が得かということ。そういう仕組みになっているかいないかがカギなんですね。

木南:そうして、皆さんのような起業家や企業がどんどん出てくれば、市民も制度もついてきて、日本の立ち後れた現状もある程度変えられるということ でしょうか。同時に、それが環境ビジネスのひとつのモデルだということですね、得するということを分かりやすいカタチで示すという。

ともすると、ボランティア的に見られがちな環境事業。しかし、鈴木氏は「投資する一般市民の側の、環境に対する意識は高まりつつある」と語る。ま た、「実は、環境というのは、事業としては今がいいチャンス。どんどん深刻化してきているので、起業家を目指す人にどんどん参加してきてほしい」と中村 氏。さらに小松氏は、「とにかく困っていることへの対策をお手伝いすることが、必ずビジネスになる。お客様が一番儲かる仕組みを考えるところから始まると 思う」と語ってくれた。

2030年には環境ビジネスによる1000億企業を10社に

木南:ビジネスチャンスはありそうだけれど、日本人には、なかなか起業しようという人が出てこないですよね。それに、環境に対して投資する機関もでてきて、日本もようやく社会的な認知や支援は整いつつあると思うのですが、なかなかアイデアがないというのもある。

中村:環境とひとくちに言っても、今実際にビジネスチャンスがあるのは、エネルギーの中で電気、油、ガス、それから水。特に、飲料水や工業用水、産 業用水などに関するビジネスをお考えの方があれば、これはおおきなチャンスです。これからのビジネスだと思います。それから、皆さんが日頃感じている、家 庭でもできる省エネすべてに関して、チャンスがあると思います。

鈴木:環境ビジネスに関しては、まだまだ日本は後進国ですが、やれる分野はかなりある。特に電力なんかは、これから変えられる部分も確かにあると思 います。それから、これからは技術開発して、技術でどんどんプッシュしていくカタチは少なくなると思います。むしろ、Co2をきちっと付加価値として取り 引きできるマーケットっていうのができてくる。その辺のソフトの部分が、新しいビジネスになってくるんだと思います。また、よくよく見ていくと、細かいと ころでは、日本はまだ変な制度がいっぱいあるんですね。そういうのをよく見ていくとビジネスチャンスはあるんじゃないかなって思います。

小松:とにかく、環境に対してセンスが優れている人、タフな人に入ってきて欲しい。そういう人なら結果は後からついてくると思います。環境のことができると、すべてが対象になる。それだけ門戸は開放されているんです。

ピーダーセン:今、地球規模で非常に危機的な状況ですが、裏返せば大きなビジネスチャンスになりえる市場です。それから、最後には情熱ですよね。それを持ち続けることが、成功の近道だと思います。

木南:最後に、環境事業やっているわれわれや、これからやろうという人も含めた人たちが、一緒に目的をもってやっていこうという起業家宣言をご提案 したいと思います。ひとつ分かりやすい節目として、2030年という未来に向かって、環境ビジネスで1000億円レベルの上場企業が10社くらいはできて いるといいな、というふうに思ってます。この目標を、ぜひ共有させていただければと思っています。


プロフィール

株式会社イースクエア
代表取締役社長 ピーターD.ピーダーセン氏

1967年デンマーク生まれ。84年から1年間、宇都宮高校に留学。95年コペンハーゲン大学文化人類学部卒業。95年に再来日、企業コンサルタントとし て、環境経営コンサルティングや国際シンポジウムの開催などを行う。00年7月に東京メトロポリタン・テレビのニュース・キャスターに就任し、初めての外 国人キャスターとして、01年9月まで活躍。00年9月、株式会社イースクエアを設立、代表取締役社長就任、現在に至る。ココロとからだ、地球にやさしい ライフスタイル「LOHAS」の紹介者として注目を集めている。

