宇宙開発技術を応用し、革新的な製品を次々と開発。従来比40倍の性能を持つ電池を発表した「株式会社CSイノベーション」

エネルギー

執筆者: ドリームゲート事務局

除染作業用の線量計開発からスタートし、2時間飛行可能なUAVや従来より40倍(当社比)高密度エネルギーアルミニウム空気電池など、次々と革新的製品をリリース! 展開している事業内容・特徴

カチカチのアイスを簡単に食べられるアイスクリーム用スプーン、最大2時間飛行可能なUAV(無人航空機)、従来より40倍(当社比)もの高密度エネルギーを持つ小型軽量のアルミニウム空気電池――。そんな革新的製品を次々と生み出している株式会社CSイノベーション。先日開催された第「2回TOKYOイノベーションリーダーズサミット」では、商談件数でTOP10に入った注目のハイテクベンチャーだ。

2012年9月に設立された同社。代表を務める筒井雅夫氏が、21年間勤めた東証一部上場のエンジニアリング商社を退職して起業した。

最初の製品は、除染作業用のコンパクトで高性能の線量計「ガンマ・マップマスター』。「ガンマ・マップマスター』は携帯型・車載型の線量計システム。GPSと連動し、放射能地域を車で走るだけで自動的に放射能汚染マップが生成できるという優れものだ。この製品は福島県富岡町役場に納品している。

同社の製品で一番有名なものは、カチカチのアイスを簡単に食べることができるという「アイスクリームスプーン」かもしれない。テレビなどで紹介されたこともあるので、ご存じの方多いだろうが、これも元々は宇宙分野で使われているカーボングラファイトの板から削り出してつくられている。国内の工場に生産を委託し、食器としての安全基準や審査をクリアするために特殊な塗料を塗布した。しかし当初は、歩留りが非常に悪かったため、筒井氏自らが現地に出向き、その場で生産設備を改善してきた商品である。

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アルミニウム、塩化ナトリウム(塩水)、空気の酸化反応による起電力を利用したアルミニウム空気電池は、理論的にはあらゆる電池の中で最もエネルギー密度が高い方式の一つとして知られている。同社では特殊カーボン材料を開発し空気極として適用することで、現時点で50ミリアンペア/平方センチ以上の発電能力を実現している。厳密にいうと充電可能な電池ではないが、理論的には電池の中の塩水を交換するだけで再発電が可能である。今後数週間の連続使用が可能なモデルも商品化予定である。

1平方センチあたり50ミリアンペアという出力を誇り、40倍(当社比)という高性能だ。さらなる小型化も可能で、近い将来、パソコンやスマートフォンなどのITデバイスの電源や非常用電源用途として革命を起こすかもしれない。

東日本大震災をきっかけに起業。コンパクトで高性能な線量計から事業をスタート。 ビジネスアイデア発想のきっかけ

20141028-2筒井氏はエンジニアリング商社時代の最初の10年間は、自動車用部品や自動車生産システムの構築業務に従事。その後、新規事業開発担当として、自動車、航空宇宙、医療など、多岐にわたる分野の商品開発を11年間続けた。JAXA(宇宙科学研究所)との共同研究も行っており、制御技術や計測技術のスペシャリストなのだ。

会社員時代の実績としては、超高性能のカメラを用いて燃焼中のロケット噴射口内を撮影できるシステムを開発。また、インフルエンザ診査を画像解析で自動判定するシステムなども開発している。

起業のきっかけとなったのは、東日本大震災。被災地で働く人が簡単に使えるコンパクトで高性能な線量計を作ろうと思い、2012年9月に起業。除染作業用の線量計を開発・販売をスタートした。その後、様々な製品開発や研究の依頼が舞い込んだ。なかでも、某大手企業から依頼のあった高性能UAVの開発が、先ほど紹介した「高密度エネルギーアルミニウム空気電池」の開発につながった。

