ベビー用品からスペースまで幅広くレンタルサービスを展開。循環型社会の実現を本気で目指すベンチャー、株式会社ココロイロ&株式会社エイチ

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執筆者: ドリームゲート事務局

ベビー用品レンタルからスタートし、ドレス、アウトドア、スペースとレンタルビジネスを手広くカバーするベンチャー
展開している事業の内容・特徴

20160225-2-1近年、シェアリング・エコノミーへの注目は高まる一方だ。この分野に、大手企業からスタートアップ・ベンチャー企業までさまざまなプレイヤーが新規参入し始めている。同分野の市場規模は2014年時点で232億円、2018年までに462億円に拡大するという試算もある。
出展:矢野経済研究所 シェアリングエコノミー(共有経済)市場に関する調査結果 2015 より:
https://www.yano.co.jp/press/press.php/001433

今回紹介するベンチャーは、ベビー用品のレンタルからスタートし、ドレスやアウトドア用品、プロジェクターなどのオフィス用品、そしてスペースレンタルと幅広くシェアビジネスを展開しているベンチャー、株式会社ココロイロと株式会社エイチだ。

ココロイロは2013年7月に設立されたベンチャーで、その創業事業はベビー用品レンタルサービス「Babyrenta(ベビレンタ)」だ。以降、ベビー用品にとどまらず、ビューティー家電や生活家電のレンタル、パーティードレス・結婚式ドレス・2次会ドレスのレンタルサービス「ドレスバンク(DRESSBANK)」も立ち上げた。創業から約2年半で、社員、アルバイト、外部スタッフを含めて20名体制のビジネスに成長している。

さらに2015年4月、エイチが設立され、同年9月にはスペースレンタルサービスも開始。登録スペース数は月間250件というハイペースで増え、取材を行った2016年2月時点は1000件を超えている。

レンタルスペースサービスはすでに競合が多いが、エイチのサービスがユニークなのは、個室や無線LAN、電源などがある場所をスマホから簡単に探せる点にある。カフェだけでなく、コワーキングスペースや撮影スタジオ、イベント会場もカバー。また、企業向けにイベントやセミナー、研修場所などを探すサポートサービスも手がけている。従来は研修担当者が電話などを使って使用できるスペースをしらみ潰しに探すしかなかったが、同検索サービスを使えばすぐに見つけられる。活用実例としては、恵比寿で600名が参加したベンチャー関連のイベントなどの実績もある。

収益モデルは成約手数料型で、会場費の15〜25%が同社の取り分となる。営業も過去の営業組織の立て直しの経験を活かして仕組み化し、サービス開始わずか半年という短期間ながら、すでに単月黒字化も目前という状況だ。

複数のベンチャーの立ち上げ、再建、売却などを経て、子どもが生まれたことをきっかけにベビー用品のレンタルビジネスに参入
ビジネスアイディア発想のきっかけ

20160225-2-2.jpgココロイロとエイチの両社を立ち上げたのは、伏見匡矩氏だ。彼の社会人としてのキャリアのスタートは、P&Gに2006年に入社。同社でマーケティングや広告を担当し、シンガポールなど海外に赴任したのち、退職。2011年にリクルートに10億円の出資を受け、エモーチオというベンチャーの立ち上げに参画した。伏見氏はその後、株式会社リジョブの最高戦略責任者(外部顧問)として事業再建を成功させている。その後、リジョブは、株式会社じげんに約20億円で売却された。

そして2013年7月、ココロイロを起業。きっかけは、子どもが生まれたこと。自分自身が欲しいサービスとして、ベビー用品レンタルビジネスを開始したというわけだ。すでに同様なレンタルビジネスサービスとして、ダスキンなどの大手も参入していたが、既存のネットショップ運営サービスなどを活用し、徹底したコストカット戦略を行った。結果、レンタルサービスとしては後発組ながら早期に採算ベースに乗せることに成功した。

2015年4月には、レンタルスペースの検索・仲介サービスを行うエイチを設立。半年足らずで登録スペース数が1000を超えるなど順調だという。徹底したコストカットでなんとか目処をつけているものの、まだまだ苦労は絶えないという。

特に大きな課題として認識しているのは、「ティッピングポイント」がどこにあるかということ。伏見氏は顧客をPlan-Doユーザーと非Plan-Doユーザーに分けて考えている。Plan-Doユーザーは計画を立てて、検索サービスなどを駆使して能動的に動くユーザー。こうしたユーザーは便利なサービスを打ち出せば自然と利用してくれるが、全体としては少数派だ。

残りの大多数は非Plan-Doユーザーであり、行動が衝動的で受動的。そうしたユーザーにどうすれば使ってもらえるかが最大の課題と認識しているが、その突破口さえ見つかれば、一気に大規模なプロモーションなどを仕掛かけていく計画だ。

究極の目的は、循環型社会をつくり上げること
将来の展望

伏見氏に今後の展望を伺ったところ、短期的には登録レンタルスペース数を5000件まで伸ばす事を目標にしていることだという。これが、貸しスペースとして運営されている場所数の上限にあたるという試算だ。また、わかりやすくいえば、渋谷駅から徒歩5分以内で空いているスペースが100以上見つかるような状態に持っていきたいというのが当面の目標とのこと。

レンタルスペースは、非日常的なシーンに行く必要がある場合に需要が発生する。いつもと違う場所で集まる必要があるため、希望エリアの貸し会議室が必要となり、合わせてプロジェクターやモニターなどもその時だけ貸して欲しいというニーズが発生する。あるいは結婚式に呼ばれた際に着るドレスやジュエリー、年に一度の家族旅行でキャンプをするためのキャンピングカーやアウトドア用品一式等々も同じ考え方である。

しかし、レンタル市場はまだまだ未成熟で、価格や品質に標準化された相場がない。需給バランスから正常な価格形成ができていない。ゆえに需要と供給がアンマッチを是正することが、シェアリング・エコノミーをブレイクさせるための条件の一つとなる。ビジネスとして勝負をかけるのは、そうした相場形成がなされる直前になるとだろうと伏見氏はみている。

伏見氏は、2014年からソフトバンクアカデミアに参加しており、孫正義氏の指導も受けている。そうした影響もあって、ビジネスを大局的な視座で捉えており、目指すビジョンとしては「循環型社会の確立」という壮大なものだ。最後に伏見氏のコメントを紹介して本稿を閉じたい。

「地球的に見れば、利用できる資源は限られています。いずれは大量消費型の経済は立ち行かなくなるので、大量生産-消費-廃棄を前提とした経済モデルから、ヒト・モノ・スペースを時間単位でシェアする共有型モデルに移行するのが必然でしょう。また、日本は人口減少社会に突入し、これまでに蓄積してきたインフラ・資源が余り始めています。よって、日本では、確実にシェアするビジネスが伸びると考えています。日本人の意識もそうした方向に変化しつつある。子どもは一人生むかどうかという時代に、新品のベビーカーやベビーチェアを買うのは馬鹿らしいですよね。世界的にも日本はシェアリング・エコノミーの最先端をいく国になり、いずれは日本発の新たなビジネスモデルが世界に広まっていくと思います。そうした未来を見据えて、循環型社会を実現したいというのが大きな目標ですね。」

株式会社ココロイロ、株式会社エイチ
代表者:伏見 匡矩氏 設立:2013年7月
URL:
http://babyrenta.com/
https://eichiii.com/
スタッフ数:20名
事業内容:
・空きスペースを活用したスペース検索予約サイトの運営

当記事の内容は 2016/02/25 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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