株式会社サティスファクトリーインターナショナル
代表取締役社長 小松武司氏

1965年生まれ。90年、株式会社イトーヨーカ堂入社、半年で退社する。同年フェニックス観光株式会社入社。合宿専門の営業に従事し、泥まみれになって 仕事をすることを学ぶ。96年、株式会社サティスファクトリーインターナショナル設立。飲食店経営などを行い、廃棄物問題に注目。2000年、廃棄物処 理・リサイクルに関するマネジメントおよびコンサルティングサービスを開始。現在に至る。

株式会社省電舎
代表取締役社長 中村健治氏

1966年9月丸正通信精器株式会社入社。71年3月、株式会社マイクロアビオニクス入社。72年3月、同社常務取締役就任。74年11月、株式会社エー ルケンフォー設立とともに代表取締役社長に就任。86年6月、株式会社省電舎設立とともに代表取締役社長に就任。04年12月、東証マザーズ市場上場。 05年11月、ファシリティーパートナーズ株式会社を100%子会社化。同年12月、株式会社リサイクルワンと業務提携。06年6月株式会社リサイクルワ ンに出資。同年8月東京中央区に本社移転。現在に至る。

NPO法人北海道グリーンファンド
事務局長 鈴木享氏

1957年北海道生まれ。99年NPO法人北海道グリーンファンドを設立、理事・事務局長に就任。01年、株式会社北海道市民風力発電を設立し、代表取締 役を兼任する。03年、株式会社自然エネルギー市民ファンド代表取締役。北海道省エネルギー新エネルギー促進条例制定検討懇話会委員(00?01年度)、 北海道木質バイオマス資源活用促進協議会委員(02年度)、経済産業省資源エネルギー庁グリーンPPS検討委員会(04年度)、千葉県新エネルギープラン 策定検討委員会委員(05年度)などを務める。現在、北海道地域エネルギー・温暖化対策推進会議委員、北海道工業大学非常勤講師。

コーディネーター
株式会社リサイクルワン
代表取締役 木南陽介氏

京都大学総合人間学部人間学科卒業、主に環境政策論、物質環境論などを専攻する。在学中、有限会社メディアマックスジャパンを設立、代表取締役に就任。 マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク・ジャパンを経て、2000年5月、株式会社リサイクルワンを設立、代表取締役に就任。

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ビジネスプランコンテスト DREAM GATE GRAND PRIX ファイナル

ゲスト審査員
Wikipedia創始者/Wikia.Inc. Chair ジミー・ウェールズ氏
グローバル カタリスト パートナーズ工学博士
マネージング・プリンシパル 兼 共同創設者 大澤弘治氏
(株)サキコーポレーション 代表取締役社長 秋山咲恵氏
(株)サンブリッジ 代表取締役会長兼 グループCEO アレン マイナー氏
GMOインターネット(株) 代表取締役会長兼社長 熊谷正寿氏
タリーズコーヒージャパン(株) 代表取締役社長兼 チーフバリスタ 松田公太氏
(株)ホリプロ 代表取締役副会長 堀 一貴氏

DREAM GATE GRAND PRIX 2007 全国9エリア代表者決定戦
北海道エリア 東北エリア 関東エリア 中部エリア 近畿エリア 中国エリア 四国エリア 九州エリア 沖縄エリア

メインステージ

オープニングサプライズ Wikipedia創始者/Wikia.Inc. Chair ジミー・ウェールズ氏
「基調講演」志あるところに成功あり~世界標準へのあくなき挑戦~ (株)エイチ・アイ・エス 取締役会長 澤田 秀雄氏
海外起業家講演 百度 Chief Executive Officer Chairman Robin Li氏
「スペシャルステージ」 - 夢持ち続け日々精進 (株)ジャパネットたかた 代表取締役 高田 明氏

