国内3Dプリンタ市場の起爆剤!ジャパンメイドの超小型3Dプリンタ「BS01」が登場

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執筆者: ドリームゲート事務局

クラウドファンディングで107人が出資し、集まった資金は総額で1000万円以上。超小型3Dプリンタが誕生
展開している事業内容・特徴

20140606-13DCADや3DCGデータを読み取り、3次元のオブジェクトを製造できる3Dプリンタ。3Dプリンタを用いれば、これまでは製造ラインでしか製造できなかった製品の部品などを、ユーザーが製造することも可能である。このことから、モノづくりのあり方とビジネスに変革をもたらす次世代テクノロジーとして、全世界で高い注目を浴びている。

マーケット規模は拡大の一途。2014年時点の市場規模は世界で2~3000億円と言われているが、2020年までには日本国内だけでも1兆円に成長するという予測もある。この熱気を受けて国内市場も活気づいており、大手、中小含めさまざまなメーカが参入している。これを受けて、行政の支援も活発だ。2013年には経済産業省が「新ものづくり研究会」の提言を受けて、大学や高専向けに3Dプリンタ普及支援対策として購入費の3分の2を負担するため、中小企業の研究開発支援補助として計上している約2億円を補助金に充てることが決定した。

そんななか、2014年4月に機能・デザイン・コストともに優れ、今後のコンシューマー向け3Dプリンタ普及の一翼を担うであろう新たなプリンタがリリースされた。それが、今回紹介するボンサイラボ株式会社の国産超小型3Dプリンタ「BS01」である。

5色のカラーバリエーションで、インテリアとしても愛らしいデザインをした同製品。フレームはMDF合板とよばれる環境に優しい木質資源を有効活用した板を使用。本体サイズは幅250mm×奥行き250mm×高さ275mmと非常にコンパクトで、日本の居住空間にも問題なく置けるサイズである。3Dオブジェクトを成形させるために用いる樹脂(フィラメント)に合わせたPLAモデル、ABS/PLAモデルの2種の展開があり、それぞれで若干異なるが、重さは約5kgと軽量。最大造形サイズはユーザーの求める声が多い、幅150mm×奥行き130mm×高さ100mm となっている。ノズルは0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mmの4種が付属。3Dプリンタでもっともトラブルが多いのがノズルの詰まりだが、同製品は詰まりにくい構造となっているだけではなく、万が一詰まったとしても容易くノズル交換が可能な設計になっている。

販売ラインアップは、ユーザーがプリンタの内部構造を学べる「組み立てキット」、「完成品」、故障やトラブル時に即日代替機で対応してくれる「一年間代替機サービス付き完成版」の3種類。メイドインジャパンでありながら、89,800〜129,000円(税込)という買い求め易いのも魅力だ。

販売台数は、リリース1ヶ月半(※当記事の取材日が5月中旬)で200台を突破。教職、技術職、医療従事者から引き合いが多いそうで、特に組み立てキットを購入したユーザーは童心にかえったように熱心に製作に取り組んでいるという。

このように、知的好奇心の豊かな大人たちにとって、“魅惑の箱”と化している同製品。その名が世に知られたのは、国内クラウドファンディングサイト「kibidango」内で立案されたプロジェクトだった。当時の目標額は200万円、12月6日から12月26日のわずか21日間のみ、出資者を募った。前例のない高額プロジェクトのため不安視する声もあったが、募集からわずか2日で目標額を達成。期日までには107人が出資し、集まった資金は総額で1000万円以上。同サイトの他の案件を見てみても、1000万円を超えているプロジェクトは見当たらない。もちろん、出資額は各プロジェクトの規模と相対的なものであるが、同製品が如何にリリース以前から、3Dプリンタユーザーの興味を集めていたのかが伺い知れる。

勇気がなければ価値は“ゼロ” 。磨き上げた起業家マインドでまだ見ぬ世界へ!!
ビジネスアイデア発想のきっかけ

20140606-2BS01を世に送り出したのは、ボンサイラボ株式会社の代表である大迫 幸一氏。

大迫氏はもともとは自動車メーカでプランニングに携わっていた。自動車作りという仕事は、それなりに充実した日々ではあったが、慣れてしまえば、ただ会社の方針に沿った業務を淡々とこなす日々。ルーチンワークとなっている環境に違和感を感じた大迫氏は、もっと自身を活かす場を求めたいという思いと、同時に自らで事業を成すという気持ちが芽生えた。