そして2012年9月に起業し、除染作業用の線量計を開発・販売をスタート。その後、様々な製品開発や研究の依頼が舞い込んだ。なかでも、某大手企業から依頼のあった高性能UAVの開発が、先ほど紹介した「繰り返し使えるアルミニウム空気電池」の開発につながった。

UAV、あるいはドローンと呼ばれる無人航空機は、空撮から配送用途まで幅広く活用されている。しかし、もともとはオモチャ的な用途から生まれた商品が産業界でも取引されたため、性能面で貧弱なものが多く、飛行時間も数十分程度がせいぜい。そこで筒井氏に依頼があったのは、従来比1.5倍の可搬重量で最大2時間飛行できるというUAVの開発依頼だった。この難題に対して、筒井氏は燃料電池を用いれば、長時間飛行は可能と考えた。しかし、外国製の燃料電池を輸入したところ、公称値を大幅に下回る性能しか出ず、頭を抱えることに。それならば自分でつくってしまおうと、小型軽量の燃料電池システムを開発。そして、手のひらに乗る高効率小型サイズの電池を完成させる。これが高密度エネルギーアルミニウム空気電池の開発に繋がった。

筒井氏の強みは、様々な技術の目利き力である。同社は現時点で製造部門を持たないファブレス企業だが、大学や研究機関が保有している技術を発掘、あるいは研究を依頼し、それらを組み合わせ自社技術を融合させることで、革新的な製品やシステムを開発している。そうした高い技術力、目利き力、ビジネスプロデュース能力から、「できないことをやれる会社」として知られるようになり、筒井氏にもとには、大企業や研究機関から難解な依頼が多く持ち込まれるように。

「高密度エネルギーアルミニウム空気電池」にしても、核となる空気極の採用した特殊材料だけでは革新的な製品にはならなかったが、筒井氏が小型燃料電池に組み込んだ技術を応用したり製品化し現場で得た経験を適用することで様々な分野で活用できる可能性が明らかになったのだ。

ものづくり大国・日本の復活は十分可能。横浜のイノベーション発信基地に! 将来への展望

筒井氏によれば、日本の大企業・大学・研究機関に眠っている様々な特殊技術を組み合わせてながら自社(CSイノベーション)の技術を付加していけば、革新的な製品がまだまだたくさん生み出せるという。技術力では世界有数の日本が、Appleやサムソンの後塵を拝するようになったのは、技術の目利き力があり、ビジネスとしてプロデュースできる人材が乏しいからだと指摘する。

しかし、大手企業の中に筒井氏のような能力を持つ人材はいるだろう。ただ残念なことに、大企業・大組織の中に埋もれているのだ。この状況が、日本のものづくりを弱くしている原因の一つだろう。先日ノーベル賞を受賞した、青色LEDの中村教授なども、昔はその一人だった。中村氏は日本を離れ米国の大学で研究を続け、さらにベンチャー企業のファウンダーになったことは報道のとおりだ。

筒井氏が考えているのは、ものづくり大国・日本の復権である。現在は、本田宗一郎氏や盛田昭氏ら、昭和の大起業家が築き上げた資産を食いつぶしている状態。次の世代のために、もう一度、高度経済成長の土台をつくりたいというのが筒井氏の思いだ。そして筒井氏は、本社を置く横浜山下町で、次世代のイノベーションを世界に発信できる基地となることを本気で目指している。

株式会社CSイノベーション
代表者:筒井 雅夫氏 設立:2012年9月
URL:
http://www.cs-i.co.jp/
スタッフ数:
事業内容:
・検査・計測機器及び装置の企画・開発・製造・販売
・自動精密機器・装置、電子部品組付機器・装置、加工用専用機及び治具の企画・開発・製造・販売
・検査・計測機器制御ソフトウェアの企画・開発・製造・販売
・部品の企画・開発・製造・販売
・前各号の関連商品の運用支援サービス・輸出入・人材派遣業務・付帯関連する一切の事業

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