カンファレンスステージ

「食品」 - 食品自給率40%!日本の食の未来を守る
オイシックス株式会社 高島宏平氏
株式会社食文化 荻原章史氏
株式会社ひびき 日疋好春氏
株式会社リバネス 丸幸弘氏
コーディネーター:株式会社ユーグレナ 出雲充氏
「ファッション」 - 多様化する未来のファッションを創る  株式会社アパレルウェブ 千金楽健司氏
株式会社カフェグローブ・ドットコム 矢野貴久子氏
Codio Inc. 丁基子氏
株式会社ヘルメット 植松晃士氏
コーディネーター:株式会社ニューゲージ 如月音流氏
「広告」 -次世代広告に見る新しいコミュニケーション方法とは  株式会社RSS広告社 田中弦氏
サーチテリア株式会社 中橋義博氏
株式会社NIKKO 加藤順彦氏
バリューコマース株式会社 ティム・ウィリアムズ氏
コーディネーター:シーネットネットワークスジャパン株式会社 西田隆一氏
「金融」 - 金融大競争時代の金融イノベーションとは  グローバル カタリスト パートナーズ/工学博士 大澤弘治氏
ネットマイル株式会社 水野千秋氏
リスクモンスター株式会社 菅野健一氏
マネックス証券株式会社 松本 大氏
コーディネーター:株式会社フィナンシャル 木村 剛氏
「不動産」 - アントレプレナーが未来都市を創る
株式会社エスグラントコーポレーション 杉本宏之氏
株式会社企画ビルディング 宮本正好氏
株式会社リーテック 平松克敏氏
株式会社パシフィカ・モールズ セス・サルキン氏
コーディネーター:アールプロジェクト株式会社 永井好明氏
「エンターテイメント」 -多様化するエンターテイメントビジネスの可能性
株式会社インディソフトウェア 野津幸治氏
株式会社エンタク 左舘経明氏
株式会社GDH 石川真一郎氏
株式会社トルネード・フィルム 叶井俊太郎氏
コーディネーター:株式会社カフェグルーヴ 浜田寿人氏
「IT」 -業界先駆者が考える、5年後のネットコンテンツの在り方とは
株式会社アイスタイル 吉松徹郎氏
株式会社ドリコム 内藤裕紀氏
株式会社マクロミル 杉本哲哉氏
Melodis Corporation Keyvan Mohajer氏
コーディネーター:株式会社インプレスR&D 井芹昌信氏
「旅行」 - 旅行業界の新しい価値を生み出す
ロケットプレーン・キスラー社 チャールズ・ラワ氏
旅ウェブ株式会社 肥後愛樹氏
株式会社ビィー・フリーソフト 綿引隆一氏
フォートラベル株式会社 津田全泰氏
コーディネーター:株式会社リクルート エイビーロード・リサーチ・センター 稲垣昌宏氏
「教育」 - 起業家が子供を変えて、世界を変える。アントレプレナー流子供教育・労働教育
株式会社キッズシティージャパン 住谷栄之資
デジタルハリウッド株式会社 藤本真佐氏
デジット株式会社 舩川治郎氏
株式会社ネクシィーズ 近藤太香巳氏
コーディネーター:慶應義塾大学SIVアントレプレナー・ラボラトリー 牧 兼充氏
「環境」 - 環境をビジネスにした新たな価値
株式会社イースクエア ピーターD.ピーダーセン氏
株式会社サティスファクトリーインターナショナル 小松武司氏
株式会社省電舎 中村健治氏
NPO法人北海道グリーンファンド 鈴木享氏
コーディネーター:株式会社リサイクルワン 木南陽介氏
「サービス」 - サービス精神が世界の人々を豊かにする
株式会社バルニバービ 佐藤裕久氏
株式会社Huge 新川義弘氏
株式会社ワンダーテーブル 林祥隆氏
株式会社SEED-TANK 古里太志氏
コーディネーター:株式会社セレブレイン 高城幸司氏
「モバイル」 - 未来のモバイルビジネスによって、人類のコミュニケーション方法を変えていく
KLab株式会社 真田哲弥氏
株式会社ドワンゴ 川上量生氏
株式会社NAVIBLOG マンダリ・カレシー氏
コーディネーター:モバイル・コンテンツ・フォーラム 岸原孝昌氏