
2011年度版の中小企業白書では、成功した起業家を対象にしたアンケート調査の結果を記載しています。この「起業に関する実態調査」は、2010年12月に中小企業庁の委託により、 2001 年から 2010 年までに起業をした企業 10,000 社を対象に行われたものです。
このアンケート調査の中に、事業の成果が得られていると感じている起業家に、成功要因を聞いた項目があります。成功要因についてもっとも多かった回答は「過去の経験や人脈」(46.3%)で、次いで「販売先の確保」(34.1%)、「質の高い人材の確保」(33.9%)、「事業内容の選定」(32.8%)、「事業に必要な専門知識・技能の習得」(31.7%)、「資金調達」(30.1%)と続いています。
新規事業を起業したとは言え、半数近くの人が、過去の経験や人脈が新事業の成功の鍵と考えていることがわかります。
一方、起業時および起業後の課題として多くあげられているのが、「資金調達」、「質の高い人材の確保」、「販売先の確保」です。これらは、成功要因としても上位にあがっており、「人脈」、「資金調達」、「販売先の確保」、「質の高い人材の確保」はいずれも、起業の成功に向けて重要な項目と言えるでしょう。
資金調達については自己資金が重要なポイントとなります。例えば、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」だと、融資時の自己資金割合が10分の1以上あることが条件です。また、起業時に準備しておきたい資金には、初期投資の他に当面の運営資金や生活資金を確保しておかなければなりません。融資の審査をとおりやすくするためにも、起業後に資金調達に苦労しないですむようにするためにも、自己資金はできるだけ多く準備をしておいた方がよいでしょう。
また、販売先(見込み客)の確保や質の高い人材の確保などは、人脈の有無にも大いに関係しています。過去の仕事上の人脈を利用するだけでなく、起業成功者とコンタクトを取ったり、セミナーや異業種交流会等に参加したりすることで人脈を増やすことも可能です。
これらはいずれも起業前に対策を立てられることです。十分な準備をして起業をすることが、起業の成功の近道と言えるのではないでしょうか。