500万ダウンロードを突破!  “鉄板”キャラの子供向けアプリで急成長「スマートエデュケーション」

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執筆者: ドリームゲート事務局

アンパンマンにドラえもん――。鉄板キャラを使って開発したアプリが大ヒット!
展開している事業内容・特徴

smarteducation1登場してからすでに何十年と経つが、アンパンマン、ドラえもん、サザエさんといったキャラクターの人気は今でも根強い。そうした“鉄板”キャラを生かしたアプリを、実は大手出版社やメディア企業は手がけてこなかった。今回紹介する株式会社スマートエデュケーションは、子供たちに大人気の知育アプリで急成長しているベンチャーだ。

同社のビジネスはいたってシンプル。「お歌」や「絵本」など、子供が喜ぶものをスマートフォンやタブレットのアプリとして開発。無料で配布している。

最初にリリースしたのは「おやこでリズムえほん」。歌に合わせて親子で楽器遊びができるというものだ。収録曲はアンパンマンのマーチなどで、本物から音を収録した100種以上の楽器を使って楽しめる。有料会員になると、300曲以上の中から好きなものを追加でダウンロード可能だ。

同社の音楽アプリは、例えばピアノ演奏に楽しくチャレンジできる「おやこでリズムタップ」など10種類があり、ほかにも、約100冊以上の動く絵本が楽しめる「おやこでスマほん」、面白い写真が撮れる「こどもカメラ」など計13種類のアプリを展開中だ。

2011年11月に最初のアプリをリリースしてから、2013年11月現在、累計で500万ダウンロードを突破している。

無料会員から有料会員になる割合(課金率)は約5% 。継続して利用している「コアなユーザー数」は月間で80万人以上になる。当然だが、単にキャラクター人気だけで興味をひいているだけでは、これだけのコアユーザーはつかない。同社の「こだわり」にも多くの支持が集まって、継続的に人気となっている。

同社がこだわっている点は、親子で楽しめる工夫や広告や不適切なネット接続が無い安心設計のほか、「本物」を使うことにもこだわっている。、例えば、アプリ内の歌い手は本物の歌手、アプリ内のナレーターはNHK番組にもレギュラーで出ていたキャスター、アプリに作品を提供しているのは著名な絵本作家、といった具合だ。

ちなみに、ソーシャルゲームであれば、課金率が10% を超えることも珍しくないが、ゲーム以外のアプリでユーザーの5%が課金して使うというのは、かなり高い水準だろう。

同社のターゲットは0~6歳の子供と、その親。1年代に100万人がいると計算して、ざっと600万人がユーザー対象となる。そう考えると、まだまだ伸びしろは大きい。

サイバーエージェント子会社の取締役も務めた男。息子がスマートフォンに夢中な姿に衝撃を受け、教育×スマートフォンにチャンスを見出す
ビジネスアイデア発想のきっかけ

smarteducation2スマートエデュケーション社の創業者である池谷大吾氏は、1976年生まれの37歳。明治大学大学院卒業後、ヒューレット・パッカード社に入り、携帯キャリアの旗艦システムの開発に従事していたが、サイバーエージェントの子会社であるシーエー・モバイルに転職。執行役員、取締役を経て、サイバーエージェント孫会社の社長も務めたキャリアを持つ。

しかし、社長といえど雇われの身。グループ全体の経営戦略の中でしか動けないという立場に、自分自身への納得感がなかった。「自分で何もかも決めて、ゼロから事業をつくり上げたい」という思いがふくらみ、2011年3月に退職。2011年6月には、4名の創業メンバーとともに会社を設立した。

実は起業前に明確な事業計画はなく、漠然とソーシャルゲーム事業をやろうと思っていたそうだ。前職でソーシャルゲーム事業を手掛けていたので、ノウハウもあり、何より「儲けやすい」。家族もいたため、手早く稼げるビジネスをやろうと考えたそうだ。

しかし、「サイバーエージェントから卒業するつもりで起業したのに、同じようなビジネスを立ち上げることに意味があるのだろうか」……徐々にそんな不満が池谷氏の心に生じ始める。「過去の偉大な経営者がそうであったように、どうせチャレンジするならゼロからやらないと意味がない」。そう思い直して、ソーシャルゲーム事業をやめ、自問自答の日々が続いた。