「今、振り返れば20代は物事を吸収する期間でした。自動車メーカだけではなく、さまざまな会社に従事し、スキルの取得が終われば次へということを自分の課題にしていました。日本の常識だと転職はデメリットに捉えられがちな行為。しかし、マインドセット、スキルセットを磨くことを自分の念頭に置けば非常に有益なことだと思っています」

その後、大迫氏は自らの人生設計を大きく変える決意をした。まず、外資系のコンピューターベンダーに転職。先進のITビジネスに携わり、世界の動向にアンテナを張り、グローバル・スケールの事業に携わる日々が始まった。そうして20年ほどキャリアを積み上げ、満を持して自身の会社を立ち上げることを決意した。

これが、大迫氏の起業への道すじであるが、開業に向け準備を進めていた当時、検討していた事業は3つあったそうだ。

ひとつは「再生エネルギー事業」、ふたつ目は「介護事業」、そして「3Dプリンティング事業」である。

大迫氏が3Dプリンティングを事業に決めたのはその可能性だった。3Dプリンタ機器自体、そして市場もまだ未成熟だが、普及すれば生活に広く根付くものになるだろう…そう考えて、事業ドメインを3Dプリンティングに定めた。

「他に検討していた事業については、最終的には私ではなくても行えると感じました。であれば、リスクのある可能性だとしても、これまで “楽しさ”を追求しスキルを磨いてきた私にとっては、3Dプリンティングの分野は非常に魅力的な事業だと思ったんです。また、常々、ベンチャーはまだ見ぬ世界へ勇気ある一歩を踏み出せなければ、価値はないに等しいと考えています。だからこそ、3Dプリンティングの世界に飛び込みました。」

事業を定めた大迫氏は、提携する国内の3Dプリンタメーカを探し奔走した。訪ねたのは200社以上。良いメーカがあれば全国どこへでも駆け回ったと、氏は苦労を振り返る。

東奔西走の後、ついに見つかった提携先が、京都に社を構える「S.ラボ有限会社」だった。

後に現在の製造協力会社となるわけだが、S.ラボ有限会社の製造する3Dプリンタの複合技術としてのバランスの良さに、大迫氏は魅了されたという。

そうして、同社の3Dプリンタ設計・製造技術と、氏のプランナーやコンピューターベンダーなどで培った多様なスキルとセンスが融合し、BS01は開発されたわけである。その誕生と同時に、ボンサイラボ株式会社は産声を上げた。

設立からまだ間もない同社だが、上述したクラウドファンディングの反響や販売台数からわかるように、右肩上がりのスムーズな成長を続けている。

全世界の3Dプリンタユーザーから湧出する、あらゆるニーズに応えるモノづくりを!!
将来への展望

同社は今後も、コンシューマー向け3Dプリンタとしての機能と汎用性の向上を図りながら、BS01のさらなる普及に力を入れていく構えだ。同時に、マーケット拡大に伴うあらゆるニーズに対応する盤石な事業基盤を整えるべく、社の足回りの強化にも注力していく。

大迫氏は将来の展望をこう語る。

「3Dサービスに対する日本のこれまでの動向は、ほとんど仮想3D領域でした。コンピューターや紙といった2次元媒体の中で如何に現実に近しいコンテンツをつくるか、ということです。しかし、私たちの生活の場、それこそ地球自体が3次元であることからもわかるように、掘り下げていくべきは2次元上のコンテンツを3次元化するサービスだと当社は考えます。また、昨今の3Dプリンタの注目度を見てもわかるように、それを現代のユーザーが明らかに望んでいる。ですから、まずひとつはBS01の普及、ひいては3Dプリンタのインフラ整備に尽力していくのが当座の目標です。そして、これは日本に限らずですが、しだいにインフラが整っていけば自ずとユーザーからさまざまな希求が生まれてくる。それは、我々企業側の考える範疇を超えたクリエイティブなものだと予想しています。その動向をいち早く察知し、ユーザーのニーズを満足させるモノづくりを展開していくのが、当社の展望です。」

昨今の3Dプリンタの動向を見ると、パソコンのそれと似ている。30年ほど前は消費者から奇異の目で見られていたパソコンであるが、インターネット環境が整備されるに従って爆発的に普及、今日に至っては我々の生活を一変させるライフツールともなった。3Dプリンタの興隆は、次世代の生活に向けての“サイン”なのかもしれない。

ボンサイラボ株式会社
代表者:大迫 幸一氏 設立:2013年12月
URL:
http://www.bonsailab.asia/
スタッフ数:4名
事業内容:
・3Dプリンタおよび3Dプリンティングに関連する企画
・デジタルファブリケーションを活用した教育事業のプランニング、教育開発、人材育成

当記事の内容は 2014/6/10 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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