そんなある日、ずっと家にいて目についたのが自分の息子の行動だった。iPhone を熱心に触っていたのだ。ガラケーはあまり触らなかった息子が、スマートフォンに夢中になっている姿を見て、「なぜ、子供はこんなにスマホに夢中になるのだろう?」と疑問を抱いたことが、新たな事業誕生のきっかけとなった。

教育市場の規模は日本国内だけでも数兆円。しかし、ITとは疎遠で、絵本の上位出版社の顔ぶれも数十年と変わり映えしない。ITと離れらなくなった現代社会のなかで、IT化が遅れている分野に商機があると踏んだ。そしてすぐに、教育市場×スマートフォンをビジネスの軸に定めて事業計画を練り上げた。

最初に手がけたのが「おやこでリズムえほん」。知育アプリ自体はすでに他社からも出ていたが、著作権がない童謡や童話を使ったものばかり。そこで池谷氏はアンパンマンをアプリの曲に使おうと考えた。子供に人気のあるコンテンツを入れるのが当たり前と考えたのだ。

楽曲の著作権を管理するJASRACとの交渉をはじめ、企画やマーケティング、開発など、やるべき実務が多すぎて苦労も多かったそうだが、5カ月間をかけてアプリが完成。「これまでの役員や社長業と違って、初心に帰って作業に没頭できて楽しかった」と言う。

満を持して2011年11月リリースした「おやこでリズムえほん」は思ったとおり大ヒットした。リリース8カ月後の2012年7月に100万ダウンロードを突破。10月にはベトナムにクリエティブ拠点を設置。開発体制を強化して、新アプリの量産を進めた。

ちなみに、プロモーションにはまったくコストをかけておらず、「初期に10万円ほど使ったきり」らしい。口コミやランキングサイトで常に上位にいれば自然とユーザーが集まるとのことで、同社のアプリの品質の高さを証明している。

また、資本金は当初950万円でのスタートだったが、増資を進め2013年5月には約4億7000万円になった。現在はまだ投資先行で赤字だか、2014年に黒字化を見込んでいる。

また、グローバル展開も進めており、この2013年11月には、海外展開用の知育アプリ新ブランド「Gocco(ごっこ)」を立ち上げ、第一弾をリリース。継続して世界を舞台に知育アプリをリリースしていく計画だ。

子供たちが大きくなった時に、思い出話にでてくるようなアプリを
将来への展望

子供の頃に楽しんで遊んだおもちゃや教材などは、大人になっても色あせない。アンパンマンをはじめ、ポケモン、ディズニーやジブリのグッズ、学研の学習帳などなど、実に息の長いブランドだ。

子供たちが大きくなった時、思い出話に出てくるようなアプリをつくることが、池谷氏の目標である。

ビジネスとしても、世代を超えて愛されるブランドになることの意味は大きい。例えば、自分が子供のころに親しんだものを、自分の子供にも買い与えたいと思うのは自然だろう。そうした何十年と続くブランドをつくることは簡単ではないが、池谷氏は「今、そのチャンスが来ている」と断言する。

IT、そしてスマートフォンの普及により、ビジネスの仕組みから生活様式まで激変するなか、既存の老舗ブランドに代わる新しいブランドが生まれる時代を迎えていると池谷氏は見ている。例えばApple社などはその代表的ブランド企業の一つだろう。

スマートエデュケーション社が、新たな歴史の1ページを刻み、本当に何十年と続くブランドをつくり出せるか――。その実現に期待したい。

株式会社スマートエデュケーション
代表者:池谷大吾 スタッフ数:20名
設立:2011年6月 URL:http://www.smarteducation.jp/
事業内容:
スマートフォンやタブレット端末用の乳幼児向け「知育」アプリケーションを、世界に向けて企画・開発・販売

当記事の内容は 2013/11/21 時点のもので、該当のサービス内容が変わっていたり、サービス自体が停止している場合もございますので、あらかじめご了承ください。

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